[短編小説] コーヒー
お湯をわかす。ドリッパーに粉を入れる。ケトルからお湯を少しずつ注ぐ。ポタポタと琥珀色の雫が垂れる。
面白いな、と思って見ていた。なぜ?というような顔を彼女がした。
「あなた、コーヒー飲むの初めてなの?」
うん、と正直に答えると彼女は笑った。
「あなた、とてもいかつい顔してるから、意外だわ。びっくりした。よし、それじゃあ大人の味ってやつを教えてあげないとね」
彼女の淹れてくれたコーヒーは正直ものすごく苦くておいしいもなにもなかったけど、それが、彼女が自分のために淹れてくれた初め