愛してやまない「小沢健二:LIFE」レビュー
どうも、ほげきょうです。
今回は僕のバイブルであり生活の一部であり人生とも言えるほど好きな小沢健二の「LIFE」を一曲ずつレビューしたいと思います。
90年代を代表するアルバムですし、ミュージック・マガジン誌の「90年代の邦楽アルバムベスト100」において一位を勝ち取ったアルバムであったり邦楽史に歴史を刻んだ伝説的アルバムです。
それに加え、小沢健二の王子様キャラ確立させた一枚でもありました。
曲調で言うと前作(犬は吠えるがキャラバンは進む)に比べてポップでファンクであったりR&Bを感じるようなサウンドです。
他にも「知る人ぞ知る」ような楽曲からサンプリングを多用しています。
なので知っている人からしたらフレーズやメロディを聴いてニヤリとするような感じです。
ジャケットですらスライ&ザ・ファミリーストーンの「LIFE」からモロに取ってますね
それでは早速レビューに移りたいと思います。
1.愛し愛されて生きるのさ
東京恋愛専科と共に先行シングルカットされている楽曲であり、このアルバムのオープニングにふさわしい一曲です。
サウンドも非常にポップな感じで多幸感が全面に溢れ出てくるような感じです。
歌詞中にはサザンの「いとしのエリー」が出てきたりします。
そして小沢健二の書く美しい、美しすぎる歌詞。
「通り雨がコンクリートを染めてゆくのさ」
今まで晴天で乾ききっていたコンクリートの地面に通り雨が降ってきて黒色に染まっていくという当たり前の風景であるものの誰もが思い付かない所へスポットを当ててそれを歌詞におこす小沢健二の歌詞力、誰も真似できませんね。
MVもオザケンが当時住んでいたアパートの屋上で撮っただとか。
8/31の武道館ライヴ、最後に「愛し愛されて生きるのさ」を皆んなで歌って生活に戻りました。
LIFEではオープニング曲であったこの曲が再現ライブだとエンディング曲。別の言い方をすれば30年の月日を経てまたオープニングに戻る。
LIFEはまたこれからということでしょうか。
皆さんもこの曲を聴いて生活へと戻りましょう。
家族や友人たちと。
2.ラブリー
こちらもシングルカットされている曲で、小沢健二の代表曲、出世曲です。
7分近く同じメロディーが続きますが長く感じる事も無く、なんなら短くとも感じれる曲ですね。
1995年の紅白歌合戦に小沢健二が出演した際に披露した曲であったり、ライヴではお決まりの盛り上がる曲であったりと小沢健二自身にも欠かせない一曲なのではないでしょうか。
MVでのオザケンのクネクネダンス、クセになります笑
イントロはベティ・ライトの「Clean up Woman」から取っています。
ラブリー ラブリーと、とにかく純愛を歌う曲でありポップでファンキーなメロディで聴いても歌っても盛り上がります。
「それでLIFE IS COMIN’ BACK」など、今や
小沢健二のライブの締めの決め台詞でもある「生活に帰ろう」を表すような歌詞であったりと素晴らしいですね。
楽しい事、辛い事悲しい事、色々な事があってもこの曲はその時の気持ちに寄り添ってくれます。
そしてLIFE is a showtimeと呼びかけてくれます。
3.東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー
こちらも愛し愛されて生きるのさと共に先行シングルカットされた楽曲で、わけわかんないタイトルしてます。
東京恋愛専科 まではなんとなくわかるのですが「または恋は言ってみりゃボディー・ブロー」の部分。まじわけわかんないです。
ボディー・ブロー何!?ってなります。
そんなわけわかんないタイトルなのにめちゃくちゃメロディが良いんですよ。
とにかく聴いてて気持ちの良いサウンド。気分が上がりますね。
そしてまた歌詞が素敵です。
「街でみんな 夏の噂 僕たちのロマンスもバレてる」
この歌詞、めちゃくちゃ好きなんです。
普通に生きてたらこんな歌詞まず書けないですよね。
その他にも歌詞中にロックステディ(レゲエが派生したジャンル)が出てきたりなど、歌詞、メロディ共にどこを取っても名曲です。
この曲に出てくる東京タワーが主役というよりもただの脇役として登場してくるんですよね。
「東京タワーへ向かう」では無く「東京タワーを過ぎる」なのが良いですね。
楽しい気分の時はこんな曲を口ずさみながら街を歩いたりドライブしたいですね。
Barabaのリズムに乗りながら。
4.いちょう並木のセレナーデ
ここで初めてシングルカットされていない楽曲です。サザンへのリスペクトを込めてタイトルそのまま引用するという凄い事しましたね。
前3曲の多幸感溢れるサウンドとうって変わってこの曲はバラードソングです。
「きっと彼女は涙をこらえて」から始まる悲しい別れを告げるラブソング。
今までの曲のようにウキウキするような素晴らしい恋愛もあるけれどその出会いには別れは付きもの。という事を再認識させてくれる曲です。
そして毎度のことながら小沢健二の歌詞力。
やがて僕らが過ごした時間や
呼びかわしあった名前など
いつか遠くへ飛び去る
星屑の中のランデブー
ここの歌詞めちゃくちゃ良くないですか。
今まで過ごした思い出たちが別れる事によって記憶が遠くに行き数えきれないほどの星屑の中に紛れ込んでしまう。
こんな凄い歌詞を書ける人どこを探してもいません。
恋人との悲しい別れをした時の必聴曲です。
そして曲の中で小沢くんが呼びかけてくれます。
「ブルーの準備はできてるの」と。
5.ドアをノックするのは誰だ?(ボーイズ・ライフpt1:クリスマス・ストーリー)
こちらもまたシングルカットされてる楽曲で、前曲(いちょう並木のセレナーデ)が別れであるのに比べこの曲は一目惚れの出会いやウキウキのデートであったりと、またLIFE本来の多幸感を取り戻した感じです。
個人的にこの曲がLIFE史上一番多幸感に溢れている気がします。
やっぱり服部隆之のストリングス編曲であったりドアノックダンスだったり、すごく盛り上がる曲だからでしょうか。
特に1995年に武道館で行われた「village」のライヴ動画がめちゃくちゃ好きで、落ち込んだり気分が上がらない時はこの動画を見て元気を出すようにしています。
90年代の良い雰囲気を全て詰め込んだような動画でめちゃくちゃ憧れを抱きます。
動画リンクを貼っておくので未視聴の方は是非。
この曲はジャクソン5の「アイ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ」から結構サンプリングしており、メロディが一緒だったり歌詞が同じだったりとこれまた小沢健二の遊び心が出ています。
冬、特にクリスマスの街じゅうの皆が浮かれているような様子が歌詞に書かれていたり、メロディに無理やり「マーク外すその隙に僕がさっと奪い去る」なんて歌詞を詰め込んだりと小沢節が炸裂していますね。
クリスマスになると、この曲を思い出しますし、この曲を聴いています。
今年こそは彼女を作りダッフルコート着た彼女と原宿辺り風を切って歩きたいです。
そしてスケートリンクで笑い合いたい。
爆音でかかり続けてるドアノックを聴きながら。
6.今夜はブギー・バック(nice bocal)
これも先行シングルカットされている楽曲で、スチャダラパーとの合作です。
日本でこの曲を知らない人の方が少ないのではと思うほど有名な曲ですよね。
現在でも色々なアーティストにカバーされながら受け継がれている名曲です。
当時日本でアングラなカルチャーであったヒップホップをお茶の間に落とし込み一世を風靡しました。当時あまり無かったラップとメロディの融合という点においても歴史を刻みました。
この前のラジオで小沢健二本人が言っていたのですが、「ブギーバック」の意味はboogie(踊る)をback(返す)で「踊り返す」だそうです。
今年4月にあったブギーバック30周年ライヴも行ってきましたがめちゃくちゃ最高でした。
メロディだけ出来ていて歌詞がまだできていないブギーバックのメロディを鼻歌で歌っているオザケンのデモテープがよかったです。
1994年の小沢健二初全国ツアーの「DISCO TO GO」のライヴでのブギーバックが好きで、古臭い手拍子のはずなのにカッコよくて、90年代特有の少し不穏な多幸感。スカパラのオシャレな演奏。オザケンのアドリブ。どこをとっても最高な映像です。またリンク貼っとくので気になる方はどうぞ。
いつになってもオザケンの「心変わりの相手は僕に決めなよ」のセリフには心を打ち抜かれます。
多分この先もずっと心の中のベストテン第一位はこの曲でしょう。
7.ぼくらが旅に出る理由
こちらもシングルカットされている曲です。書いてて思ったんですけどLIFE8曲中6曲がシングルカットされるんですよね。
それほど凄いアルバムという事なのでしょうか。
僕この曲(タイトルやmvのせいかもしれませんが)朝の今から何処かに出かけるって時に聴くのが凄く好きで、どこか特別感のあるような気がして良いんですよね。
そして相変わらず歌詞がとても素晴らしいです。
最初は遠距離恋愛の話で「そして君は摩天楼で僕にあてハガキを書いた」この歌詞の「摩天楼」から読み取れるように彼女はきっとアメリカ(それもニューヨーク)のビル群の中から手紙を出しているのがわかりますし、その手紙に主人公は返事を出すのですが「何を書いたかはナイショなのさ」痺れますね。
曲全体を通してものすごく前向きな気持ちにさせてくれる曲であり人智を超えた何かが「多幸感」を支配しています。
長い人生人間誰しも「出会い」があった瞬間に「別れ」と言うものも存在します。それは「絶縁」であるのか「死」なのか「破局」「疎遠」と人それぞれなのですが別れは必ずしもあり結局最後は自分1人。そこでオザケンは「誰も皆手を振ってはしばし別れる」と歌いました。しかし彼は「しばし」とも言っています。どんな別れでもいつかはまた巡り会うという事なのでしょうか。
8.おやすみなさい、仔猫ちゃん!
ここで「いちょう並木のセレナーデ」と並んでこのアルバムの中でシングルカットされていない曲です。
このアルバム「LIFE」のエンディング(いちょう並木のセレナーデrepriseを除く)としてとてもふさわしい曲です。王子様期オザケン特有の甘い歌声の子守唄のような感じです。
曲の長さも8分近くあり子守唄には最適です笑
当時オザケンは女性ファン達を「仔猫ちゃん」と呼んでいたのもあり聴いていたオリーブ少女の方達はみんなうっとりしたに違いないでしょう。
当初僕はこの曲は他の曲みたいなクセになるメロディでも無いしポップな感じでも無いし何より8分近くあるのであまり聴いていなかったのですがある日きちんと聴いてみたら魅力に気づいてしまいました。
曲の中でも「ディズニー映画のエンディングみたいな」と言っているのでやはりエンディング色が強い曲ですね。なので壮大に弾けて来た曲達を閉めるのに丁度良い曲なのかもしれません。
あまりライヴではこの曲をやらないイメージなので再現ライヴでやってくれた時はとても嬉しかったです。夏の嵐を乗り越えて武道館にやってきた仔猫ちゃん達は涙してしまったのでは無いでしょうか。それはとても素敵なシーンでした。
まとめ
始めて全曲レビューというものをやってみたのですが意外と大変でした。
1番好きなアルバムなのでスラスラ書けるのかななんて生半可な気持ちでいたら全然そんな事ありませんでした。でも書いていると魅力を再認識できて楽しい時間でもありましたね。
書き始めたのが確か8月16日なんで1ヶ月と少しをかけてコツコツ書きました。
いつかLIFE再現ライヴの感想もnoteに描きたいな。余韻がまるで取れないので良い加減生活の場に帰らないと。
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