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今週のグッドデザインを紹介します(1/1 〜 1/12)

このたびの令和6年能登半島地震により被災・避難されたみなさま、およびご家族をはじめとする関係者のみなさまに心よりお見舞い申し上げます。

今年も毎週さまざまなグッドデザインをアップしていきますので、どうぞよろしくお願いします。
今日は、1 月1、2週(1/1〜1/12)のグッドデザイン7点をまとめてご紹介します。



1/1 御守[熊本城瓦御守]

熊本地震の被災地域で廃棄されたブルーシートで、熊本城の被災瓦を包んだ御守。

熊本城瓦御守

受賞者によるデザイン紹介
2016年熊本地震の復興支援のために作られた、被災地域で廃棄されたブルーシートで熊本城の被災瓦を包んだ御守。御守には「後来不落」の文字が書いてあり「二度と落ちない」という意味が込められている。製作を県内の就労支援施設が担当しており、障害者の賃金に繋がる。熊本城の公式売店のみで販売、利益の一部が熊本城に寄付される。

審査委員からのコメント
熊本地震の復興支援のために制作されたこの御守は、熊本城の被災瓦とそれを包むために使用されていたブルーシートをアップサイクル利用しており、その新たな用途への前向きかつ創造的なアプローチが高評価だった。通常御守に使うことのないブルーシートを活用することで、一般的に流通している織物製の御守とは異なる佇まいを持ち、唯一無二の価値を具現化している。県内の就労支援施設で手作りされ、障害者の雇用支援にも貢献しており、売り上げも好調であるようだ。こうした取り組みの成功は、復興支援の模範事例であると言えるだろう。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/18454

1/4 学生経営×地方創生の活動[学生経営×地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」]

全国の学生が東京駅前の店舗を舞台に地域産品の仕入れから販売まで本気で学び実践する、若い世代と地域を繋ぐ取り組み。

学生経営×地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」

受賞者によるデザイン紹介
東京一極集中が続く日本で、若い世代と地域を結ぶ中長期プロジェクトです。全国出身の学生が東京駅前の店舗を舞台に、地域産品の仕入れ・収支管理・プロモーション・接客販売というショップ経営の一連を担い「もうひとつの日本」を生み出します。郷土愛と経営力ある若い世代を育て、地方との関係人口を増やす、新たな教育・地方創生の形です。

審査委員からのコメント
ある教育学者の研究によると、人の記憶は、読んだ経験で10%しか定着しないかかわらず、自ら行ったことであれば90%が定着するそうだ。このプロジェクトは、実際に経験することで地域との強い記憶を若者達に植え込んだことになる。 参加した学生がこれから大学を卒業し、社会の中で生きていく時にも、この強い記憶はきっと若者に作用し、結果、社会に還っていくはずだ。わずかずつでも社会の目線を地域と繋げていこうとするこのプロジェクトは、短期よりも長期できっと力を発揮する。これからの事業の継続と、関係人口をこえて実践人口の増加に寄与してくれることを切に期待している。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/16558

1/5 農産物直売所・作業所[岐阜のいちご作業所・直売所・遊び場]

住宅地と農地の混在する地域に建ついちご農園。建物や周辺の遊び場は廃材や余剰材、農業パイプを再利用して作られている。

岐阜のいちご作業所・直売所・遊び場

受賞者によるデザイン紹介
住宅地と農地の混在する地域に建つ、いちご農家の作業場・直売所・遊び場をつくる6次化農業拠点の計画。限られた工事費のなかで、建材に施主が持つ廃棄予定のビニルハウスのパイプ材一棟分、製材所からの端材やコンクリート工場のデッドストックブロック材など、大きな産業や地域の余剰材を転用再構成し、可能な限り自主施工で建設した。

審査委員からのコメント
なんともおおらかで、のびのびとした場である。廃材や余剰材という使える素材の条件が先にあり、できる限りDIYで作るというと、リノベーションや仮設建築、什器レベルであればよく見かけるが、これは確認申請も通した新築の建築である。設計者のこれまでの経験が遺憾無く発揮された結果、実現したものだ。ありふれた材料を使って郊外という環境に馴染みながらも、他にはない造形と、今後も施主が自らの手で更新していける余地がある魅力的な場作りの実践として評価した。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/16269

1/9 防災ツール[マンション地震対応箱 MEAS]

大規模震災時にマンション住民がとるべき対応を順序立ててまとめた「復旧の道標」。

マンション地震対応箱 MEAS

受賞者によるデザイン紹介
多くの人にとって大規模震災はこれまで経験したことのないこと。そのため被災したらどうしたら良いか分からなくなります。そこで被災時の道標として、熊本地震の対応手順を「マンション地震対応箱MEAS」にまとめました。被災時に何をすればいいのか書かれたシートの指示に従って住民が動くことで、震災時の対応ができるようになります。

審査委員からのコメント
いつ、どこで大規模地震が発生してもおかしくない状況にある日本において、発災時に、マンション住民にとって「いつものように」対応できるような備えがあることは、もはやマンションそのものの価値として捉えられる時代が訪れているように思う。そのデザインは、とにかく文字は少なく端的にメッセージを伝えることに徹していて、色彩も発災以降の住民の心理状態に合わせて選定されており、高齢化が進む日本社会においても、全ての人々がスムースに対応できるクオリティを獲得している。今後もさらなるアップデートを重ねて、いずれ全国共通のルールとなり、どこに引っ越しても「いつものように」対応できる仕組みとなることが望まれる。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/17178

1/10 じょうろ[ハチマンガーデンズ ガーデンビートル フォンタナジョウロ]

ユニークな注ぎ口構造で散水がしやすい、バケツとジョウロの中間のような新しい道具。

ハチマンガーデンズ ガーデンビートル フォンタナジョウロ

受賞者によるデザイン紹介
毎日の植物のお世話に新たな機能と楽しさをプラスした新感覚のジョウロ。世界初!独自の注ぎ口、マルチスプリンクラー構造により、まるで噴水ショーの様なドラマティックでやさしい散水、素早い散水の2WAYを叶えてくれます。1.5Lは小さな植物の水やりに、5Lは大きな植物の水やりに。子供から大人まで快適な水やりが楽しめます。

審査委員からのコメント
これまでになかった独自の注ぎ口の形状がとてもユニークなジョウロの提案である。バケツとジョウロの中間的な新しい道具のかたちであり、ゴミなどの詰まりもなくなり、スタッキングも可能にするなど、単純な構造のアイデアでありながら、機能的で多様な使い方の可能性を有している。八幡化成の代名詞にもなっているフタ付きバケツ「オムニウッティー」の姉妹品として開発されており、統一されたデザイン言語として波形状の本体のリブが採用され、強度と美しさを両立した強いアイデンティティーを確立している。ハンドルには水を溜める際のホース固定リングを備えるなど、細かな配慮がなされているところも評価できる製品である。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/14722

1/11 リストレスト[洗えるリストレスト]

通気性の高いメッシュ素材のウォッシャブルリストレスト。やわらかなメッシュクッションが手首の疲労を軽減できる。

洗えるリストレスト

受賞者によるデザイン紹介
「いつも使うものこそ、清潔に使える」快適なタイピングをサポートするリストレストです。通気性抜群のメッシュ生地のクッションと、吸汗しやすい表面素材で蒸れにくく、汗をかいても手触りが快適なまま使用できます。吊り干し用のタグをつけており、タグ裏面には洗濯表示を記し、洗うことを促すように設計しました。

審査委員からのコメント
長時間のPC作業中に起こる手首の疲れ、その症状を軽減させるための助けとなるリストレストは、汚れがつきやすく、汗もたまりやすい点がネックになることが多い中で、「洗えるリストレスト」は洗濯可能な機能が加わることで清潔さを保ち、長く使用できる点が魅力である。製品の裏面には滑り止めが備わっており、通気性の良いメッシュ生地を使用しているため蒸れにくく、動きにくい工夫もされている点にも共感した。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/14031

1/12 スロップシンク[アクレッタ]

空間に溶け込み新しい家事時間を創造する、使いやすく美しいスロップシンク。

アクレッタ

受賞者によるデザイン紹介
ライフスタイルの変化に伴い、部屋内での使用が増えてきたスロップシンク。「アクレッタ」はこれまでの国産陶器シンクには無いスクエア形状を実現し、インテリア空間にもコーディネートしやすいデザインとしました。また薄いエッジと壁から浮かした形状が、圧迫感を軽減しつつ空間に溶け込み、これまでにない新しい家事時間を創造します。

審査委員からのコメント
靴や雑巾、野外活動で使用するものを別のシンクで洗いたいという要望が増えてきている。このようなタイプのシンクには実用性はもちろんデザイン性が求められる。小ぶりでスクエア形状だが、わずかにラウンドさせることで見た目が工業製品のようにかっちりしたものではなく優しいデザインとなっている点が良い。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/18448



この連載では、グッドデザイン賞インスタグラムで毎日1点ずつアップしている受賞作品をまとめています。
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