北見市移住日記005「お米を10キロもらった日」
【いよいよ納車になるぞ】
事務所と住居が整って、さあ、残る大物は「自動車」である。
「車がないと生活できないよ」とたくさんの人に言われていたんだけどね。
来てみたら想像以上だったんだな、これが。
徒歩圏内で暮らしていると、とにかく買い物ができない。
みんな幹線沿いのホームセンターに買い物に行くんだね。
もちろんコンビニがあるから、すぐに困るということはないんだけど、コンビニに何でもあるわけじゃないし、コンビニに通っていると何だか侘しくなってくるんだよな。
コンビニの店員さんと顔見知りになったら、日々の買い物が潤いのあるものになるかというと、ちょっと微妙だな。この間なんかね、たまたま単4の電池がすぐに必要でそれだけ買いに行ったんだよね。
そしたら、「レジ袋はご入用ですか?」だもの。顔見知りなんだよ。言葉は丁寧だけどマニュアル通り過ぎるよね。ボクは言ってやったさ。「これはポケットに入りそうなんで大丈夫だよ」ってね(笑)。あっ、今気がついたけど「お願いします」って袋もらって、単4電池1個入れてぶら下げて帰るのもオツだったかも。
食事も行きたい店ってけっこう遠くにあるんだよね。
先日自転車をお借りしてから、飛躍的に行動範囲が広がって、かなり色んなお店に行けるようになったけど、何しろ車にはかなわないよ。
それと観光だね。
これからが一年中でも一番いい季節で「いろんなところに行ってみてね」って地元の人に勧められてるんだけど・・・・。何とも空しい・・。
そしてそして、何よりも隣町で一人暮らししている義父に会いに行くために必要。今は、北見市在住の姪に車を出してもらって行ってるんだ。
そんなこんなで、5月15日に注文していた車がいよいよ納車が近づいているらしいんだな。
早ければ今月中かな。
ワクワクするねえ。
【トヨタのKINTO】
最初はね、お金がもったいないから、「軽の中古でいいや」なんて言ってたんだけどね。こんな大男が軽から颯爽と降りて来るってのもオシャレかなと思ったりね(苦笑)。
結果注文したのは、トヨタの定額サービス「KINTO」。車のサブスクというか、まあリースだな。
メンテナンスから車検から保険まで全部込々で毎月定額で利用できるってわけだ。
車のことにあまり手間をかけたくないボクにはピッタリのサービスだな。
小ぶりのSUVで「RAIZE(ライズ)」って車。
知らない車だったんだけど、実物みたらなんだかいいし、納車ももっと人気の車より早いっていうから。
妻の実家の津別の義父からは「冬が厳しいから車選びは慎重にしろよ」と言われて。
ボクにKINTOを直接勧めてくれたのが、写真の師匠の善本喜一郎氏。「軽の中古なんか駄目だよ。慣れない雪道で止まっちゃったらどうするの?これから家族も乗せることになるんだから安全第一」「KINTOはこれこれこうで便利だよ。忙しい今野氏にピッタリだよ」ってね。善本氏、前にKINTO利用したことがあったらしいんだな。
ちょっと割高にはなるんだけど、実に説得力があったなあ。
今ですら一杯いっぱいの自分に車のことまで気が回るとは思えんしね。
【いざ!Kトヨペットへ】
時を注文した5月15日に戻すんだけどね。
ネットでKINTO取扱い店を調べたら、「Kトヨペット」というそこそこ大きいお店がなんと徒歩10分くらいのところにあるではないか。いつものようにボクは「これはボクを呼んでいるってことに違いない」と、お店に飛んで行ったわけなんだな。
受付のお嬢さんが素敵な声で迎えてくれたのに対して、何しろKINTOのことで頭が一杯なってるんでね。こんなやり取りに・・。
受「いらっしゃいませ」「お車お探しですか?」
今「KINTOでよろしく」
受「は??」
当然の反応だな。
いきなり「KINTOでよろしく」だかんな。
「トヨタの最近力を入れているサービスで、保険もメンテナンスも車検も込みで・・・・」って一生懸命説明したんだけど、彼女はKINTOが分からないらしいんだな。
なんだか自分が営業マンになったようで、思わず笑ってしまったぞよ。
彼女は困って、どっかに電話すると、少しして登場したのがけっこうベテランそうなご年配の恐らく営業マンの「Yさん」。
ここからドラマが展開されるんだけど、あらかじめ結論を言っとくと、最後には無事「KINTO」サービスで車を注文できたので、お時間の無い方はここで「要するにKトヨペットでトヨタKINTOサービスで車を注文したという話なのね」ということで途中退出でもよいかも。話の結論は簡潔なわりに、恐らく長いと思うんでね。
【営業マンY氏奮闘す】
営業マンのYさんは、温和で親しみがあっていい人だったよ。
ソフトタッチでボクの好きなタイプの営業マンでね。
これはついてるぞと思ったわけだよね。
今「トヨタのKINTOの取り扱い店を検索したら、ここが家から徒歩圏と分かってね。こりゃオレを呼んでるなってんで来たんだけどね」
Y「ありがとうございます」
今「で、KINTOって全部込々で定額で、便利だと思ってね。どう思う?」
Y「いや、それもいいと思うんですがね、最後まで自分のものにはならないですし、所有の方がトータルで安く上がりますよ。下取り出して次のを買えば有利ですし」
今「それは分かってるんだけどさ。所有する気ないんだよね。安く上がっても何やかんやと維持するのに手間かかるよね。移住してきたんだけど、生活と仕事で精一杯なんだよね。かといって車持たないわけにはいかんし」
Y「いや、ここらではみんな所有ですよ。・・・」
今「だからさ、KINTOにしたいのよ」
Yさん、なんだかね、しきりにボクに買わせよう、買わせようとするわけさ。
で、しばらく水掛け論が続いたらね、彼がどっかいなくなっちゃうわけ。
待てど暮らせど戻って来ない。あれ~、どうしたんだろう。
暇なんで、さっきの受付の女性に「あのオジサンどっか行って帰って来なくなっちゃたんだけど、どうしちゃったんだろうね」なんて言ってたわけ。
さすがに暇なんで、ショールームの車見ながら、待ってたんだ。
ほどなくして例のYさんがパソコン抱えて、フーフー言いながら戻ってきてね。
Yさん「分かりました、分かりました。KINTOはどうやらネットで申し込むものらしいんですよ」
今 「おいおい、Yさん、KINTO知らなかったのかよ、ひょっとして」
Yさん「すみません。経験無かったもんですから。今、調べて分かりました」
はっは~~。どうりで買わせよう、買わせようとするわけだよね。
いつもやっている自分の世界に持ち込みたかったわけだよね。
後からとは言え、実に正直で実直なYさん、素晴らしいよ。
今「何だよ~。YさんKINTO知らなかったんじゃない。だったら早く言ってくれればいいのにさ」
Y「全然知らなかったわけじゃないんですけどね。何しろずっと販売しかしてないもんで。せっかくご希望なので、頑張ってやります」
今「そう言いつつ、Yさんキーボード打つ手がおぼつかないように見えるよ」
Y「何しろ、普段あんまりパソコン使わないもんで。でもですね。大学ではその手の勉強はしましてね。SEになりたかったんですよ」
今「・・・・・・・・」
Y「結局、挫折してなれなかったんですけどね・・」
ここで二人で大爆笑だよ~~。いいね、いいね、Yさん大好きだよ~。
その不思議なコミュニケーションスタイル。
素なのか、場を盛り上げようとしてくれているのかは分からないんだけどね、何だかユニークなんだよね。
一本指でキーボード打ちながら、真顔で「大学で勉強してSEを目指していた」だもんなあ。
文章で伝えるのが難しいんだけど、何とも場がほのぼのとした雰囲気になってるわけさ。
この後にね、さらに最高にほのぼのする展開になるなんてわからんわな。
【S店長現る】
明るいショールーム前のテーブルで、Yさんとそんなやり取りをしていると、そこに上下のスーツに身を固めた渋い中年氏が現れて、悠然とテーブルに座る。
Yさん「店長!!」
なんとボクのKINTOの注文の場に、予告もなく店長登場だ~~。
S店長「店長のSです」
今「あっこれは店長自ら恐縮です。今野です。KINTOで車をお願いしに来まして、Yさんが初体験で頑張ってくれてます。ところで店長自らどうしたんですか」
S店長「いえ、何しろこの店でKINTOのお客様が初めてなもんで、勉強しに来ました」
今「え~~~~っ。そうなの~」
Yさんも正直だけど、S店長はもっと正直。
ここであっさり、ボク今野誠一がこの店でKINTO取扱い第1号であることが判明。
何たる光栄、何たる朗報。一気にボクのテンションはアップ。
それにしてもS店長、大物である。
この店でKINTOの実績がないのをあっさり認めて、めったにない機会だからと、同席して勉強するって展開になってんだもの。
ここから、S店長と、営業マンのYさんと、注文者のボクの『三匹のおっさん』の悪銭奮闘の始まり始まり。
オヤジが三人で、パソコン囲んで「ああでもないこうでもない」。
わあわあ騒いでるんだもの。
滑稽だよ~、周りから見たら。
まず、希望の車の内容を打ち込んで行くんだよね。
グレードとか、色とか、装備とかね。
で、色の話になって、ボクがう~んって唸ってたらね、
S店長「とりあえずシルバーにしましょうよ。後でいくらでも変えられますよ」
今「ほんとだよね。後から変えられるんだよね?」
S店長「大丈夫、大丈夫。正式の注文までは変えられますよ」
いつの間にか、ボクは店長に対してため口になっちゃてる(笑)。
なんかすっかり優位に立っちゃってるわけ。
その後に、注文者のボクの情報を入力していくわけなんだけど、ここまで来るのに相当苦労しているわけね。何しろ3人共初めてのことなんでね。
時には、KINTOのサービスセンターに電話して聞きながら、注文のオンライン手続きを進めていくわけ。
で、いよいよ最終コーナーになって、ボクが色について気が変わっちゃってね。
こんな具合に。
今「色なんだけど、シルバーも悪くないけど、ありきたりだと思うんだよね」
Y「そう言えばそうですよね。何色がいいんですか?」
今「そうだなあ。黄色なんかいいね。そういう楽しい色がいいね。うん黄色にしよう」
【色が変えられない事件】
で、申し込みのフォーマットを色々見たらね、戻ることができないわけさ。
どうやっても色の変更ができるような画面にならないわけ。
で、Yさんがまたサービスセンターに電話して聞くわけだよね。
そうしたら衝撃の事実が判明
Y「サービスセンターによると、条件は一度入力すると最後まで変えられないらしいです」
今「え~~、じゃあシルバーにしなくちゃいけないの~。すっかり頭は黄色になってるんだけど」
「店長、後からいくらでも変えられるって言ったじゃん、もう~」
と言っても変えられないものは変えられない。
何か方策はないのか。
今「Yさん、サービスセンターは何か方法言ってなかった?」
Y「“ここでキャンセルして最初から入力するしかない”って言ってました」
今「するする。何度でも入力する。やり直して黄色にしよう!!」
ひえ~~、途中で条件の変更に対応するようになってない、ってどんな仕組みなんじゃ~~。
悪態ついていても解決にならないんで、ここはグッとこらえて粛々と、一から入力作業やり直し。
文章で表しにくいんだけどね。相当な入力量なのよ。
どうやら3人の中で自分が一番入力が速そうなんで、入力作業を買って出てね。「お二人は忙しいでしょうから、一仕事してきてもらっても・・」
【ボクのスマホを3人で覗く】
全ての注文情報と顧客情報を入力し終わって、いよいよ「注文していいか」と聞いてくるよね。
この最後はドキドキしたね。
申込みボタンを押したときには、期せずして拍手が起こったね。
お店に一体感が生まれるわけ。
お店の活性化に貢献しているな、今野誠一。
少し経つとボクのメールに「ご自分の注文に間違いないか?」って届いてね。それに返事すると、また「正式申し込みになるのに、通常2~3日かかります」って届くのね。
これらは注文者の僕に届いてるメールだからYさんとS店長には見えないから、一々それを見せるんだけど、そのたびに盛り上がるんだよね。「お~~っ」ってね。
「こういう風に届くのか~」てなもんだよね。
初めてスマホを見た、江戸時代からタイムマシンに乗って来た農民状態なわけ。
それがおかしくておかしくて。
これはメールをスマホでたまたま見てるだけなんだけど、店長が言うわけ。
S店長「いやあ、今野さんみたいなスマホ慣れている人がお客さんでよかったなあ」って。
Yさん「そうですよね。しかし、今野さんみたいなノリのいい人でよかったですよ。普通のお客さんだったら途中で怒って帰っちゃいますよ。だって2時間かかってんですよ」
S店長「勉強になりました。ありがとうございました」
ワハハハハ。大爆笑だよね。
【3人の間に戦友意識が生まれる】
そりゃ、ボクだって何ってこったとは思ったよ。
だって、営業マンも店長も初めてだってんだもの。
怒って帰ってもな~んにもなんないからね。
最後まで一緒にやり切らないとと思ったわけさ。
なんてったって、KINTOの取引第1号だかんな。
ここまでやり切ると、三人の間に不思議な友情っていうか「戦友意識」っていうの?それが湧き上がってきて。
「オレたちよく頑張ったよな」って。
ハグだよ、ハグ。
Yさん「納車までまた色々お世話になりますがよろしくお願いします」
S店長「今日はたまたまフェアやってましてね。お米があるんですよ。持ってってください」
見るとS店長がドッコイショってんで、お米を持ってきてるわけ。
どう見ても10キロはあるんでは?
これはとても持ち帰れんなあ、と考えていると、それを察知したYさんが・・
Yさん「店長、ご自宅までお送りした方がいいですよね。自分お送りしてきますよ」
いやはや、何とも言えない展開。
涙が出てくるよね。楽しくて。
【健気な情報提供】
その後もね、KINTOから、色々情報メールが届くわけね。
この後の流れとか、あとメルマガも届いたな。
これらの情報は、S店長とYさんは見られないわけだよね。
元々親切な性格な上に、彼らに友情を感じているボクは、そのメールを一々印刷してお店に届けたね。
だって、注文者にどんな情報が届いているのか知らないとね。
営業マンとしては困るもんね。
社内でぜひ共有勉強会をしてほしいよね。
その後何度か顔出しているんだけど、そのたび社内に在席している限りお二人揃って出迎えてくれてね。
嬉しいよねえ。知らない土地でこんな形で販売会社と注文者の垣根を超えて、友達になれるんだからね
「コロナ明けたら、ぜひ飲みにいこうぜ。当然割り勘だよ」ってな感じだよね。
きっとS店長が奢ってくれようとするに決まってるけど、そういうわけにはいかんね。
それじゃあ、友情にならんもんね。
完全割り勘で、三人で楽しく北見の夜を過ごすのを楽しみにしてるんだけどね。
恐らくね、納車の時にもまたなんかドラマが待ってるような予感がするなあ。
こうして、仕事は一向に増えないのに友達が増えていく今野誠一であった。
チャンチャン。
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