リモートえっち前編

 ガン見したわけじゃないが、俺の脳髄に、網膜に焼き付いた伊集院のおっぱい。

 アイドル顔負けのビューティーフェイスに、俺好みの乳首の形や桜色の乳輪、そして爆乳とかチートとしか言いようがなかった。

 昔助けたとか、告白を断ったとか、レイプされそうなところを助けた程度で俺のことを好きになってしまうとか、おかしいだろ……。

 本当は伊集院とやりたくて仕方がないが、向こうから中だしを強要されかねなくて、二の足を踏んでしまう。もちろん、それだけではないのだが……。

 だから伊集院にエロいことをされてしまったあとは彼女のことを思って、薄壁の向こうにいる愛菜にバレないように息を潜めて、夜な夜な自家発に勤しんでいる。

 今日は特になりゆきというか、なし崩し的というか、伊集院といっしょにお風呂に入ってしまい、興奮が収まりそうにない。

 俺はまだ女の子を斬ったことのない無銘の刀を抜刀し構えた。

 今宵は我が刀が切っ先より白い粘液を吐き出す、梨衣よ覚悟しろっ!

 ――――ピロン♪

 のわっ!?

 彼女の裸をネタに自家発に挑もうと俺の必殺しごき突きを栗にめがけて、くり出そうとするとスマホが鳴いた。

 いま良いところだってのになんだよ、と思ってスマホを手に取る。

 どうやらLINEにメッセージが届いたようで、玉田や太田だったら盛り上がった気分が一気に萎えそうで左手で確認するのが億劫になる。

 そう思っていると、ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ とまるで既読するよう催促しているかのようにメッセージが連投されてくる。

 確認してみると伊集院からで……。

【梨衣】
《けいくん》
《もしかして》
《ひとりえっち》
《してる?》

              【経世】
              《してねえよ》

《ほんとかな?》
《けいくんのこと》
《ぜんぶ》
《わかってるからね》

              《かまかけだろ?》

《いま左手で》
《スマホもってる》
《右手はなに》
《にぎってるのかな♡》

 めちゃくちゃ、バレとる!

 推測にすぎないかもしれないのだが、ピタリと俺の様子を当ててくる伊集院のことが恐ろしくなる。

【梨衣】
《恥ずかしがらないで》
《私もいま》
《けいくんを》
《想って》
《せつなくなってたの》

               【経世】
               《俺は》
               《疲れた》
               《寝る》
               《伊集院も早く》
               《寝ろ》

《待って!》
《けいくんに》
《おやすみの》
《プレゼント》

 俺は就寝を彼女に促したのだが……。

 なっ!?

 なぜか夜の十時になろうと言うのに制服に着替えた伊集院の画像を添付してきていた。

 顔には黒いマスクをしており、彼女の宝石のようにきれいな瞳がより強調されなんかエロい。ブラウスのボタンは第三ボタンまで外された上に指で襟を開いて、ブラジャーと谷間が露わになっていた。

【梨衣】
《もっと》
《みたい?》

               【経世】
               《みたかねえよ》

 済みません、めちゃくちゃ見たい!

 強がって、伊集院にツンデレみたいな返事をしてしまう。その点、伊集院は素直に俺に気持ちを伝えられるのがうらやましい。

【梨衣】
《私は》
《寂しいよぉ》
《けいくんの声が》
《聞きたいの》
《けいくんの姿が》
《見たいの》
《だから》
《Zoomしよっ》

              【経世】
              《それくらいなら》
              《構わねえよ》

《ありがと》

 伊集院に言われるがまま授業で使ってたタブレットでZoomを立ち上げる。伊集院も準備が整ったようでお互いにカメラの前で見合わせると画面の向こうには彼女がかわいく手を振り、微笑んでいた。

『なんだかさっきも会ったばかりなのに、こうして面と向かうと気恥ずかしいかも』
「そうだな。でもこうやって伊集院と話すのも悪くない」

 照れた伊集院はマスクに手を当て、くすりと笑った。

 これなら過剰に伊集院に迫られることはなく、お互いに節度ある距離感を保っていられると俺はこのとき勘違いを起こしていた。

『けいくんは私の裸……きらい?』

 伊集院はカメラにぐっと顔を近づけたのか、画面いっぱいに彼女のかわいい顔が映るが、どこか伏し目がちで寂しげな雰囲気だ。

「そんなことはねえよ……ただアプローチが積極的すぎるっていうか、なぁ」
『ホントに? じゃあ梨衣にキスしてみて』

 なぜキスなのかよくわからないが、伊集院を悲しませたくなかった俺は素直に彼女のお願いに応じる。

 ――――ちゅっ。

 伊集院本人にキスするよりなんだか恥ずかしかったが、カメラに向かって口づけすると彼女も俺に追随していた。

『けいくん、顔赤いよ』
「伊集院もな」

 カメラから離れると二人で初々しく顔が赤くなってしまったようだ。

『けいくん……えっちしよ』
「えっ!?」
『キミのこと想いながら、ひとりでするくらいなら見せ合いっこしながら、したらどうかなって……』
 
 伊集院の言葉に驚くも、俺はふとある考えが浮かんだ。お互いに寸止めばかりだから、今日みたい伊集院は俺を求めて暴走するんじゃないかと。

 もし互いに性欲を抑える、もしくはえっちしなくても発散できるなら、悪くないと思ってしまった。

 ただその前に伊集院は俺をスパダリか、なにかと勘違いしている節がある。ちゃんとわかって欲しいこともあり、俺は嘘偽りなく彼女に伝える。

「俺がド変態だという実態を伊集院、いや梨衣に見せてやる! 覚悟しろよ」
『うん、大丈夫だよ。けいくん、最近いつも私でシコシコしてるもんね!』
「なっ、なぜそれを知っているんだよ!」

『ん~、内緒だよ。結婚してくれたら教えてあ・げ・る』

 んふふ、と立てた人差し指を唇に当てながら、笑って梨衣は俺に教えてくれない。

 そもそも、なぜ秘密の公開の条件が結婚なのかわからない!

 俺のこととなると犯罪まがいのことでも平気でやってしまう梨衣のことだ、盗聴器、ドローン、ハッキング……さまざまな疑いがある。

 人畜無害なことだけが唯一の救いで、それもあり俺は梨衣に強く言うことができない。

『お互いに服を一枚ずつ脱いでいこ……』
「あ、ああ……」

 俺の目を画面越しに見てきたあと、恥ずかしそうに目を背けてまだ外れていないブラウスのボタンに手をかける。

 くそ、梨衣の奴、エロいことに積極的なのに恥じらう表情がたまらなく俺をそそらせてきていた。

 ブラウスのボタンはすべて外れて、その隙間から乙女の柔肌とおへそがチラリと見え隠れしている。俺もジャージの上着を脱いで、シャツ一枚になるが梨衣は少しうつむいて背中に手を回し、先にブラのほうを外してしまっていた。

 ブラウスからうっすらと盛り上がる梨衣のポッチ……。

『いつか、けいくんと朝チュンえっちして、キミのシャツ借りてみたいな』
「あ、ああ……」

 ひとつ突っ込むと梨衣は制服のリボンをつけたままなので裸Yシャツとは少し違う。どっちもくそエロいことには変わりないのだけど。

 俺は思わず梨衣より先にしまむら製SAOのコラボTシャツを脱いで、彼女にブラウスを脱ぐよう無言で促した。

 それがわかってか、梨衣は風呂場での積極的さとは打って変わって、もじもじと左右の人差し指の先を上下してすり合わせている。

「お願い。俺、梨衣のおっぱい、また見たい」
『うん……』

 恥ずかしさのあまり風呂場でちゃんと見れなかったのが、名残惜しくて梨衣に本気でお願いしてしまっていたおっぱいスキーの俺。

 覚悟を決め襟に手をやった梨衣だったが、やっぱり恥ずかしさからか、ゆっくりと脱ぐ仕草が俺にとっては焦らされているように思え、タブレットを掴んで画面に食い入る。

 手ブラという形でリボンをつけたまま、張りのある瑞々しい素肌を晒した梨衣の美しさに鼻根を人差し指と親指で挟んで唸ってしまっていた。

『けいくん!?』
「ありがとう、ありがとう……梨衣。あとその手をどけてくれると俺は梨衣と交際を考えてもいいかもしれない」
『ホントに!?』

 どうして男はおっぱいにこうも弱いのだろうか?

 陰キャな俺は迫られるとクソザコなくせに画面越しだと積極的になってしまい、玉田ばりの最低発言も息を吸うように平気で言ってしまう。

 ゆっくりと俺の前で手のひらいっぱいに抱えたたわわから手をどける梨衣にタブレットの画面が溶けてしまうくらいの熱い眼差しを向けていた。

『そんなに見つめられると恥ずかしいよ……』
「梨衣に恥ずかしいところがあるわけがない。いや恥ずかしいところを見せてくれる梨衣に俺は感謝しないといけないんだ。ありがとう、梨衣」

 俺の言葉がうれしかったのか、梨衣は顔を真っ赤にさせながら、薄いピンク色のとても素晴らしい乳首券を俺だけに発行してくれていた。

「告白するよ、俺は梨衣のおっぱいが好きだ!」
『うん……うん……ありがとう、けいくん』

 梨衣は俺の告白がうれしかったのかうれし泣きしてしまう。俺はキリトよろしく学習机の引き出しから、二対のとあるものを取り出した。

「どうだ、梨衣! 俺の馬鹿さ加減にドン引きしただろう、哺乳瓶だっ!!!」

 俺は梨衣の見せつけると共に左右の手に持った哺乳瓶のシリコーン製乳首をペロペロとわざと舌を出して、交互に舐めていた。

 これで梨衣は冷静になり、俺から一歩も二歩も退いて俺たちの関係に熟慮というものをしてくれるに違いない。

『けいくんのえっち!』

 キャーッ! 変態よっ!

 と言わんばかりに胸元で手首を合わせながら、眉根を寄せて伊集院は叫んだ。

 ほら見たことか! 伊集院ですら、俺の変態さにドン引きしているではないか……。

 俺は彼女でもない伊集院が慕ってくれることが正直、心苦しく、これで良かったのだと思った。

 だが……。

『そんなの見せられたら、私興奮してきちゃう。けいくんにおっぱい見られて、吸われるとか夢だったんだもん。リモートでもうれしいかも』

 なにを言ってるんだ、梨衣!?

 伊集院の反応はむしろ、もっと変態さを見せろと言ってきているようだった。

 なんで!?

「わかった、ならこれはどうだっ」

 画面の前で俺は乳首を唾液まみれにしながら、れろれろと卑猥な音を出し、ゲーム機のアナログコントローラーのごとく上下左右あらゆる角度から弄んでやると……。

『う、ううん……けいくんすごいよぉ』

 梨衣は俺に舐められていることを想像したのか、はたまた感受性が強いのか、ふるふると震えて鳥肌を立ていた。

「すまん、やっぱりキモかったよな?」
『ううん、気持ち良かったの……もっと舐めてるとこ見せてみて』
「あ、ああ」

 恥じらいなのか両腕で乳房をいったん隠してしまった梨衣だったが、隠しても無駄だと言わんばかりに俺は梨衣のおっぱいと哺乳瓶の乳首がフライバイワイヤーのようにつながっていると想像し、より過激に弄び始めていた。

 ――――ちゅるるっ、ちゅぷ、ちゅぷ。

 吸ったり、甘噛みしたりすると梨衣が甘い声とともに顎をあげたり、ぶるるっと身震いさせて悶えるのでかわいくて仕方がなかった。

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