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『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』入村記

こんばんは。宵待と申します。妖怪です。昼間は、人間のふりをしています。

本日、リバイバル上映されております『千年女優』を観に行きました。
しかし……私、寝坊をいたしまして……。
間に合いませんでした(笑)
よって代わりに、『鬼太郎誕生〜ゲゲゲの謎〜』を拝見いたしました。

結論から申しますと、、、面白かった……。
ええ。『面白かった!』というよりは、噛み締めたくなるような『……面白かった。』という感じ。
観る前と後では、見え方が180度変わります。
いろいろな面で。
そんな『鬼太郎誕生〜ゲゲゲの謎〜』について、今回は語りたいと思います。
(以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。)

ーーー

物語冒頭。
最初に目に入ってきますのは、『哭倉村』と刻まれているトンネル。この名前と、トンネルというセット。なんだか、あの心霊の名所を彷彿とさせる場面でした。

そこからいよいよ、水木とゲゲ郎(目玉おやじ)の物語が語られていきます。

このお話、まぁ強烈なシーンが多い。
よく、目玉が転がっていましたね。目玉おやじだからでしょうか(笑)
そんな中で私が好きなシーンは、水木とゲゲ郎が酒を飲み、タバコを吸う所。この二人の距離がぎゅっと縮まる、大切なシーンだったと思います。最初は、別々の道をひた走っていた二人。そんな二人の道が、映画を通して重なっていく姿が印象的でした。

そして、クライマックス。
……泣きました。ええ。そりゃもう。
多くを語らず、挿絵で進行されていくのにもぐっときましたね。理解に、感情が追いついてくる感じ。

あれが、ハッピーエンドだったのかは分かりません。ある者は友を失い、ある者は妻を失い、ある者は母を失いました。しかし、鬼太郎という希望が残ったことは確かです。

では、我々には何が残ったのか。

『友だちに、なれるかも。』

小さい頃、そんなふうに思っていたことがあります。自分もゲゲゲの森に住んでいて、カラスにどこでも連れて行ってもらう。そして、鬼太郎達と仲良く遊ぶ。そんな、想像をしたこともありました。
しかし、今回の作品がくれたのは、その気持ちとはちょっと違います。もしかしたら、私たちは交われない者たちなのかもしれない。しかし、妖怪たちは大切なことを教えてくれました。
それは……

『見ようとしなかっただけじゃ。目に見えるものだけ見ようとするからだめなのじゃ。片目で見るぐらいがちょうどいい。』

そうでした。つい私たちは、目に頼ってしまいがちです。
『あんなものはいない。』
『そんなはずはない。』
『だから、私が正しい。』と。
でも、見えないもののほうが、大切なこともあります。
『あいつは、ダメだ。』
『私はこう思っている。間違いない。』
『あなたの思ってることなんて知らない。』
本当にそうでしょうか?
私は、ちゃんとあの人のことを見れているのだろうか。自分のことを、見れているのだろうか。
いいえ。『見る』だけになっていないだろうか。

彼らが本当に存在しているのかは、分かりません。でも彼らがもしいるのだとしたら、私たちには見えないでしょうね。子どもの方が見えるのは、案外、大人よりも多くのものを見ているからなのかもしれません。

お友だちには、なれないかもしれない。けどこの映画は、少し大きくなった私たちに合わせて、ちょっと大きくなって戻ってきてくれたように思います。あの頃くれたものとは違うかもしれないけれど、変わらず私に寄り添ってくれました。
そんな彼らですから、仲良くはなれなくても、ひょっこり姿を見せてくれる日が来るかもしれませんね。

ところで……。いくら時間があっても、集合時間ギリギリ。もしくは、遅れてしまうのも妖怪の仕業でしょうか。
あ、いや、違うわ。私が妖怪だからだった(笑)

いつか、他の妖怪たちにも会えるといいな。
あ……あと、『千年女優』も観たかったな……(笑)

では、今日はこの辺で。
皆さん、よい宵をお過ごしください。


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