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vol.06 Lost in Tokyo...路地裏ランウェイ、エコヴィレッジ、セルフビルドの世界

2020/08/06 配信記事
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終電間際の、渋谷集合。
毎年この時期になると、そう言って仲間を集め「深夜散歩」を開始する。コンビニでビールを買って、歩き疲れるまで人がまばらになった都市を徘徊する。渋谷の深夜散歩のお気に入りの時間帯は、午前2時半くらい。人もほとんどいなくなり、日中には見えなかった路地や建物がぼんやり現れる。見慣れた風景の、裏の顔を見たみたいで少し特別な気分になる。夏の私の酒のつまみ。今年もまたやれるといいなと妄想している8月最初のニュースレーター。

by Yukako

🎧 Podcast New Release

【#18】GUEST TALK🎤 路地裏ランウェイ_ニコラス・ダートン
👉https://bit.ly/3gvOCbe

ピカピカで華やかなビジネス街を歩いている時に、突然ときめく瞬間が訪れる。こんなはざまに道があったのかと思うくらいの、細い路地と奥の方に見える小さな民家。よく見ると綺麗に手入れされた植物が、わんさか生息している。東京の街はこんなドキドキする路地との出会いで溢れている。そんな路地を愛し、路地を舞台にランウェイをするプロジェクトを実践するのは、元パリコレモデルでもある、ニコラス・ダートンさん。日本橋生まれ、日本橋育ちの彼ならではの路地選びの視点や「路地裏ランウェイ」の活動についてお話を伺った。

👀 Good News of the Week

元NFLの選手が作る、廃校を活用したエコビレッジ - THE BRIDGE
ペンシルバニア州のハリスバーグで、元NFL選手たちによる、ユニークなプロジェクト「THE BRIDGE」が動き始めた。廃校をリノベーションし、コワーキングスペースや若い起業家を支援するインキュベーションスペース、農園、住居などにする計画だ。彼らのプロジェクトが面白いのは、人々が心身共に貧困サイクルから抜け出す機会を作ることを目標にしていることだ。本施設ができる場所は低所得者層の多い地域で、住む場所も食べる物の選択肢も、教育の機会も限られている。彼らは、マズローの承認欲求(マズローの法則によれば、人間の欲求には「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求(所属と愛の欲求)」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5段階があるという)でいう第1段階目の生理的欲求から自己実現までをこのスペースで提供しようとしているのだ。今後はこのような貧困地域を中心に8都市までプロジェクトを展開していくという。日本でも多くのインキュベーションスペースやコミュニティスペースができるなか、地域にとっての価値と、運営者の腹から落ちてくるようなビジョンがその場所に魂を宿すのだと改めて感じた。彼らのインタビュー記事コンセプト動画はこちらからチェックできる。

進化する、仮想空間でのメッカ巡礼
新型コロナウイルスの影響でオンラインに移行したのは、仕事やイベントだけではない。宗教行事や礼拝も、オンラインで開催される時代となった。サウジアラビアにあるイスラム教の聖地・メッカの大巡礼(ハッジ)が現在、同国の感染者増加のため一時的に制限されているなか、メッカのモスクをバーチャルに体験できるMuslim 3Dが話題となっている。実際に現地を訪れて得られる体験とは比べ物にならないかもしれないが、世界中で、既に500,000回ダウンロードされているという。イスラム教信者のためのさまざまなオンラインツールが登場するなか、Muslim 3Dは、3Dゲームのようなインターフェースとなっていて、イスラム教徒でなくともついついのぞいてみたくなる。宗教施設が必要なくなり、オンラインで宗教行事も済んでしまう時代がくれば、都市の街並みは、どう変わっていくのだろうか。


👭 Our Urban Diary

司馬遼太郎と中国 by Mariko
今更ながら、司馬遼太郎の小説と中国にハマりつつある。今まで中国史には、教科書をなぞる程度にしか関心を向けていなかった。それが今や、司馬遼太郎マジックにまんまとかかり、深夜まで、Googleマップで中国の地名をなぞりながら、『項羽と劉邦』の物語を貪り読んでいる。そして、司馬遼太郎が物語のなかで繰り返し、「有事の時に人を団結させるのは、理想でも思想でもなく、食」と強調するものだから、ふと触発されて、前から気にはなっていたTRANSIT46号『中国四千年の食をめぐる旅』をようやく買った。雲南省の少数民族の食文化から、広州の飲茶文化、チベットのバター茶まで。食べ物を知ることは、その土地の文化を、技術を、風習や気候や政治を、知ることでもある。コロナが落ち着き次第、中国の全ての地域と主要都市を実際に訪れ、食してみたいという新たな野望を育てている。

セルフビルドの世界 by Yukako
本日手元に届いた2冊をご紹介。まず1冊目は、友人に勧められ購入した、『沖縄島建築 - 建物と暮らしの記録と記憶』という本だ。有名建築の紹介ではなく、人々の暮らしを建物から描いているところがとても良い。建物から、その場所の記憶や人生を想像してみたい。2冊目は、『セルフビルドの世界 - 家やまちは自分で作る』という本だ。この本では、普通の人が手作りしたトタンの家や、湖に浮かぶ家、モバイル電化ハウスなどが紹介されている。そういえば昔から、手作りでできた建築物を見るのが好きで、幼い私に多大な影響を与えた絵本があったことを思い出した。『シュヴァル 夢の宮殿をたてた郵便配達夫』という実話を描いた作品だ。(昨年映画にもなったようだ)フランスの小さな村の郵便配達員のシュバルおじさんが、配達の途中に拾った石を集め積み重ねて作った、彼の理想郷についてのお話だ。家族で車を走らせ山奥の村まで実際に見に行ったのだが、その時の感動を、今でも忘れられない。他にも面白かった本については、ポッドキャストで詳しくレビューしていくのでお楽しみに。

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次回の配信もお楽しみに。

石川由佳子 / アーバン・プロジェクト・ディレクター(WEB/instagram) 
杉田真理子 / 編集者・リサーチャー(WEB/instagram

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