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唇にロックオンー茶トラゆずとの幸せな日々 vol.7

ゆずが仔猫の頃の出来事です。

長崎県の島から保護されて4匹の兄弟と共に飛行機でやってきたゆずは、少しの期間母猫のオッパイを飲んでいたみたいです。

ある日、縦抱きにしてソファでくつろいでいると、ゆずがジッと私の顔を見つめキスをしに這い上がってきます。
(おー、なんて可愛い事してくれるんですか)
その目はわたしのくちびるを見つめたままで、キスしてくれると思いきや、チュッチュと吸い出したのです。
(えー、おっぱいと間違えてるの)
凄い勢いで一心不乱に吸い出しました。
前脚で私の胸をふみふみし、おっぱいがでるようにポンプの役割をしている様です。
(お母さんと離されちゃって、おっぱい吸いたいよね。私がゆずのお母さんになってあげるから好きなだけ吸っていいよ、おっぱい出ないけどねー)
この日からゆずに唇を献上します。
飼い主極上の喜びです。
あと少しでおっぱいも出そうな心持ちになります。
ちょっと顔をずらしても、離すもんかとゆずもずれて来ます。

母親にぶら下がっておっぱいを吸っている動物の赤ちゃんの映像を見たことがありますが、そんな感じで吸い付いて離しません。
それを見ていた奈々が羨ましそうに言います。
「いいなー。奈々にもやってくれないかな」
「いいでしょう。」
誇らしげに答え、代わってあげますが、ゆずは誰でもいい訳ではありません。
他猫のおっぱいには行かないのです。

余裕をかまし会話をした数日後、奈々が歓声を挙げました。
「ゆずが、チュッチュしてくれたよ」
「よかったじゃん、可愛いでしょう、極上でしょう」
浮気された私は、まだまだ余裕です。
(浮気したな、誰でもいいんかい)
チュッチュが私から奈々に移行して行ったのは長い時間はかかりませんでした。
私にチュッチュする時間は数秒になり、奈々のは数分になります。終いには私のくちびるをタッチし、間違えたようにやめてしまいます。
(そりぁ、若いプルプルの方がいいよねー)
形勢逆転されましたが、たまにでも間違えてチュッチュしてくれるだけでありがたい気持ちになります。

奈々は嬉しいのですが、ゆずのしつこさに閉口しています。用事があって出かける前でも、ゆずに献上しなければ、ゆずが承知しません。
ロックオンしたくちびるを離さないぞと、障害を乗り越えても吸い付いています。長い時は15分ぐらいやっています。奈々のくちの周りはよだれでダラダラです。

長く続いたこの行動はゆずの成長の前に、こちらの都合で終わりを迎えました。

譲り受けた頃奈々は学生だったのですが、1年後に社会人となり、2年後に通勤に便利な地へと、親離れして行ったのです。
奈々が居なくなり、私にまたロックオンするかと思いましたが、ゆずも乳離れしたようです。

たまに私が外出し長く留守番をさせていると、甘えてスリスリが止まりませんが、私のくちびるを見つめても、なんか昔このくちびるに引き寄せられた気がするけど、なんだったかなぁという感じです。
(ゆずはもう大人だよね、寂しいー)

ゆずにくちびるを献上する奈々



#猫 #茶トラ#保護猫#猫好き集まれ企画#おもしろ企画部 

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