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新美南吉の不思議な詩
アメリカの上空で未確認飛行物体が・・・そんなニュースを聞いているうちに、新美南吉の詩を思い出した。
月から
月からきたねこ、
屋根にいる。
屋根からしっぽをおったてる。
月からきたとり、
うろにいる。
うろからそちこちどなってる。
月から来た人、
柵にいる。
柵からナイフをぬいている。
新美南吉と言えば童話作家というイメージがあるが、詩も結構書き残している。
童話『ごんぎつね』が「赤い鳥」に掲載されたのは19歳のときだが、この『月から』も同じ年に書かれ、童謡として掲載されている。
最近『窓』がCMで朗読されているので、気に留めた方もいらっしゃるかもしれない。『窓』もまた、『月から』と同じ年に書かれている。
小学校時代の教師は優秀な南吉のことを、将来は絶対に小説家だと絶賛していたという。
結核のため、生まれ故郷の愛知県半田市で亡くなったのが29歳。
若くして亡くなった童話作家という共通点から、「北の賢治、南の南吉」として、宮沢賢治と比較されることも少なくない。
それにしても、『月から』は不思議な印象の詩だ。
南吉作品の持つ深い優しさからは、少し離れている気もする。
小難しい理屈を作品に込める人ではないので、月からきたというのはやはり、月明かりが作った影と読むのがいいのだろうか。
でもそうすると、月から来た人の節がわからなくなる。
この不思議な印象をそのまま、素直に受け取るのがいいのかもしれない。
南吉作品の中でわたしは『こぞうさんの おきょう』がとても好きで、このお話ほど優しくて温かくて、可愛らしい童話はないと思っている。
読むたびにいつも、涙が出そうになる。
青空文庫で読むことが出来るので、皆さんもどうぞ読んでみてください。
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