ドイツのクリスマスマーケットでソーセージ7種類食べた話
2023年12月 冬の真っ只中
あなたは何をしていましたか?
私はドイツでソーセージを食べていました
こんにちはソーセージ姉さんです
現在ドイツに滞在している私は、昨年冬にドイツ各地のクリスマスマーケットを巡る旅を決行
(クリスマスマーケットとは…冬に各地で開催されるドイツの伝統的なお祭りの一つ)
華やかに飾り付けられたイルミネーション、町の広場に突如現れる観覧車やメリーゴーランド、軽食やクリスマス飾りの出店などが一度に楽しめる冬の一大イベントであり、大勢の観光客が国内外からこれを一目見ようと各地を訪れる
そしてクリスマスマーケットで必ずと言っていいほど見かける『とある屋台』があるのはご存知だろうか
そう、ソーセージの屋台である
一つの町にあるソーセージ屋台の数も1つや2つじゃない
大きな街だと2桁はあるんじゃないかという程のBratwurst(焼きソーセージ)の名を連ねた出店がそこかしこに出現する
出店のソーセージが大好きな私が黙って指を咥えてみていられるわけが無い、これはもう行ける限りの街に行かなくては
そんなわけで1ヶ月ICE等を除く各種公共交通機関が乗り放題になる49€チケットを購入しそれを使い倒すことにし、最終的にこの冬で5つの都市を訪れることができた
少なくない?と思う人もいるかもしれないが、この年まで旅行というものを積極的にしてこなかった人間が1ヶ月で5つの都市を訪れるなんて事は奇跡に近い 少なくとも私史上最も高スパンで長距離移動した月だった
この記事は、私が訪れたその土地で味わったソーセージたちの備忘録である
祭りの雰囲気やソーセージのおいしさが伝われば幸いです
(※食べかけ画像が出てくるので苦手な人は注意してね!)
1品目 Bratwurst 1/2Meter
私が最初に訪れたのはザクセン州最大の都市・ライプツィヒ
寒空の下、ゴージャスなイルミネーションと活気ある屋台の間を歩くだけで気持ちが高まるのを感じるし、そこかしこでロマンチックな雰囲気に当てられたカップルが顔を近づけ鼻を擦り合わせる 見ているこっちまで幸せが伝染してくる
そして噂通り、一つの街で多数のソーセージ屋台が存在している!!歩けば続々と現れる焼きソーセージの屋台は、どこも美味しそうな匂いや音で客を呼び込んでいる
どれにすればいいんだ あまりに迷いすぎる
どこで食べるべきか決めきれずウロウロしていた私の眼に、とある文字が飛び込んできた
Bratwurst 1/2Meter(直訳:焼きソーセージ 1/2メートル)
えっっそれってつまり…
めっちゃ長い焼きソーセージってコト…!?
何それ食べたすぎる そしてクリマ最初の一本に相応しい気もする
注文すると店員のおばちゃんがひょろ長いそれを鉄板の上で転がして温めたのち、パンに挟んでニコニコと手渡してくれて…
いやなげ~~~!!!!!!
あまりに長いのでパンからはみ出した両端が重力に逆らえずだらーんと下がっている
もたもたしてると端までかかったケチャップがたれ落ちそう、急いで端っこにかじり付くと…
うま〜〜〜ッッ!!!
雪が降る寒さの中、アツアツの肉とその塩分に思わず夢中になってむさぼってしまう
しかしどんなにがっついて食べても、まだまだなくならない夢のような焼きソーセージ ここになんと…
クリマ名物Glühwein(ホットワイン)!!!
アルコールとソーセージとクリマの雰囲気が手を取り合い、私の五感全てを喜ばせてくる
正直頼んだ瞬間は食べきれるかな?と一瞬の不安もあったのだが、まったく問題なかったし普通にぺろっと食べられた
私は心身ともに大変満たされご機嫌で帰宅 一発目からあまりに幸せすぎるクリマの洗礼を受けることができた
2品目 Wagyu Bratwurst
後日再度ライプツィヒのクリマへ この街にはまだ見ぬソーセージ屋台が私を待っている
さて今日は何を食べようかと手をこすりながら屋台の間を練り歩いていると突如こんな言葉が視線の先に現れた
Wagyu…和牛!?あの和牛?!ドイツで!?!
思わず立ち止まってまじまじ見ていると、屋台からは確かに高級牛ステーキの様な香りが漂ってくる
しかしどうみても鉄板の上で焼いているのはソーセージ まさか和牛の焼きソーセージだとでもいうのか……
どうやらそのまさからしい
7.5€と他の屋台より強気な設定になっているのも和牛を使ってるからだと思うと納得
これはあまりに珍しすぎる日本でも出会えるかどうかわからない 今食べてみるっきゃない
値段のせいか人もまばらだったのですぐに店員さんに注文できた じっくり鉄板の上で焼いたそれをパンに挟む
もう手渡された瞬間から牛の香りがダイレクトに鼻腔にクる!!ハア、ハア、もう自分待ちきれないっす…
勢いよく一口目を頂く ガブ……
うっっっっま
ちょ ちょっとおかしい
このレベルが屋台で食べられていいんですか
当然だが普通の豚肉焼きソーセージとは食感から香りに渡るまで何もかもが違う
混乱しつつ、火傷しそうなほどお肉がアツアツでつい口の中でハフハフしてしまう この行為が何とももどかしい
一口でもわかる程、牛の風味がガツンときて牛肉100%の喜びが腸に詰まってる
食感も柔らかいだけじゃなく、粗びき肉が歯をはねっ返してくるようなワイルドな噛み応えがある
肉粒一つ一つ柔らかいのに存在感があって、噛むとコショウがピリっと効いてたまらない
昔日本で油がジュワジュワと飛び跳ねる鉄板に乗った和牛ステーキを食べた日の記憶が蘇る
食後、あまりにおいしすぎて帰り道にツイッターで「和牛ソーセージが美味しすぎた」という話をするだけの一人語りスペースを開いてしまった それくらい感動した
後日、周りの人におすすめの屋台を聞かれるたびにここを布教していた
Wagyuいいよ…来年も出店してくれないだろうか
3品目 Bratwurst
次はライプツィヒから電車で1時間半で着く街、ドレスデンへ訪れることに
ここはクリスマスマーケット発祥の地とも呼ばれ、ライプツィヒに負けず劣らず華やかなお祭りムードに包まれていた
街を一通りぶらぶら歩いて日も落ちてきた頃、ひときわ人の並んでいる焼きソーセージの屋台を発見 この日は迷わずそこで腹を満たす事に
ここのお店はパンまで温めてくれた
ドイツで焼きソーセージと言うとパンが一緒についてくるのが一般的だが、両方温めてくれる所は多く無い 少なくとも私が食べたことあるお店では大抵パンはそのままで渡される
しかし今宵はパンもお肉もホクホクである このひと手間が嬉しさを+1にしてくれる
さあ沢山歩いて減りまくった腹に栄養を送ろう…パク……
あ〜〜 沁みる〜〜〜
アツアツソーセージが寒い外気に触れて、かじり付いた断面からほかほかの湯気が立ち上る 写真では伝わらない風情
大きめのコショウの粒が入っててそこを噛むとピリッと心地よい刺激
特別な味付けじゃ無い だがそれがいい
自分を取り囲む街の雰囲気が非日常的なのだから、ソーセージこそシンプルなのが良いのかもしれないとすら思える
食べ終わる頃は油で唇がテカテカになっちゃったので、ラム酒とホットココアにたっぷりの生クリームが乗った大人のホットドリンクを頂き〆とした ラム酒が飾りじゃ無い量入れてくれてしっかり酔えたのも良かった
4品目 Apfelweinbratwurst
お次は言わずと知れた大都市、フランクフルトへやって来た
日本から持って来たガイドブックの中でもここのクリマが強く推されていたので、是非訪れたいと考えていた
フランクフルトで私が最初に訪れたのは、お肉屋さんがその店舗の小窓を開けてやっている、屋台というよりはクリスマス時期の特別営業といった様相のお店
何故そこに近づいたのかと言うと「Apfelweinbratwurst(直訳:リンゴワインソーセージ)」という文字を見かけたからだ
迷わずそれを注文 どうやらリンゴ酒を肉に練り込んだフランクフルトの名物ソーセージらしい
長いソーセージを半分で折って、それを二本を重ねた状態でパンに挟んでくれた 珍しいタイプである さてお味は…???
皮バリバリだ!!
焼き目の付いた部分がいい具合に硬く焦げて食感のバリ感がなんともウマ~~ッ ビビンバの焦げ目の部分を食べてるような贅沢感
でも中のお肉はふっくらジューシーで塩加減も丁度良く、粗挽き肉の滑らかさよりざらざらとした肉粒の食感も良き
食べながらリンゴ酒の味を探してみたが、特にそれっぽさは感じない…
強いて言うなら若干甘かったような気がしないでもないような…??ちょっと林檎を求めすぎてしまったかもしれない
しかしさすがはお肉屋さんの焼きソーセージ、最初から最後までず〜〜っと美味しかった 今度はぜひ別のお店のApfelweinbratwurstも試して見たい所
5品目 Choripan
引き続きフランクフルトのクリマをぶらついていると、メイン通りから外れた所で新たな焼きソーセージの屋台を発見
覗いてみると、今までに見たことがない名前の焼きソーセージが売られていた
その名もChoripan(チョリパン)
スマホで調べてみると、どうやらアルゼンチン等で人気のチョリソーを挟んだサンドイッチのことらしい
チョリソーを挟んだパン=チョリパン そのまますぎるネーミングとお店特製チミチュリソースというのがどうも気になる…
注文すると目の前で縦半分にカットされたソーセージとパンを同時に鉄板で温めて、ハーブ香るソースをたっぷり塗りこんでくれる
「インスタにアップしてね!」という一言と共におじさんが出来立てのチョリパンを手渡してくれた
折角なのでインスタ用の写真も何枚か撮りつつ、アツアツのうちに食べてみることに…
ん!!!新しい〜〜!!!
食べた瞬間「ハンバーガーみたい」という言葉が脳に浮かぶ、肉はどうやら牛と豚の合い挽きっぽい
ここにオリーブオイル・お酢・唐辛子・オレガノ等の香草をふんだんに使ったチミチュリソースが合わさって今まで味わったことのないタイプの焼きソーセージを感じさせてくれる
たっぷりのハーブとお酢の酸味が効いて異国情緒がたっぷり 遥か遠くアルゼンチンへ思い馳せてしまう
ソーセージは中からは時々脂身の塊が現れてポタポタと油が垂れてくるし、味付けはチョリソーらしくスパイシーで塩気がかなり強い サラミに近いというか完全サラミだこれ
最後はペーパーに溢れたソースも残さずぺろりと完食 1日で2回も焼きソーセージを食らったので腹がパンパンである
しかしこれ他で食べたことない味わいで面白かったな このソース普通に家で作ってみたい…
6品目 Currywurst
お次はヘッセン州にあるカッセルという人口約20万人ほどの街へ
なんでも童話をモチーフにしたクリマ限定のマグカップがあるらしく、友人が行くとのことだったので便乗して私もお供させて貰うことに
実際訪れてみると、確かに会場にはそれらしいモチーフがあしらわれており、各童話の影絵があったり、まるでおとぎ話に出てくるような王様の椅子がフォトスポットとして置かれていたりする
友人とキャッキャはしゃぎながら屋台の間をぶらついているとカレーブルストの屋台が出現 瞬間、無性にそれが食べたくなり友人と一緒に衝動的に注文
赤い制服のおじいちゃんが手際よく焼きたてのソーセージを一口大に切り紙の器によそってくれた
湯気がもうもうと立ちこめる紙皿に顔を近づけると、カレー粉とケチャップの合わさったスパイシーな香り ハ〜良♡♡
ハサミで適当に切られたソーセージの不揃い感も逆に味がある 早速ようじがぶっ刺さってるソーセージからかっ喰らうと…
うんま~ もうカレーブルストという存在自体が私の舌を絶対に裏切らない味すぎる
プリップリで皮もパリッとして、ケチャップの酸味が唾液腺をギュッ!と刺激してくる
この日はあいにくの天気で肌寒い気候だったが、こんな時に食べるほくほくのカレーブルストは余計うまい
余ったケチャップは一緒に渡されるパンにつけて余さず頂き、きれいに完食した
食後は友人とホットドリンクを飲みながら「北海道の小学校には指定ジャージが無い」というテーマで談笑
その後〆にスイーツまで頂き、充実のカッセルのクリマ巡りとなった
7品目 Lumm Bratwurst
カッセルと同じヘッセン州にはミヒェルシュタットという小さな町もある
ここはクリスマスマーケットが有名で、小さな町特有のこぢんまりとした雰囲気が他の大都市にないロマンチックな風情を醸し出しているらしい
昨年夏に知人からここを案内してもらった事をきっかけにその情報を知った私は、必ず冬にもう一度来ると決めていた
そして12月23日、クリスマスイブイブについにその日がやって来た
いや冬ロマンチすぎ〜!!!!
伝統的な木組みの家にイルミネーションが施され、町中にはかわいい出店が並び観光客で賑わっている
活気はあるがどこか品もある景観や雰囲気がすごく私好み、まるでおとぎ話の世界を歩いているような心地だ
もちろん焼きソーセージの屋台もあった 看板を見ると『Lumm Bratwurst』とある
Lumm…あ、ラムだ!羊肉ソーセージ!
クリマでラムのソーセージが食べられるなんて 吸い寄せられるように注文
店員さんが網の上でアツアツに焼いたソーセージをパンに挟んで手渡してくれる
4€やっす~~!!
クリマ巡り中一番安い焼きソーセージが来てしまった しかもそれが羊肉ソーセージだなんて
他の街ならシンプルな焼きソーセージでも基本5€~というのに、この街は全体的にお店の値段設定が親切すぎる
屋台のおばさんに心の中で感謝しつつ、アツアツを頂くと…
粗びき肉の粒感ゴロゴロ〜!!
うまいそぼろ食べてるみたいな肉粒感がいい 加えて皮もバリッとしてて食感も良◎
そこにジンギスカンを食べた時のようなラムのワイルドな風味が口いっぱいに広がる んふう…うまあ…
そして予想外に辛い!!
スパイスが効いて、さっきまでみぞれのような雨に降られ冷え切った体が温まってくる
安いのにしっかり大きくて、でもあっという間に完食 美味しすぎた…
ラム肉のソーセージいつか自分でも作ってみたいな
余談だが、この後ホットワインを飲んで町の小さな楽団によるミニコンサートを間近で聞いたのだが、お酒のせいかそれとも街の雰囲気に当てられたのか、クリスマスソングの生演奏で普通に泣いてしまった
この冬5つの都市を訪れたが、この街が一番心に残っている
叶うなら来年もまた訪れたい、そう思えるような小さくて可愛い町のクリスマスマーケットだった
おわりに
こうして私は計5都市で7つのソーセージを心ゆくまで味わった
ソーセージなんてどこで食べても一緒、そう思う人もいるかもしれない
しかし推しを見ることでしか得られない栄養があるように、行きたい場所へ行き食べたいものを食べる事でしか得られない栄養がある気がするのだ
私は本来ならワーキングホリデービザが切れる5月末には日本に帰国する予定だったのだが、今は事情が変わり、これからしばらくドイツに滞在する事になった
その理由やこれからの事もいつかちゃんとお話ししたいなと思っています
その時にまたお会いできたら嬉しいです
ここまで読んでくださりありがとうございました!