ホスピタリティって何だろう?『ひとつ屋根の下』の名台詞から考えたい
僕はホスピタリティのある言動が大好きです。
クライアント企業に出向いたとき、受付で知らない社員さんが挨拶をしてくれると清々しい気分になります。仕事をお願いしたパートナーさんが「こういう資料、必要じゃないですか?」と先回りしてくれたときも同様です。ホスピタリティがあるなあと感じると、思わずうれしくなります。
そもそもホスピタリティとは何でしょうか。ホテルやレストランなどの接客業で使われることが多い言葉ですが、僕はどんな仕事にも通ずるものだと思っています。
どうしてこんなに意識するようになったのか。ホスピタリティのある仕事の進め方とはどんなものなのか。今回は、僕が人生で大切にしているホスピタリティについて振り返ってみます。
ホスピタリティとは「思いやり」だと思う
ホスピタリティは一般的に「おもてなし」と訳されますが、僕は「思いやり」だと思っています。なぜなら、サービスを提供する側とされる側は対等な関係だからです。
レストランで食事をするとき「思いやり」を持って食べているでしょうか。お金を払っているのだから、どのように振舞っても構わないと考えますか?
僕は、料理がおいしかったのなら「おいしかったです」「ごちそうさま」と伝えたい。お客様は神様ではありません。ホスピタリティは相手を思いやる心だととらえると、そこに上下関係はないはずです。
「思いやり」はSNSやWebサイトにも表れます。たまに見かけるのが、おしゃれだけどホスピタリティがちょっと足りないなあと感じるWebサイト。飲食店の場合だとグランドメニューが載っていなかったり、今日営業しているのか分からなかったり。これでは安心してお店に行けません。
僕の場合、一番気になるのは小さな子どもを連れて入れるお店かどうか。特に今はコロナ禍で営業時間が不規則だったり、席数を制限していたりすることがあります。そんなとき、TwitterやInstagramに最新の情報が掲載されているととても助かります。
デザイン性の高いWebサイトよりも「お客さんが求めていること」に応えようとしているSNSの投稿のほうが、ホスピタリティにあふれていて好きなのです。
人を楽しませるために、自分ができることは何か?
一体いつからホスピタリティが僕の人生のテーマになったのか。
ルーツは20代のころ、パラオでダイビングガイドとして働いた経験かもしれません。
それまでの僕は、お金のために働いていました。「どうやったら効率よく稼げるか」ばかりを考えていて、「よりよい接客のために何ができるか」「もっとお客さんに喜んでもらうにはどうしたらよいか」という視点はなかったんです。
ところが、パラオでの仕事は違いました。ダイビングショップの給料がよかったわけではないですが、とにかく仕事が楽しかった。僕にとって、お金以外の理由で働いた初めての場所だったと思います。
ダイビングツアーを楽しみにしているお客さんが「いかに楽しめるか」を常に考えていました。ただし、相手の要望を何でも叶えられるわけではありません。
例えば、お客さんから「好きなように潜らせてほしい」と言われても、目を離すことはもってのほか。ダイビングガイドは命を預かる仕事だからです。
こうした要望がある場合、「自分の好きなように潜れている」と体感してもらいながら、安全確保を両立できるラインを探りました。お客さんが楽しめる工夫をしつつ、ダイビングガイドとしての責務を全うしていたのです。
仕事とは、作業をこなすことではない。「スキルや経験を活かして、相手を満足させること」だと気づいたのはこのときです。
「思いやり」のない発言に問いたい。「そこに愛はあるのかい?」
システム開発にも、ダイビングガイドの仕事と同じことが言えます。お客さんはシステムがつくれないから依頼してくれています。それなのに「仕様変更が多い」「これだと見積もりはつくれない」と不満をこぼすのは、あまりにもホスピタリティに欠けていると思うのです。
部下や後輩がこうした発言をした際は、大好きなドラマ『ひとつ屋根の下』の名台詞を引用していました。その台詞とは、
「そこに愛はあるのかい?」
少し恥ずかしいですが、これは僕の本心でもあります。クライアントに愛を持って向き合ってもなお同じことが言えるのか、と問いたい。
自分の仕事を離れて考えてみてください。家を建てたことのない人が、工務店の手助けなく立派な家をつくれるでしょうか? 最初は完成図を描くことすら難しいはずです。
僕自身、注文住宅を建てたことでプロの仕事を体感しました。家を建てる前は「ああしたい」「こうしたい」と思いつくままに要望を挙げていました。それらを踏まえて設計書をつくってもらうのですが、図面を見ても僕らには想像が行き渡らない部分があるわけです。
例えば、わが家には階段上にコンセントがあります。設計書上でも確認していたのですが、いざ暮らしてみたらまったく使いませんでした。
別の場所に電源があったほうが自分たちの生活動線に合っていると分かり、あとから追加してもらうことに。工務店の担当者さんが快く対応してくれたので、僕は気持ちよく依頼できました。
実際に見たり、使ったりして初めて気づくことがあるのは当然のこと。使う人の状況が変われば、必要な機能も変わってきます。そうした変化や微調整が発生した際に、どれだけ対応できるかが腕の見せどころではないでしょうか。
ホスピタリティを磨くには、お客さんとエンドユーザーを知るべき
受託開発の仕事について言うと、プログラムの勉強をしているだけではホスピタリティは磨かれません。客先に出向いて、要望をヒアリングすることが一番よい手段だと思います。お客さんが何を考え、どんなことに困っているのか、具体的に知ることが大切です。
僕はご縁があって自動車業界のプロジェクトに多く関わってきました。自動車メーカーの社員の方々は、工場やディーラーを経験してから各部署に配属されます。この仕組みを知ったとき、理にかなっているなあと感心しました。商品がどのようにつくられ、どうやってエンドユーザーに届くのかを理解できるからです。
仕事でホスピタリティを発揮するには、自分たちが提供するものに対する一定の知識が必要です。あとは、やっぱり「愛」でしょう。
自分ではない誰かの気持ちに思いを馳せるのは、愛情がなければできません。僕は『ひとつ屋根の下』で江口洋介さんが演じた「あんちゃん」のように、暑苦しくて愛にあふれた人になりたいなあと思っています。
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