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『「心の病」の脳科学』まとめ①

たまには、自分の病気のことも勉強してみようと思って買ったのが、タイトルの新書です。

詳細は、

『「心の病」の脳科学』・林朗子、加藤忠史編・講談社出版

の新書となります。

昨年出版された本で、新しい研究内容がまとめられています。
Amazonでも販売されているので、ご興味のある方はどうぞ。
高校の「生物基礎」レベルの知識があれば読めると思います。

では、まとめに移ります。


現在の脳科学研究では、「統合失調症」は様々な環境要因と遺伝要因で発症し、発症のメカニズムや、それによる症状も多種多様なので、統合失調症様の症状があれば、一括して「統合失調症」と診断しているようです。

また、遺伝子学的に変異・欠損があれば発症する可能性は高くなります。

遺伝子的に言えば、「自閉スペクトラム症」と「統合失調症」の遺伝変異は似ているそうです。
ですから、発症に共通のメカニズムが働いている可能性があるそうです。

しかし、「自閉症」は幼児期から成長するにつれ段々と診断数が少なくなり、逆に「統合失調症」は成長と共に発症数が増加します。

ならばなぜ、「自閉症」と「統合失調症」が違うかと言うと、発症部位以外のゲノム(遺伝子を全体的に見たもの)が違う可能性があるからです。

さて、話題はそこから離れて、現在の医学では、抗精神薬は統合失調症の幻聴、幻覚や感情面での脳のホルモン等による症状面ではアプローチ出来るものの、認知機能障害についてはなかなか手出しが出来ていないのが現実です。

ですが、現在では統合失調症患者の社会復帰を一番妨げている原因である、認知機能障害の研究がされています。

iPS細胞技術の発展により、より細部まで遺伝変異を確認出来るようになり、今まではされてこなかった研究に進むことが出来ました。
医学の発展には感謝しなければなりません。

認知機能障害について、詳しく書くと、例えばニューロンの突起(神経と神経を結び、電気信号を伝える細胞)の長短によって、物事の認知の程度が変わっていくことが判明しています。

補足ですが、神経は体が得た情報の伝達や、脳から送られる命令を電気信号によって伝える働きをしています。

ですから、リハビリやデイケアなどの手段が精神障害者の社会復帰を手伝っていますが、「統合失調症」に限っては、遺伝子異常の可能性があるため、薬とデイケア等だけでは寛解が難しいという結論に私は至りました。

確かに、私の経験談として、ただ人と関わっていく、何か仕事をやってみるだけでは、症状は良くなるどころか悪化しました。

精神障害は「心の病」ではなく、「脳の病」であることを、この本は証明してくださっています。

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