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マリア崇敬② ー十字架の預言を受けた母ー

マリアは主イエス・キリストを神殿に奉献する際、神殿の司祭であるシメオンから預言を受けました。


シメオンの預言


祭司シメオンはイエス様がマリアとヨセフに連れられた時、聖霊に満たされて神を賛美しました。
その際に、マリアはシメオンから言われたことがありました。

[ルカの福音書 2:27,28,29,30,31,32,33]

シメオンが御霊に導かれて宮に入ると、律法の慣習を守るために、両親が幼子イエスを連れて入って来た。
シメオンは幼子を腕に抱き、神をほめたたえて言った。
 「主よ。今こそあなたは、おことばどおり、
 しもべを安らかに去らせてくださいます。
 私の目があなたの御救いを見たからです。
 あなたが万民の前に備えられた救いを。
 異邦人を照らす啓示の光、
 御民イスラエルの栄光を。」
父と母は、幼子について語られる様々なことに驚いた。

聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会 許諾番号4-2-3号

これが、シメオンの賛美です。
重要なのはこの先のシメオンの言葉です。

[ルカの福音書 2:34,35]

シメオンは両親を祝福し、母マリアに言った。「ご覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人が倒れたり立ち上がったりするために定められ、また、人々の反対にあうしるしとして定められています。
あなた自身の心さえも、剣が刺し貫くことになります。それは多くの人の心のうちの思いが、あらわになるためです。」

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ここに、シメオンの預言が書かれています。
シメオンは「父ヨセフ」にではなく、「母マリア」に向けて預言をしました。
そしてそれは、「あなた自身の心さえも、剣が刺し貫くことになります」という、とても厳しい預言でした。
これが、十字架の預言となるのです。


なぜヨセフには預言がなかったのか?


では、なぜシメオンはマリアにしか預言しなかったのか?という疑問を持つ人もいるでしょう。

それは、イエス様の公生涯を見れば予測することが出来ます。
イエス様の宣教にはマリアと兄弟たちがついていきました。
しかし、その中にヨセフの名前はありません。

[マタイの福音書 12:46,47]

 イエスがまだ群衆に話しておられるとき、見よ、イエスの母と兄弟たちがイエスに話をしようとして、外に立っていた。
ある人がイエスに「ご覧ください。母上と兄弟方が、お話ししようと外に立っておられます」と言った。

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しかし、ヨセフはイエス様が12歳の時には父子共にいる様子が描かれています。
ただ、イエス様の宣教と十字架のシーンには登場していません。
つまり、イエス様が宣教を始められた時には、既にヨセフは亡くなっていたと考えられるのです。

[ルカの福音書 2:48,51,52]

両親は彼を見て驚き、母は言った。「どうしてこんなことをしたのですか。見なさい。お父さんも私も、心配してあなたを捜していたのです。」
それからイエスは一緒に下って行き、ナザレに帰って両親に仕えられた。母はこれらのことをみな、心に留めておいた。
 イエスは神と人とにいつくしまれ、知恵が増し加わり、背たけも伸びていった。

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[ヨハネの福音書 19:25,26]

イエスの十字架のそばには、イエスの母とその姉妹、そしてクロパの妻マリアとマグダラのマリアが立っていた。
イエスは、母とそばに立っている愛する弟子を見て、母に「女の方、ご覧なさい。あなたの息子です」と言われた。

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ヨハネの福音書から十字架の箇所を引用しましたが、他の福音書の十字架の箇所にも父ヨセフの名前は全く出ていません。

ということは、シメオンが母マリアだけに預言をしたのは、父ではなく母マリアのみが十字架を見上げたという事実に繋がるのです。


悲しみの聖母


今までの話から、キリストの十字架を見たのは、両親のうち母マリアだけでした。
その時に、キリストが十字架の磔刑を受けていた時に、自分のお腹から生まれたイエス様を見て、マリアは剣で胸を刺し貫かれる思いをしたのです。

カトリックにはたくさんの祈りがあります。
ロザリオの祈り、十字架の道行、お告げの祈り等…
その中で特にマリアの視点から十字架を想起する祈りがあります。
それが、「悲しみの聖母」です

※竪琴音色キリスト教会の栞様からは、どの記事も引用許可をいただいてます。

ロザリオの祈りはイエス様の公生涯を見つめたマリアと共にイエス様を思い起こし、悲しみの聖母はマリアと共に十字架を見上げる祈りなのです。

ですから、マリアによって祈ることは決してイエス・キリストから離れたものではなく、イエス・キリストの十字架に向き合う祈りなのです。
なぜなら、十字架につけられたキリストをマリアが見ていたように、私たちもマリアを通した信仰の目で見ているからです。

これが私の解釈なのですが、プロテスタント諸教派では、イエスではなく、マリアによって祈っていると誤解を産む解釈をして、信徒たちに教えているのです。
カトリシズムを知らない人、ロザリオの祈りを祈ったこともない人が批判することはおかしいのです。
しかし、ルター派の教会や聖公会では、マリア崇敬が伝えられてきているので、一概にプロテスタント全てが誤解しているわけではありません。

しかし、ロザリオの祈りも何でも、カトリックが聖母マリアに取りなされて祈ることは、プロテスタントで言う兄弟姉妹に取りなして祈ってもらうのと同じことなのです。

なぜ、地上の人間の取りなしの祈りは祈りとして数えられるのに、神の国に入ったキリスト者の祈りは祈りとして認められないのでしょうか。

主はご自身を死んだ者の神ではなく、生きている者の神だと仰られました。
天上の聖徒たちも、死んだ者ではなく、聖霊の衣を着せられて生きている者なのです。
だから、主は天上でも地上でも祈りを聞き届けられるお方です。
そうでなければ、なぜ、神の国にいる殉教者たちが神の裁きを求めて叫び続けることが出来るでしょうか。

[ヨハネの黙示録 6:9,10]

 子羊が第五の封印を解いたとき、私は、神のことばと、自分たちが立てた証しのゆえに殺された者たちのたましいが、祭壇の下にいるのを見た。
彼らは大声で叫んだ。「聖なるまことの主よ。いつまでさばきを行わず、地に住む者たちに私たちの血の復讐をなさらないのですか。」

聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会 許諾番号4-2-3号

死んだ者は何も語れません。
しかし、死んでも霊が生き続けている者、つまりキリスト者は永遠に生きていくことが出来るのです。


希望の母


マリアがキリストの十字架によって、心を刺し貫かれたところから、それだけではマリアは苦しい思いをするだけでした。
ですが、イエス様は死の直前に、愛する使徒ヨハネに言葉を授けました。

[ヨハネの福音書 19:26,27]

イエスは、母とそばに立っている愛する弟子を見て、母に「女の方、ご覧なさい。あなたの息子です」と言われた。
それから、その弟子に「ご覧なさい。あなたの母です」と言われた。その時から、この弟子は彼女を自分のところに引き取った。

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イエス様は弟子ヨハネにマリアと共にいることを求め、血の繋がりはないけれども、神にある家族として生きるように言いました。
ここに、神の家族の美しさがあります。

そして、復活の後、弟子たちにこう語られました。

[ヨハネの福音書 20:22]

こう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。

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[使徒の働き 1:4,5]

使徒たちと一緒にいるとき、イエスは彼らにこう命じられた。「エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい。
ヨハネは水でバプテスマを授けましたが、あなたがたは間もなく、聖霊によるバプテスマを授けられるからです。」

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弟子たちとマリアは太字のイエス様のご命令を守り通していました。
そして、祈っている最中に聖霊が来られたのです。

[使徒の働き 1:14]

彼らはみな、女たちとイエスの母マリア、およびイエスの兄弟たちとともに、いつも心を一つにして祈っていた。

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[使徒の働き 2:1,2,3,4]

五旬節の日になって、皆が同じ場所に集まっていた。
すると天から突然、激しい風が吹いて来たような響きが起こり、彼らが座っていた家全体に響き渡った。
また、炎のような舌が分かれて現れ、一人ひとりの上にとどまった。
すると皆が聖霊に満たされ、御霊が語らせるままに、他国のいろいろなことばで話し始めた。

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こうしてイエス様は、母マリアが絶望に落ちることなく、弟子たちと共に希望を持って信仰に立つことが出来るようにされました。

イエス様は、死ぬ直前に親孝行をなされたのです。

マリアは決して、イエス様と関係のないお方ではありません。
ずっとイエス様の宣教を見続け、最後に信仰を持ったのです。

長くなりましたが、次の記事では「十字架の証人」としてのマリアについて書いていこうと思います。

マリア崇敬について、もっと知りたい!興味がある!という方にはこちらの記事も読まれることをオススメします。

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