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「管理会計」はマネジメントと事業部の双方のためのコミュニケーションツール


自己紹介

皆様、初めまして。DIGGLEにてCFOを務めております竹村と申します。
note初投稿ですので、簡単に自己紹介させてください。

大学院終了後、日系・米系の証券会社にて10年間程投資銀行業務に従事しました。今思い返せば、M&Aや資金調達のアドバイザリー業務に限らず、ESG、アクティビスト、金融規制等、市場の関心と密接に関わった業務に常に携わっており、刺激のある日々だったと思います。その後は、AI Tech企業にて経営企画・財務IRを経験した後(期間としてはそこまで長くないものの、運良く多くの経験を積めました)、DIGGLEに参画しました。

DIGGLEではCFOとして、資金調達に限らず、事業戦略・プロダクト戦略の立案や実行、人事評価制度の設計、バックオフィス管掌等色々と自由に手を伸ばしています。
今後は、DIGGLEがチャレンジしていきたいことなどを綴っていければと思います。

「管理会計」は組織の仕組み化

管理会計に関する教科書は幾つか出ていますが、ここでは、私が管理会計に関するシステムを提供する立場として、また、様々な方にインタビューさせて頂いて個人的に感じたことを書いてます。

データ管理における個人的な思想と困難
予実管理業務という言葉だけ切り取ると、財務会計規則に準じたPLベースのイメージが強いと思いますが、財務会計PLは事業の最終的な結果であって、ここから事業動向を読み取ることは難しいです。一方、財務会計PLに至るまでの行動をツリー上にどんどん分解していけば、究極的には経営の計画・動向は全て数値管理できるのではないか。
当社の場合はSaaSビジネスですので、売上高だけ見ても幾つかブレイクダウンできます。

  • 売上高 = 初期設定費用 + 月額利用料金

    • 初期設定費用 = 初期設定単価 x 新規顧客数

    • 月額利用料金 = 既存顧客MRR + (新規顧客MRR x 新規顧客数)

      • 新規顧客数 = リード獲得数 x 商談移行率 x 評価選定率 x 受注率

コストに関して言えば、施策はリソース投下≒コストですので、施策の効率性を踏まえて、トップラインのドライバーとなる「率」を変化させていきます(一旦、「率」の蓋然性は無視しています)。
加えて、最近では大規模言語モデルが注目を集めておりますが、従前まで処理できなかった定性情報(例えば従業員のスキル・ノウハウ・経験等)もデータ処理できてしまえば全ての情報をコントロール下におけるのかなと。
一方、どこまでコントロールすべきなのか。これは限られたリソースの中で必要十分な程度の見極めが重要ですね。小さな会社であればおそらくCFO一人で事業動向を必要十分に把握することは可能だと思いますが、組織が拡大するにつれて、CFOと事業部の距離は離れていきますし、CFOが担うべき業務も広くなる中で、ここに充てられる工数も無くなっていきます。

管理業務の委譲と仕組み化
下記の図は企業のスケール化に伴って組織図が変わっていく様子を示しています。当社のようにアーリーステージにある企業は職能型組織の形態を敷いている先が多いですが、徐々に顧客やそのチャネルの多様化、マルチプロダクト化が進むにつれて、職能型組織→事業部型組織→本部型組織に移行していきます。この過程で、レイヤー(事業責任者)が増えてくるとマネジメントと事業の距離は離れていくので、各事業部単位での管理が求められ、マネジメントは各事業責任者からの報告をもって事業乃至は経営動向を把握することになります。

一方、ここで「マネジメントと事業部とのコミュニケーション」という大きな問題が生じます。私自身、400名規模のAI Tech企業の経営企画としてFP&Aを担っておりましたが、特に予算策定や着地見込管理の将来数値を作るときは非常に苦労しました。というのも、マネジメントと事業部長の会話が噛み合わず、お互いに説明の意図が伝わらない・理解できない中で、この調整に多くの工数を取られました。

「管理会計」というコミュニケーションツール

上記問題の原因の一つは、「共通言語」を持たずに会話を行っていたことだと考えます(その他の原因は今後のnoteで言及していきたいと思います)。マネジメントは財務会計PLを中心とした会話を行い、一方で事業責任者はその事業部特有のKPIにフォーカスして会話しており、違う言語・指標を持って会話していたため、お互いに理解できない、かつ、寄り添えない状況となってしまいました。

ここで、DIGGLEのプロダクト戦略を考える過程でインタビューさせて頂いた方からの興味深い話を紹介させてください。主にコーヒーを提供する店舗を運営するその会社は、店舗の利益を追うために様々な指標(来客数、提供品ごとの単価、各仕入れに伴う原価など)を用いていましたが、途中からコーヒーの出数のみに絞ったところ、店舗のPDCAが急速に回り始め、利益も大きく成長したとのことです。この背景として、現場の人間が注力すべきものが明確になり、かつ、馴染みがあるものであったことが挙げられます。
この例は、マネジメントが事業部の目線に寄り添った形ですが、このように「誰」の目線に立って「何」を会話することが最適なのか、のコミュニケーションの役割を担うのが管理会計であり、マネジメント目線では財務会計PLのみに捉われず、どこまでブレイクダウンして、事業部との「共通言語」を見つけられるかが重要だと思います。

また、DIGGLEが提供する管理会計システムは、「INPUT:『何の情報』を『どのように』取り込んで、OUTPUT:『誰』に対して『何の情報』を『どのように』提供するのか」を追究していく必要があると考えます。

終わりに

最後まで読んでいただき有難うございました。
少し上記と話がずれてしまいますが、管理会計のあるべき姿や使い方というのは、会社毎に異なると思いますし、自由に最適解を模索するものだと思います。それであるならば、管理会計システムを提供するDIGGLEもお客様に最適なソリューションを提供するべく、自由な発想を持ち合わせているべきだと考えています。
柔軟な発想を持って、能動的にチャレンジ頂ける方はとても面白い領域だと思います。少しでもご関心を持っていただけましたら是非弊社にご応募くださいませ。


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