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滋賀へ彦根に「お招き」キャンペーン始まる!

招き猫の日

9月29日は何の日かご存知ですか?
 
「来る(9)ふ(2)く(9)」にちなんで、「招き猫の日」なのだそうです。そんなおめでたい日に、彦根にある四番町スクエアに、彦根で一番有名な白い猫・ひこにゃんの新しいお店がオープンしました。
 
「招き猫」ポーズのひこにゃんの新しいイラストが発表され、ひこにゃんのライバル、「わるにゃんこ将軍」が初登場です!

四番町スクエアにオープンしたひこにゃんショップ


彦根城を世界遺産へ

滋賀県と彦根市は、彦根城の世界遺産登録を目指しています。
 
彦根城は、1992年に世界遺産の暫定リストに登録されました。「世界遺産」とは、日本ユネスコ協会で次のように定義されています。
 
世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から現在へと引き継がれ、そして私たちが未来の世代に引き継いでいくべきかけがえのない宝物のこと。

彦根城は、徳川家康の命により築城が決まり、徳川四天王の一人である井伊直政の子、直継と直孝によって建設されました。1604年(慶長9年)に着工し、約20年の歳月をかけて、1622年(元和8年)に完成しました。

JR彦根駅西口広場にある井伊直政公の銅像

彦根城の築城は、関ヶ原の戦いの後、西国方面の豊臣方大名への備えとして、京都に近い彦根の地に築城を急ぐ必要がありました。
 
周辺の諸大名が手伝い、築城は急ピッチで進められ、佐和山城や安土城などの近隣の城や寺院の建物や石垣が再利用されました。そのため、彦根城はリサイクル城と言われています。
 
また、彦根城は、別名・金亀城(こんきじょう)と言われています。それは、彦根城が築城される前に、彦根山上にあったお寺に、金の亀に乗った観音像が安置されていたことに由来します。

JR彦根駅西口広場にある亀の石像

月明かりに浮かぶ彦根城はとても美しく、「琵琶湖八景」の一つに選ばれています。


彦根城は平和のシンボル

日本では、かつて3000にも及ぶお城が築かれ、数百基の天守が建っていたそうです。しかし、現存する天守はわずか12基です。
 
 
その歴史を少し見てみましょう。
 
豊臣家滅亡後、1615年(慶長20年)に徳川幕府により「一国一城令」が出されました。その目的は、西国諸大名の軍事力を削減するためですが、この時になんと95%ものお城が取り壊されてしまったそうです。
 
そして、明治維新を迎え、1873年(明治7年)に「廃城令」が出されました。明治維新の時点では、お城は340城ほどあったのですが、お城は次々と壊されて行きました。
 
そのような状況下で、彦根城は奇跡的に取り壊しを免れたお城の一つだったのです。

もし、明治天皇が北陸巡幸の帰りに彦根に立ち寄っていなければ?
もし、大隈重信が明治天皇に彦根城の保存を提案していなければ?
 
当然、彦根城は、他のお城のように取り壊されていたことでしょう。
 
なぜなら、彦根城の解体が決定し、既に足場が組まれていたからです。間一髪のところで、彦根城は明治天皇に救われたのです。

 
一度目の危機を逃れた彦根城ですが、昭和に入り、二度目の危機が迫っていました。終戦記念日の夜、アメリカ軍により、彦根は爆撃される予定だったそうです。
 
もし、日本がポツダム宣言を受け入れるタイミングがずれ、彦根が爆撃を受けていたら、彦根城は現存していなかったかもしれないのです。

日本で国宝となっているお城は5城あります。お城は、敵から防衛するための建築物であり、軍事基地です。彦根城も戦に備えて作られたお城ですが、実際に、彦根城で戦が行われることは一度もありませんでした。
 
つまり、彦根城は日本の平和のシンボルと言えるのではないでしょうか。
 
彦根城は奇跡的に二度守られ、そして、今は白い猫・ひこにゃんに守られているのです。

彦根城に住む白い猫

彦根城に住む白い猫・ひこにゃんは、2007年に国宝・彦根城築城400年祭のPRキャラクターとしてデビューしました。

彦根市ホームページから引用

ひこにゃんはなぜ彦根城に住んでいるのしょうか?それは、ひこにゃんは彦根藩主・井伊家ゆかりの猫だからです。ひこにゃんと井伊家のご縁は、江戸時代に遡ります。
 
 
ある日、彦根藩井伊家第2代当主・井伊直孝公が鷹狩りの帰りににわか雨にあい、木の下で雨宿りをしていたときです。お寺の門前で手招きする白い猫を見つけました。
 
「不思議なこともあるもんだな」と、直孝公は、白い猫に誘われるようにお寺の中に入り、住職の話を聞いて雨宿りしていました。すると、直孝公が雨宿りしていた木に雷が落ちたのです。
 
直孝公は白い猫のおかげで難を逃れたことから、白い猫に感謝して、このお寺を井伊家の菩提寺と定めました。直孝公をお寺の門前で手招きして雷雨から救ったと伝えられる「招き猫」が、ひこにゃんのモデルなのです。

東京都世田谷区にある豪徳寺の招き猫


ひこにゃんは招き猫だった

「招き猫」は、一般的には、右手または左手をあげ、小判を持っているスタイルが多いようです。しかし、井伊家の菩提寺である豪徳寺の「招き猫」は、右手をあげ、小判を持っていません。
 
同様に、ひこにゃんも小判を持っていません。

ひこにゃんショップの招き猫ポーズのひこにゃん

これは、「招き猫」は私たちにチャンスを与えてくれますが、必ずしも結果を出してくれるわけではないということを意味しているそうです。チャンスを生かすのは本人次第、つまり、あなた次第なのです。

彦根城博物館をお散歩するひこにゃん


ひこにゃんは癒しキャラ

さて、見た目はとてもゆる~いひこにゃんですが、その人気は日本だけでなく、世界にも広がっていることを知っていますか?
 
ひこにゃんに届く年賀状は、なんと2023年は1万6千通超え!アメリカ、カナダ、タイ、台湾、チェコ、チリ、ドイツ、フィンランドなど様々な国、地域から年賀状が届くそうです。

四番町スクエアでパフォーマンスを披露するひこにゃん

ひこにゃんは癒しキャラと言われますが、どうして私たちはひこにゃんに癒されるのでしょうか。その理由を考えてみました。

 
まず最初に、ひこにゃんの姿、形について。
 
ひこにゃんは「大和比」というバランスを持っています。「大和比」は、日本では古くから神の比率とされ、法隆寺の五重塔などの日本建築に多く取りいれられています。縦横の比率が1:√2=1:1.414で、「黄金比」に対して「白金比」とも言われます。
 
日本の人気キャラクターの多くは、ひこにゃんと同様に、「大和比」でデザインされているそうです。 

四番町スクエアにあるひこにゃんのパネル

そして、ひこにゃんのお顔は、緩やかな三角おむすび形をしています。井伊家のシンボル「赤備え」の兜のデザインが、おむすびの「海苔」のように見えるのは、気のせいでしょうか?
 
おむすびは、「縁を結ぶ」という意味もあります。ひこにゃんのお顔を見るとホッとするのは、おむすびをイメージするからかもしれません。

彦根城博物館をお散歩中に彦根城の「破風」のポーズをするひこにゃん

次に、ひこにゃんの衣装について。
 
ひこにゃんは、「モチ」のような白いもふもふボディに、黄色い鈴を首に緑のスカーフで結び、鬼の角のような飾りをつけた「赤い兜」をかぶっています。
 
彦根藩井伊家初代当主・井伊直政公は、徳川四天王の一人として名を馳せた戦国時代の武将です。直政公は兜に鬼の角のような飾り(約80cmの長さがある)をつけ、「井伊の赤鬼」と畏れられました。
 
しかし、「赤鬼」とはほど遠いイメージのひこにゃん。白いもふもふボディと、「赤い兜」のギャップが、ひこにゃんの「ゆるさ」を際立たせているのかもしれません。

彦根城博物館をお散歩中にうさぎさんを心配するひこにゃん

そして、ひこにゃんのボディカラーの「白」は純粋さを表し、赦しや浄化を意味する色でもあります。
 
ひこにゃんは時々、首に付けている黄色い鈴をちゃりんちゃりんと鳴らしてくれます。鈴の「音」は、神社の鈴のように、悪い気を払い、私たちの心を癒し、浄化してくれるのでしょう。

彦根城博物館をお散歩中に「黄色い鈴」を鳴らすひこにゃん

また、ひこにゃんは、季節ごとに様々な衣装を披露してくれます。

彦根城博物館をお散歩中に「お月見団子」に変身したひこにゃん

ひこにゃんがどんな衣装で登場するか、その時々で違うのも、ひこにゃんに会う楽しみの一つです。そして、衣装は全てお世話係さんの手作りなのです!

彦根城博物館をお散歩中に「お月見団子」に変身したひこにゃん

最後に、ひこにゃんのポーズについて。
 
ひこにゃんはお散歩中に手を振ってくれるだけでなく、様々な可愛いポーズで、ファンを魅了します。

彦根城博物館をお散歩中にカメラ目線の可愛いひこにゃん

ひこにゃんのイベント出演に合わせて彦根に駆けつけてくれる、熱烈なひこにゃんファンがたくさんいるそうです。

お世話係の皆さんも、もちろん、ひこにゃんの大ファン!ひこにゃんのそばにいるだけで、毎日、とても癒されるそうです。
 
そして、お世話係さんたちは、どんな衣装がひこにゃんに似合うか、ひこにゃんのプロデュースについて、いつも考えてくださっています。「お月見団子」の衣装は、ひこにゃんを白い団子に見立てて、「あんこ」のマントを羽織っています。ユーモアセンスも抜群ですね!

彦根城博物館をお散歩するひこにゃん

こうやって、ひこにゃんの可愛さは、熱烈なひこにゃんのファンの応援によって、そして、お世話係さんたちの愛情によって、育まれたものなのです。
 
その可愛さに、私たちは心が動かされ、心が癒されるのではないでしょうか。


わるにゃんこ将軍登場!

そして、ついに!満を持して、ひこにゃんのライバル、「わるにゃんこ将軍」が登場しました!
 
「わるにゃんこ将軍」は、彦根市がひこにゃんの原作者で、デザイナーのもへろん氏に制作を依頼した「ひこにゃん絵本」第3弾に登場する悪役キャラクターです。
 
わるにゃんこ将軍の体形はひこにゃんと似ていますが、ボディの色は濃い青色で、鋭い目つきに白い牙、そして、「黒い兜」をかぶっています。

むちゃくちゃ悪そうな「わるにゃんこ将軍」

「ひこにゃん絵本」の中では、わるにゃんこ将軍は、彦根城下でひこにゃんになりすまし、人々を困らせますが、ひこにゃんに正体を見破られ、逃げ出すというストーリーになっているそうです。
 
現在、「ひこにゃん絵本」は電子媒体で運用され、彦根市内の保育園、こども園、幼稚園、小学校などに配布されていますが、今後、絵本化も予定されているそうです。


滋賀へ彦根にお招きキャンペーン

世界遺産登録へのステップとして、彦根城は、2023年9月、ユネスコの諮問機関が事前に関与して助言する「事前評価」を活用することになりました。登録の準備は着々と進められています。

国宝・彦根城築城400年祭のPRキャラクターとしてデビューしたひこにゃん。
 
今回、新しく、「招き猫」ポーズのひこにゃんが、「人、モノ、コトを彦根に招く、世界遺産も彦根に招く」をスローガンに、「滋賀へ彦根にお招きキャンペーン」のシンボルイラストとして作成されました。

四番町スクエアにオープンしたひこにゃんショップ

「滋賀へ彦根にお招きキャンペーン」は、彦根城が世界遺産に登録されるまでの期間、株式会社四番町スクエア、並びに、株式会社もへろんスタジオが中心となって展開し、今後、様々なイベントが企画される予定です。

そして、「滋賀へ彦根にお招きキャンペーン」の第一弾として、彦根にある四番町スクエアに、ひこにゃんショップが新しくオープンしました。
 
9月29日に行われたオープン記念セレモニーには、ひこにゃんはもちろん、大阪・関西万博の公式キャラクターのミャクミャク様、わるにゃんこ将軍が駆けつけ、とても賑やかにテープカットが行われました。

ひこにゃんショップのオープン記念セレモニーのテープカット

彦根市の和田裕行市長は、「ひこにゃんは人を呼び、わるにゃんこ将軍は小判を持ち、お金を呼ぶ招き猫。ひこにゃんを脅かす新キャラクターのわるにゃんこ将軍をキラーコンテンツとして、また、ミャクミャク様と一緒に盛り上げたい」と話されました。
 
また、もへろん氏は、「人、モノ、コトを招く、良いエネルギーを招く力を作りたい」と、「滋賀へ彦根にお招きキャンペーン」の第二弾、第三弾への意気込みを語られました。

わるにゃんこ将軍にガンつけられてもマイペースのひこにゃん

ミャクミャク様とひこにゃんは、今回、初めての対面だったのでしょうか。万博の成功と彦根城の世界遺産登録に向けて、エールを送り合いました。

ミャクミャク様に深々と挨拶するひこにゃん

四番町スクエアの新しいお店では、「招き猫」のポーズをしたひこにゃんの数量限定、シリアルナンバー入りの信楽焼の置物や、もへろん氏が描いた原画など、たくさんの新商品が並べられていました。

特にレアなのは、ひこにゃんの生い立ちの物語を描いた絵本に描かれた、「赤い兜」をかぶる前のひこにゃんグッズ!
 
「見てはいけないものを見てしまった!」と、ひこにゃんのオフの姿を見てしまったドキドキ感満載ですが、ひこにゃんショップのオープン初日に訪れた人たちは、さっそく限定グッズを買い求めていました。

ミャクミャク様を囲んでもへろん氏と二匹の招き猫

信楽焼の置物を購入した一番最初の人は、ひこにゃんショップの前にあるケーキショップのオーナーの北川雄士さん。「招き猫のひこにゃんに、たくさん福を彦根に呼び込んでほしい」と話していました。

信楽焼のひこにゃんをゲットして嬉しそうな北川さん

お店に入ってみると、早速、信楽焼のひこにゃんとわるにゃんこ将軍のぬいぐるみが飾られていました。

ケーキショップに飾られている信楽焼のひこにゃんとわるにゃんこ将軍のぬいぐるみ


ひこにゃん vs わるにゃんこ将軍

日本の平和のシンボル・彦根城に住むひこにゃんは、お散歩するだけで、周りの人を笑顔にして、癒しのパワーを振りまきます。彦根城だけでなく、間違いなくひこにゃんも、平和のシンボルと言えるでしょう。
 

そんなひこにゃんに対して、わるにゃんこ将軍は、いたずらをはたらく悪い奴です。
 
わるにゃんこ将軍は、ひこにゃんのライバルとも言われます。しかし、ひこにゃんにとって、わるにゃんこ将軍は、ライバルという認識はありません。

「彦根城下の人々に迷惑をかけるような悪さをすれば止めるけど、わるにゃんこ将軍と仲良くしたい」と思っているようです。

ひこにゃんのパネルを見ながらいたずらを考え中のわるにゃんこ将軍

悪い奴かもしれないわるにゃんこ将軍に対しても笑顔で接し、純粋で、ゆる~いひこにゃん。癒し系のひこにゃんに対して、わるにゃんこ将軍は、善悪の判断なく、やりたいまま、自分の欲求を満たそうとするキャラクターのように見えます。
 
二匹の猫は、そのボディの色や、目つき、歩き方などの態度を見ると、「光と影のような存在」です。

集合写真の撮影タイムにプイッ!とそっぽを向くわるにゃんこ将軍

ひこにゃんは人を招く猫。一方、わるにゃんこ将軍は小判を持ち、お金を招く猫。わるにゃんこ将軍は、「いたずらをしたい」という人間の腹の中の欲求を隠さず、素直に表現するキャラクターなのかもしれません。
 
一見、ひこにゃんと、わるにゃんこ将軍は、対立するキャラクターに見えるかもしれません。
 
しかしながら、外に見せるものと、腹の中の本当の欲求(気持ち)を分離させたり、腹の中を「見せてはいけないもの」として隠すのではなく、本当の気持ちを素直に出すことはとても大切です。
 
ひこにゃんとわるにゃんこ将軍、二匹が協力して、陰陽(外と中)が統合したとき、物理的なものを超えた、真の豊かさに出会うのかもしれません。

わるにゃんこ将軍のアップ

9月29日、「招き猫の日」に、ひこにゃんの新しいお店がオープンし、「滋賀へ彦根にお招きキャンペーン」が始まりました。
 
「招き猫」のひこにゃんと、わるにゃんこ将軍の二匹の猫の手をたくさん借りて、彦根城の世界遺産登録を招き、滋賀県へ彦根にたくさんのお客様をお招きしましょう。


もへろんスタジオ ひこにゃんショップ
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ホームぺージ https://www.moheron.co.jp/
 
 
 
(写真・文 若林三都子)