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モジャ日記-バングラデシュのゴミ事情-

モジャ!
ギフトフードプロジェクトバングラデシュ担当の古川しゅーとです。

より良い地球を次世代に引き渡したいという想いを込めて、今回のモジャ日記では、バングラデシュのゴミ事情、そして私たちにできることについて書いていきます。

それでは参ります。

■何故、ゴミ問題なのか?■

実は先月までバングラデシュで現地活動をしていました。

ダッカの街並み

ダッカから2時間ほど離れた町へ向かう道中のことです。突如。日本では嗅いだことのないような、ありえない匂いがバス中に充満したんですよね。

匂いを何かに例えるのは難しいですが、いろんなものが混ざって何かが腐ったような匂いでした。

悶絶しているボクの横に座る現地パートナーは、”真顔”です。顔色ひとつ変えないのでボクの鼻がおかしくなったのかと一瞬錯覚しましたが「そんなはずはない」。なぜだなぜだと周りを見回してみるとその理由がわかりました。

バスの車窓から見える景色が一面、ゴミ山だったんです。

それもただのゴミ山じゃないんです。高さは20メートルくらいはあろうゴミ山でして、リアルに1キロくらい続いているんです。

バスからの景色

5分ほど腐敗臭ロードを堪能した後、なぜかゴミ山のことで頭がいっぱいでして。その日はいったい何が起きているんだ?解決しないとやばくないか?とずっと考えていたのです。

考えているうちに謎の使命感が沸々と芽生えてしまったのは言うまでもありません。笑

世は令和になりましたが、、、形あるモノはいつだって自然の摂理に従って地球に戻っていくのですね。

ですが、プラスチックゴミ。。。

自然に還るのは400年以上かかると言われています。

知れば知るほど、子どもたちの未来に大きく影響する課題であると思ったので、今日は皆んなにゴミ問題についてシェアさせていただきます。

■日本のゴミ事情■

さてゴミ事情。僕たちが生活する限りは切っても切り離すことができないものであります。一般家庭からは、可燃ごみ、不燃ごみ、ペットボトル、缶・ビン、紙・ダンボール、粗大ゴミと多岐に渡ります。

そんなゴミについて、、、ゴミ収集車のドライバーさんが僕たちの地域からゴミを運んでくださった後に、どう処理されているのか知っていますか?

一昔前までは、家の近くで燃やしたり、生ごみなら畑に戻したりとしていましたが、近代化・都市化された今はどうなっているのか。東京都の例を解説しようと思います。

【日本-東京都-】

すんごいざっくり図で表すとこのような感じです。
集める⇨分別⇨処理⇨埋立。

①出典:東京二十三区清掃一部事務組合HP

各都道府県の自治体によって、分別・処理方法が違います。東京都のゴミは家庭ゴミを含めて、分別・燃やされた後に、新海面処分場(平成10年(1998年)〜に埋立がなされております。

③出典:深海面処分場PDF
④出典:東京都廃棄物埋立管理事務所PDF平成28年

日本もつい30年前までは生ごみや不燃ごみを、そのまま埋め立てていたそうですが、環境被害の懸念・埋立地が狭いことも後押しとなり、日本では燃やすことが主流となっていきました。

④出典:東京都廃棄物埋立管理事務所PDF平成28年
④出典:東京都廃棄物埋立管理事務所PDF平成28年

ちなみに、将来的に埋立地では施設や公園などを作ることを想定して、大規模な基盤工事をしていたりなんだとか。なんだか。壮大ですね。

しかし、ここで問題になるのは新海面処分場は東京湾の最後の処理場と言われており、1998年〜約50年後には埋立許容量に達してしまい、2048年ごろには使えなくなると言うことです。

将来的に建物が建ったり
公園ができるのは良いけれども。
これから出るゴミはどうするんだ?

各国がゴミの輸入は受け付けないと言っている中で、これから話すバングラデシュのゴミ問題だけでなく、日本も同じく課題に直面しています。

特にゴミの埋立地開発などの公共事業は何十年先を見据えて実行していくことです。今を生きるボク達にしか決めないことです。未来の子供達が生きやすい未来の基盤を作るのは、他の誰でもない間違いなくボクたちなんですね。

■バングラデシュのゴミ事情■

では、お待ちかねのバングラデシュのゴミ事情について。

ワールドバンクさんがこんなレポートを出しています。

Bangladesh’s annual per capita plastic consumption in urban areas tripled to 9.0 kg in 2020 from 3.0 kg in 2005
バングラデシュの都市部における一人当たりの年間プラスチック消費量は、2005年の3.0kgから2020年には3倍の9.0kgに増加。

⑤worldbank

646 tons of plastic waste is collected daily in Dhaka
ダッカでは毎日646トンのプラスチックごみが回収されている

⑤worldbank

Bangladesh progressively took steps in curbing plastic pollution, with varied outcomes: in 2002, Bangladesh was the world’s first country to ban plastic shopping bags. But, after some time, plastic use and mismanagement increased again. The Jute Packaging Act 2010 for six essential items (paddy, rice, wheat, maize, fertilizer, sugar) promoted an alternative to plastic packaging. In 2020, a High Court directed concerned authorities to ban Single-Use Plastic in coastal areas and in all hotels and motels across the country.
2002年、バングラデシュは世界で初めてプラスチック製買い物袋の使用を禁止した。しかし、しばらくすると、プラスチックの使用と不始末が再び増加した。2010年には、6つの重要品目(籾、米、小麦、トウモロコシ、肥料、砂糖)を対象としたジュート包装法が制定され、プラスチック包装の代替が促進された。2020年は、高等裁判所は関係当局に対し、沿岸地域と全国のホテル・モーテルでの使い捨てプラスチックの使用を禁止するよう指示した。

⑤worldbank

つまりです。

経済成長に伴ってすんごい勢いでプラスチック使用量が増えた結果。国土が小さいかつ人口が多いバングラデシュにおいて、積み立てられたゴミによる環境被害も計り知れない状況なんですね。

プラスチック使用規制は必須だったので、バングラデシュ政府もプラスチック使用規制を出してみたようですが、現状はうまくいっていないようです。

こちらの写真は、主にダッカからゴミが運ばれてくるようでして、現地でゴミ拾いをする人に直接聞くと13年前にゴミの積み立てが開始したみたいです。それらは燃やされることもなくここに積み立てられ、ゴミ処理が追いついていない状況とのことです。(※ダッカでも地域によります)

火力発電所は?ゴミを燃やせば?なんてことも政府も議論しているわけですが、あまり議論が進んでいないようなんですね。

ちなみに、青年海外協力隊で有名なJICA。日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。

20分ほどの長い動画でありますが、こうして政府間援助により適切な管理・処理システムの構築は進んでおり、改善の方向に向かっているということも併せて伝えておきます。

■ゴミ山のデメリット■

ゴミ山の適切な処理は早急に対処しなければならない課題です。実はゴミ山によって生まれる環境問題が、私たちの生活に負の影響を及ぼすんですね。

ポイントは2点です。水質汚染と大気汚染

■水質汚染■

雨が降ることでゴミ山から流れてきた水を浸出水と言うのですが。日本では基準に沿って適切に処理をした後、自然に返しているんですね。

実際の写真

こちらのゴミ山では微生物が有機物を分解することでボコボコと泡が出ていたり、若干生暖かい水が溜まっています。こう言った水が処理もされず近くの川や湖に混じったり、地盤に浸透し地下水を汚染することが懸念されているんですね。

国立環境研究所によると

汚染された農業用水の使用は、周辺で生活する人への健康に悪影響を及ぼすことが懸念されます。また、農業用水の汚染は、産業の生産性を低下させるなど、二次的な影響も与えます。環境安全な埋立地管理を行うためには、浸出水の発生量を減らすとともに、埋立地外への漏出を防ぎ、回収した浸出水を適正に管理する等、包括的な対策をとることが重要になります。

⑥出典:国立環境研究所

さらに国立環境研究所はこう言います。

東南アジアの気候は乾季と雨季を有することから、埋立地浸出水の水質・水量の変動に対応する必要があります。現在、東南アジアの多くでは、日本のように浸出水を処理し放流するのではなく、浸出水を人工的に作った池 (貯留池) に集めて、自然蒸発することで水量を削減し管理をしています。しかし、雨季における大量の降雨によって、貯留池の容量を超える浸出水が発生し、系外に漏出されるなどの問題を抱えています。

⑥出典:国立環境研究所

■大気汚染■

ゴミから発生する温室効果ガスの一つであるメタンガス。ゴミ山に潜む微生物が有機物を食べ始めることで副産物としてメタンガスが生まれます。

ゴミ山でプラスチックなどのお金に変わる物を集めて生活を営む人をスカベンジャーと言います。メタンガスを含む有毒なガスや空気は、ゴミ山で働く人や近隣住民の方への健康被害につながると言われております。

実際に僕が訪ねたゴミ山でも働いている人たちがいました。大人だけではなく、子どもたちも働いていると報告されています。

大気汚染の主な原因はゴミの焼却や自然発火によるものです。

昔はよくバングラデシュでも起きていたようですが、隣国であるインドでもつい最近、ゴミ山の発火によって60万人もの人が外出自粛令が出されたみたいです。

ゴミ山は、健康のみならず経済面にも大きな影響をもたらすことがわかり、ますます、課題が山積みなわけです。

私たちが普段サポートをさせてもらっているバングラデシュの子どもたちが生きる未来を真剣に考えた時に、こうした課題の解決も視野に入れる必要があります。そのためには、いったい何が必要なのでしょうか。

新しく建った学校の子どもたちの写真

制度の議論を始めるとプラスチック製品へのデポジット制度などが挙がりますが、本記事では制度の話ではなく、バングラデシュにおいて市民ができることについて述べていきます。

■実は、、、■

可愛いすぎる子どもが入っているこのカバン。。。これ何かわかりますか???

実は廃棄される予定だったセメント袋なんです。

こちらはカラフルな米袋です。

こうした本来は捨てるはずだったプラスチック袋を地域住民の方からいただき、縫製をして、バッグ(カバン)としてお返しをする。という形での再利用を行なっています。

また、学校に通う子ども達も近くで見ているわけですから、行動する大人の背中を見て、環境意識は自然と上がっていくと考えています。

市民活動・草の根活動で大切なのは、環境意識を持つことです。

落ちていたセメントバッグを拾っている風景

まだこうして道端にプラ袋が当たり前のように落ちているんですね。

”道端に捨てるのではなく、分別する、適切に処理する。有効活用する。”といったことからではありますが、地域を巻き込みながら活動する。

また同時に、より一層課題の解決を加速させるべく多くの人に知っていただく必要があると思っています。

実は、現地で作っているエコバッグならぬゴミバッグを日本の皆さんにも使っていただけるように動いている最中なんですね。

めちゃくちゃ丈夫。笑

決して遠い国の課題は他人事ではなく、こうしたちょっとした工夫を凝らすことで、私たちも世界の変化の一つになることができます。

また、完成してきましたらご報告させてください!

■最後に■

以上。今回はバングラデシュのゴミ事情と解決策についてお話をさせていただきました。少しは身近な課題になりましたでしょうか?そう思ってもらえたならとても嬉しいです!!!


では、今回も長くなりましたが、読んでいただき有難うございます。

■食事提供をする!■

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■買い物で応援■

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【学校建設&運営に関して】現在建築中の学校は3階部分までの建設が完了し(4階途中)、約75人の子どもたちが新しい学校で学んでおります。また一時的に、コロナ禍で職を失った親を持つ子供たちが避難する施設としても活用しております。


↓この記事を書いたのは↓

【出典】
https://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/shiro/nagare/1.html(東京二十三区清掃一部事務組合HP)  
https://forbesjapan.com/articles/detail/24796(forbses 世界基準からズレた日本の「プラごみリサイクル率84%」の実態 2019
https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/shinkaimen.pdf(新海綿処分場PDF)

https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/diplomacy/multi-lateral-diplomacy/pdf/1701-03-shigen-j.pdf(東京都廃棄物埋立管理事務所PDF平成28年)

https://www.worldbank.org/en/news/feature/2021/12/23/meeting-bangladesh-s-plastic-challenge-through-a-multisectoral-approach 
(world bank HP 2021)

https://www-cycle.nies.go.jp/magazine/mame/201403.html(国立環境研究所 2014年)

https://gec.jp/gec/jp/Activities/pr/fy2010/se/SE_Report_Jan2011.pdf(UNEP 2011)


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