流れのままに ②

 夫とは8年交際して結婚した。穏やかで懐が深く夫といると楽しかったし、安心感があった。そんな夫と子どもがいたらもっと楽しいだろうなと思い、家族を築きたいと思うのはわたしにとって自然の流れだった。

 30代半ばになると、子どもを持ちたい理由の一つに、【命のバトンをつなぐ】が加わった。平凡ながらも恵まれた人生を送ってきて、親からの愛情を惜しげもなく受けて育ってきた。その愛情を、次の代につないでいきたい、それが未来のためにわたしができることなのではないかと思いはじめた。このバトンをつないでいくことが、親が生きた証でもあるし、先祖代々脈々と受け継がれてきたものでもあるように思った。

 結婚式が終わり、本格的に妊活を開始した。子宮筋腫があったことやその当時でわたしが38歳という年齢が気にはなっていたが、そこまで深刻にとらえていなかった。今でも深刻に思っているわけではないけれど、子どもを持つということが、わたしたちにとってここまで難しいとは、その頃は考えていなかった。

 スマホアプリを参考に自己流タイミング法を試みたがなかなか授からず、入籍してから1年が経った頃、夫婦で不妊治療外来を受診した。不妊治療で病院にかかることにはなんの抵抗もなかった。しかし、周囲には言わないでおこうと決めていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?