RPA活用のポイント(2):資料作成
企業ではExcelなどを使って数多くの「管理資料」を作成しています。ここでいう管理資料とは、たとえば売上実績表や収支管理表といった主に計数管理の資料です。
単に1つのシステムからレポートを出力するだけであれば、システムのレポート機能を使って印刷するだけですが、複数のシステムからデータを集計する場合は標準機能でできないため、手作業で対応することが多くなります。
大企業の場合は、データウェアハウス(DWH)などを導入し、互換性のないシステムのデータを一元管理する仕組みを構築しているかもしれません。この場合はすでに自動化されているためRPAの対象外となりますが、それでもDWHでカバーされていない情報は手作業で対応しているはずです。
資料作成はPRAがよく使われるパターンの1つです。これは数字の集計や加工がヒューマンエラーの起きやすい業務であり、ロボットの正確性が非常に役立つからです。またレポートが早く出来上がることも計数管理では重要となるため、RPAが重宝されています。
ここでは資料作成でRPAがよく使われるパターンとして、複数のシステムからデータを集計するケース、フォーマットが頻繁に変わるケースの2つについて活用方法を説明します。
①複数のシステムからデータを集計するケース
このケースの代表例に「営業管理表」がありますので、これを例にとって説明します。
通常さまざまなデータは異なるシステムで管理しており、売上高実績は会計システム、受注情報は販売システム、未受注の案件情報はExcel表といった形でデータソースが分散しています。そこでロボットは下記の図のように複数のシステムからデータをダウンロードし、データを編集します。
具体的には、まずロボットは会計システムにログインし、売上データをダウンロードします。次に販売システムにログインし、受注データをダウンロードします。案件情報をExcelで管理している場合は、Excelファイルを特定のフォルダに置くルールとしておき、ロボットはそれらのファイルから受注見込み情報を取得します。
次にロボットは収集したデータをもとに着地見込みや進捗率などを計算し、規定のフォーマットに合わせて資料を作成します。完成した資料はメールで関係者へ送ります。ロボットが作成した資料はミスがないだけでなく、できあがるスピードも早いのが特徴です。これまで何日もかかっていた資料が恐らく数秒で完成しますので、それだけタイムリーな資料を手にすることができるわけです。
②フォーマットが頻繁に変わるケース
フォーマットが頻繁に変わる代表的な資料に「部門別収支管理表」があります。これはビジネスの実態に合わせて、収支の管理方法が頻繁に変わるからです。たとえば組織変更があると収支管理の単位を変更しなければならないですし、また共通費の配賦についても実態に合わせて定期的に見直されることがあります。
このように頻繁にフォーマットが変わる資料作成は、システム化したとしてもメンテナンスに余計な費用と時間がかかってしまうため、簡単に修正ができるExcelを使うことになりやすいのです。しかし、Excelだと結構な作業負荷がかかるため、RPAによって大幅な効率化が期待できます。
収支管理表は営業管理表などよりも、はるかに複雑で大変な作業を要します。営業管理表が売上高だけを対象としていたのに対し、収支管理表は何十種類もの費用科目を対象とするからです。
また部門別の収支管理では、売上や費用を部門別に按分する必要があります。特に光熱費や物流費など部門にまたがって消費される共通費は、何らかの配賦基準にもとづいて費用を按分しなければなりません。配賦基準を科目ごとに細かく設定している場合は、その計算に膨大な作業がかかってしまいます。これらをExcelなどで集計、編集している場合は、かなりの手作業となっているはずです。したがって柔軟に変更が可能なRPAによる自動化が高い効果を発揮するのです。
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