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第15回 中学・高校生活

2015年、息子は地元の中高一貫校に入学した。この頃には将来の夢ははっきりと決まっていた。医師になって研究者になることだ。憧れたのはiPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥先生だ。

息子は部活動や生徒会役員をしながら毎日しっかり勉強した。体育祭や登山などの学校行事で疲れて帰宅しても、あるいは多少体調が悪くても机に向かわない日はなかった。

中学3年の夏、息子は親知らずを2本同時に抜くために入院した。手術が終わり、病室に戻って麻酔から醒めた息子は「終わったの?」と私に聞いた。「終わったよ」と答えると、むっくりとベッドから起き出し、棚に置いてあった英単語帳を手にしてベッドに戻り読み出した。

「まだ寝てないとダメだよ。勉強なんていいから。」と私が言うと「そっか」と呟き横になった。そして再び眠りに落ちた。その後、しっかりと目覚めた息子にこのことを話すと「全然覚えていない」と言った。私は驚いた。無意識の状態でもあのような行動を取るなんて、よっぽど勉強の習慣が体に染み付いているのだな、と感じた。

息子の学校では中学生の時に京都奈良への修学旅行、そして高校1年の終わりにアメリカ研修旅行があった。この研修旅行は息子にとって最高に充実した、学生生活で1番の思い出になったらしい。

前半はボストンでハーバード大学の特別講義を受け、後半はニューヨークで観光やオプショナルツアーに参加する盛りだくさんの12日間だった。家族でアメリカで暮らしていた頃、ニューヨークもボストンも行ったことがあり同じ観光地を訪れているのだが、息子はあまり記憶がなかったとのこと。ただ、たまたま買ったお菓子を食べた時、当時食べていた記憶が蘇ったらしい。味覚の記憶すごい!

この研修旅行が終わり高校2年になると、学年全体が一気に受験モードになる。息子は目標を最難関大学に定めた。無謀かもしれないけど、そこを目指してできるだけのことをしようと覚悟を決めた。

そして高校3年に上がる直前の2020年3月、新型コロナウイルスの影響で一斉休校となった。休校は3ヶ月にも及んだ。なぜ大事な受験の年にこんなことに?と私は不安でいっぱいになった。ここから長い試練の受験生活が始まるのだった。

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