見出し画像

【絵本】優しい優しい死神くんは、いかがですか?

心が痛くなるような報道ばかりで、テレビを見るのが辛い。
そんなときは、優しい優しい死神くんの絵本を読んでみませんか?

『ちいさな死神くん』キティ・クローザー作 ときありえ訳

「死」そのものを扱った絵本ですが、暗さはない。
主人公の死神くんは、本当は小さな男の子。
何故彼が死神くんになったのかは書かれていませんが、死にゆく人を死の国へ導くという、大切な役割を担っています。
怖くないように。寒くないように。
死神くんは、死にゆく人をとても大切にしますが、それでも彼らはいつも震えて泣き出してしまう。彼らにとって死神くんは、「死」そのものだからでしょう。

あきらめ顔の死神くんはある日、小さな女の子、エルスウィーズを迎えに行きます。
驚いたことに彼女は、「来てくれてありがとう」と笑顔を見せる。
ずっと病気だった彼女にとって死は、痛みからの解放だからです。
彼女と遊んで、死神くんはとても楽しい時間を過ごします。

死にゆく人に寄り添い、大切に導く。
とても大事な役割ですが、だからと言って、一日中死神くんでいなければいけないわけじゃない。
エルスウィーズと楽しく遊んで、大笑いする死神くんは、自分自身の存在にあらためて気づいたようにも見えます。

エルスウィーズとの別れの日が来て、うなだれる死神くん。
でも物語は、誰にとっても優しい結末を迎える。結末というよりもこれはきっと、始まりですね。

この絵本を読んで、「死」が怖くなくなるということはないかもしれない。
でも、優しい優しい死神くんが来てくれるなら、ただ泣いているよりも、一緒に遊んで楽しく過ごしてみようかなと、そんな気持ちにはなるかもしれません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?