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業務効率化7つのセオリー(5):人の判断が必要だからといってあきらめない

RPAが適用できる業務は、ルールが明確で人の判断がいらない定形業務が対象となります。人でなければ判断できない業務をロボットが処理できるはずもないからです。こう聞くと、多くの業務が「人の判断が必要だから」という理由で簡単に対象外にされがちですが、そう簡単にあきらめるべきではありません。次の2つの可能性について検討してみましょう。

①すべてに人の判断が必要なのか

まず人の判断が必要なケースが全体の何割占めるかを確認してみます。もし全体の1~2割程度に人の判断が必要なのであれば、残りの8~9割は自動化できることを意味します。仮に半分であっても、半分自動化できれば従来よりも効率的になるのではないでしょうか。

実際に筆者が支援している現場でも、RPAを簡単にあきらめているケースが多々あります。人の判断が必要という理由なのですが、よく聞いてみると、一部の例外時に人が判断しているだけであって、ほとんどの処理はルール通りということがあります。完全にルール化されている業務だけが対象と思い込んでいるのです。

たとえば注文をメールで受け取る業務で、顧客の中にはルール通りに書いてこない人もいるため、人が判断しているとします。しかし一部の顧客だけがそうなのであれば、ルール通りのメールだけをロボットが処理し、そうでないメールはロボットが担当者へ転送するという方法もあります。

このようにロボットと人が協業することをイメージすれば、自動化の可能性が広がるはずです。100%自動化を目指すのではなく、80%くらい自動化できれば十分と考えて取り組むくらいで構わないのです。

②あえてルール化できないか

現在は人が判断している業務も、今回の取り組みを機にルール化できないか考えてみます。人が判断しているということは、その人の頭の中に何らかのルールがあるかもしれないからです。

人が判断するといっても、まったく無秩序に判断しているわけではないはずです。ただし、本人も明確な判断基準を意識していないかもしれません。これまでの経験と勘で判断していることもあります。このような経験や勘にもとづく知識のことを「暗黙知」といいますが、これを目に見える「形式知」に置き換えられないか検討してみるのです。

仮に現在の判断を完全に形式知にできない場合、「新しいルールに作り替える」ということも視野にいれるべきです。たとえば、従来はかなり細かな要素を勘案して判断していたものを、効率性の観点から思い切った簡略化を試みるような方法です。「割り切る」という言い方が適切かもしれません。

このように、まずルール化されていないものをルール化する、さらにルールを大胆にアップデートする、という2段階のアプローチによって「あえてルール化できないか」という課題にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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