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個性的なお店が立ち並ぶ花しょうぶ通りのお店氷茶屋“百笑”


彦根市河原町芹町地区伝統的建造物群保存地区
花しょうぶ通り。
路地を入っていくと、ゆるやかなカーブに沿って
細い道筋に商業地として栄え、
趣のある建物が立ち並んでいます。
その一角にある百笑さん。

夏は予約でいっぱいの氷茶屋百笑さん。
閉店後の片付けで忙しい中
快く取材に応じていただきました。

百笑と書いて“ひゃくわらい”
店名の由来は、愛知県安城市の
木工作家森兵衛の作品から。
(こちらの作品名は百笑と書いて“doyomeki”と読むそうです。)

店内に入るとまず目を引くのが
1枚板の欅のテーブル。
黄色味を帯びた照明の下、
艶やかな光沢を放ちながら圧倒的な存在感。
なかよしグループで座るとちょうど良い距離感。


和の空間で食すかき氷

「和な感じでやりたいと探していたらドンピシャだった。」
というこの場所は 、もとは昔ながらのお茶屋さん。
和の作りを生かした巧みなリノベーション。
壁には店主が趣味で集めた浮世絵。

壁紙は工務店さんが同じ壁紙で仕上げたものを
わざわざ部分的に、和の趣向をこらして張り替えてくれたそう。
家具の上に木工作品の“doyomeki”(百笑)

和菓子の型で作成されたレリーフは工務店さんのこだわり。

ウィンドウには昭和初期のレトロなかき氷器。
小さな花が添えられています。
お店の奥には坪庭とお手洗いがありますよ。


かき氷が好き

店長は、もともとは鋳物の会社の営業マン。
2018年に35歳で起業して4年。
かき氷が好きで、全国いろんなかき氷屋さんに行き、
そのうち自分で作ってみて、
かき氷器やストッカーを買い、
家族にかき氷を食べてもらって、
彦根のゆかた祭りに出店することになり、
とうとう、かき氷屋さんになったそうです。
トレードマークの帽子が、よくお似合いです。


オーソドックスなものが好き

「もうちょっとメニューのバリエーションを増やしたい。
普遍的なメニュー、また食べたくなるような、
長く何回も楽しんでもらえるようなメニューがいいな。」

氷は純氷。

不純物を取り除きながら48時間かけて凍らせます。
果物などの素材にこだわり、
いつも決まった銘柄や品種のものを仕入れているそう。
それでも品質がよくないと感じた時は、
仕入れ自体をやめるという徹底ぶりです。
シロップや練乳は全て手作りです。

氷の削り方やシロップのかけ方は、
細くかけたり、太くかけたり、
甘すぎたり、甘さが足りなかったり、
過不足なく、すごくいい仕上げを心がけ、
とにかくたくさん食べて研究した、
こだわりの逸品。

香ばしいピスタチオのかき氷を食べてみました。

スプーンで軽くすくうと、ふわふわ感たっぷりです。
口に入れるとピスタチオの香りが香ばしく、
シロップはほどよく、中まで味も均一です。
食べても食べてもキーンとなりません。
氷は解けにくく最後までおいしく楽しめました。

彦根でこんなにおいしいふわふわかのかき氷を
年中食べることができますよ。
食後にいただいたほうじ茶でほっこり暖かく、口の中はさっぱり。

抹茶と練乳を丁寧に分けたかき氷

同じかき氷店でも、氷の質感はお店や削る人によって全く違うそう。
ちなみに百笑さんは店長がひとりで削っていて、
削る時の温度を上げることで、
ふわふわでキーンとこないかき氷になるのだそうです。

こちらは冬だけの限定メニュー、お餅入りのぜんざいと煎茶です。

かき氷店をしていて大変なことは?と尋ねると、 
「夏場はめちゃめちゃ忙しい。
冬場はお客さんが減る。
コロナの影響よりも季節の影響の方が大きいですね。
それでも毎週来てくれるお客様がいるんです。」
真冬に温かい空間でかき氷もいいものでしょう。

逆に嬉しいのは、
「おいしいと言ってもらえること。」だそう。
誰しもこの一言には報われることでしょう。
丁寧に茶葉を蒸らして注がれた
煎茶の香味が後を引きます。


店長は和バラ愛好家

店長はミニバラ、特に和バラが大好きで、
3年くらい前から、6~7種類のバラを自宅の庭で育てているそう。
実はお店に飾ってある花たちは店長が手塩にかけて育てた和バラ。
夏場忙しくても、早起きしてバラの手入れに余念がありません。
よく見ると葉っぱの先まで美しい。

「最初は黒星病に悩まされ、葉ダニで葉っぱがダメになったり
アザミウマ(小さな昆虫)が入ると花弁が茶色くなって育たないこともありました。
それでもバラは雨ざらしで、病気になっても死なないし
枝は、切っても切っても伸びる!
次の年芽が出てくるし、さし芽で増やすこともできます。
勉強して咲かせるようになりました。
季節によっても、同じバラでも色が変わったり大きさも変わったりします。」

美しい和バラは、努力のたまものだそうです。

花びんも、古道具店で見つけたちいさな器や
おばあちゃんの家にあった醬油さしだったりするのが店長流。
そんな店長のこだわりの空間でふわふわのかき氷を
これからも思う存分、作り続けていただきたいです。

(写真・文:山口寿)

氷茶屋 百笑(ひゃくわらい)
彦根市河原3-4-25
営業時間:11:00~18:00(17:30L.O)
火曜日定休(11月~3月は火曜日と水曜日が定休日)
駐車場:3台
Instagram:https://www.instagram.com/hyakuwarai/