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インコの病気 PBFD

愛鳥の梵助が感染していると分かったPBFDという病気。

病院の先生からは「治らない可能性が高い」「免疫疾患から、ちょっとのことで亡くなってしまうこともある」「治療方法はない」というお話をされました。

ショッキングな言葉の連続。

楽観的要素が一つもなく、絶望しました。

ネットでも、「重篤」「致死的」と辛くなる言葉が並び、精神的なトドメをさされました。

一方で、陰転したというお話も見かけます。私の頭の中の整理として、今まで調べた事や、経験した事・感じた事などを、まとめてみます。

あくまで、初心者が調べたことなので、専門的な部分は間違っていることがあるかもしれません。

PBFDの症状

PBFDは、特にヒナ〜3歳の比較的若い鳥が感染する可能性が高い病気だそうです。PBFDにかかったセキセイインコに多い症状は、次の通りとされています。

① 羽の異常(特に風切羽・尾羽。抜ける・歪む・羽軸が黒い等)
②免疫不全
※PBFDはオウム目が感染するようで、大型の鳥は爪や嘴の異常も多いようです。

梵助の羽。羽軸が黒い。

実体験 感じた異常

梵助の様子がおかしいと気がついたのは、生後5ヶ月を過ぎた頃です。

ペットショップで購入したのは、生後3ヶ月。羽にはクリッピングが施されており、飛ぶことができない状態でした。店員さんのお話では、1ヶ月ほどで換羽がはじまり、飛ぶようになるとのことでした(このとき、長い尾羽もありませんでしたが、仲間に踏まれて抜けたという説明でした)。

私は梵助が飛ぶときを楽しみにして、一緒に羽ばたきの練習などを呑気にしながら、換羽を待っていました。天井から止まり木やおもちゃを沢山吊るしたりしました(気が早い)。

しかし、梵助の場合は換羽らしい換羽は、店員さんにいわれた時期にはありませんでした。インターネットで調べると、換羽のタイミングや、一気にどれくらい抜けるのかといったところは、個体差が激しいとのことで、このときには特に異常とは思いませんでした。

その後、生後5ヶ月になって、ようやくクリッピングされた羽が抜け、新しい羽が生えました。
ところが、生えてきた羽は、すぐに抜けてしまい、生後半年が近づいても飛ぶことはありませんでした。

ここで、私は、ペットショップにいたときに既に失かった尾羽が、その後すぐに生えてきたのに、また「失くなった」ことを思い出しました。尾羽が抜けた瞬間を見ておらず、私はてっきり、梵助が自分で抜いてしまったのだと思って、気に留めていませんでした。

「もしかしたら、梵助は新しい羽が定着しないのではないか」
そんな仮説が頭の中にできました。

「尾羽」「風切羽」「抜ける」
この3つのワードをGoogle検索し、出てきた病名が「PBFD」でした。

梵助から抜けた一部の羽の軸には、黒い汚れのようなものがついていました。羽軸の中が黒いのではなく、羽軸の表面に黒いなにかがこびりついているような感じで、爪で剥ぐとボロボロととれます。

抜けた羽の軸が黒いことや、血がついていることが異常なのだと、この病名を調べて初めて知りました。

梵助の症状は、PBFDの説明に当てはまりました。しかし、私はその段階では、まだ、PBFDであると強い確信をもつことはできませんでした。信じたくなかったというところも大きいかと思います。

「梵助が自分で引き抜いている(毛引き症)ではないのか」
「ほかの病気の可能性もあるのではないか」
「このような症状を持っている鳥のうち、何%かは病気ということではないのか(大半は病気ではないのではないか)」
など、そう自分に言い聞かせながら、病院で検査を受けることを選びました。

原因・感染経路

PBFDは、サーコウイルスという小さなウイルスに感染することによる病で、その感染力は極めて高いといわれています。感染している鳥との接触はもちろん、その糞を食べたり、脂粉を吸引したりすることでも感染します。卵の段階で、親鳥から感染することもあるそうです。

実体験 ペットショップでのこと

梵助の場合は、ペットショップにいたときには尾羽が抜けていたので、その時点で既に感染・発症していたと考えられます。さらに、ペットショップでは、梵助はほかのセキセイインコの雛たち(5羽程)と同じ水槽で管理されていました。あのとき一緒にいたほかのセキセイインコたちも、感染していた可能性がとても高いと思います。

先日、梵助を買ったホームセンターのペットショップを訪ねると、なんと、改装中となっていました。(と思ったら、通常のペットエリアから離れた、ホームセンターの敷地内で場所を変えて営業をしていました)

あのときの水槽の子や、それ以外にも、同じ店にいた鳥たちは、みな、新しい家族に貰われていったのか、ペットショップで発症して体調を崩すことになったのか。ずっと気がかりです。

お迎え初日の梵助

検査

PBFDの陽性・陰性を確認する方法は、血液を採ってのPCR検査です。
ただし、PBFDには貧血の症状もあるようです。症状がある状態で検査するかどうかは、お医者さんの判断にお任せするのが一番の正解かもしれません。

実体験 お迎え健診は大切

PBFDは早期の発見で、陰転率が上がるという情報もあります。今となっては、お迎えした直後に受診をしておけばよかったと思います。

これまで、ハムスターやウサギ、犬・猫を飼ってきました。犬・猫はお迎えしたタイミングで病院にかかるのはもちろん、定期的に病院に連れていきました。
でも、ハムスター・ウサギを病院に連れて行った経験はありませんでした。

セキセイインコに、かかりつけを作るべきなのか、悩みました。
(飼い主にもかかりつけの病院はありません。)

実際、小動物や鳥を診てくれる病院は、犬猫に比較するとかなり少なく……。

実はお迎えして2日目くらいに、梵助がクシャミを繰り返したことが気になり、近所の動物病院に行こうとしました。ホームページには、対象の動物に「鳥」と書いてある病院です。しかし、電話したところ、受け付けてもらえず(爪切りくらいなら受け付けてもらえるのかも)、電車で1時間ほどの鳥に詳しい病院を紹介されました(いま梵助がお世話になっているのも、そのときに紹介いただいた病院です)。

ただ、そのときは、3月。まだまだ冷え込みが辛い時期でした。セキセイインコは、寒さに弱いです。ましてや、家に迎えたばかりの雛。まだ懐いてもいませんでした。一旦は病院に予約を入れましたが、クシャミがその日の夕方には止まったので、キャンセルをしました。

このときに病院に行っていれば、もっと早期の段階でPBFDの感染はわかったかもしれません。でも、感染しているからこそ、外に出すストレスやちょっとした瞬間の寒さから、落鳥していたかもしれないとも思います。

それにしても、気温が上がった4月や5月にお迎え健診を受ければよかったと後悔ばかり。

そして、「もしもPBFDかもしれない」という症状が少しでもある場合は、病院に行く前に、はっきりと病院に伝えた方がいいです。検査ができない病院もあります。お伝えした上で、病院側の指示に従って、受診するのがよさそうです。

実体験 初めての病院

結局、梵助を病院に連れて行ったのは、6月の頭でした。お迎えをしてから、4ヶ月目のこと。鳥を病院に連れて行くのは、初めてでした。

私なりに、きちんと通院の準備をしたつもりでいました。

5月ごろから、移動用のケージに慣れる練習で、近くの公園に何度か連れていきました。
その成果はあり、初めてのお出かけケージには大暴れした梵助も、すっかり落ち着いて外出ができるようになりました。

お出かけケージで日向ぼっこ

病院の当日は、電車で片道1時間の距離はさすがに酷なので、実家の車を借りました。車であれば片道30分くらいですし、温度の管理もできます。

しかし、盲点が。

私は、梵助の入ったケージをそのまま病院に持ち込みました。
でも、診察時間まで車内で待機している間に、よく観察すると、他の方はタオルでくるんだり、大きな袋に入れてたりしていました。通院の際、ケージは剥き出しにしない方が鳥は落ち着くのでしょう。先輩方の愛鳥運搬の様子を垣間見ての学びでした。

病院にかかる金額も、予想を上回りました。

梵助の場合は、全部で25,000円でした。
なんと、梵助本体(笑)のお値段の倍以上……。

診察料/血液検査/検便/そのう検査/お薬/爪切りの金額です。

そのうち、薬代は30日分で5,400円(税別)。
当たり前ですが、薬代は治るまで毎月かかります。なかなかの財政圧迫というのが、本音。

実体験 検査後

検査直後の梵助は、少し疲れた様子でした。止まり木には普通に止まっていましたが、鳴いたり遊んだりせずに、じっとしていました。

半日後には普段の調子(よく鳴く・よく遊ぶ)に戻り、ほっとしました。

検査から約1ヶ月後に病院の先生から電話があり、「陽性」と伝えられました。検査結果を待つ間も、抜ける羽の軸は黒く、ある程度の覚悟はしていましたが、相当ショックでした。
電話を終えてから、梵助にも「陽性だったよ」と伝えました。
普段は触られると9割は噛み付く梵助ですが、このときばかりは、なにかを悟った様子で、静かに撫でさせてくれました。
鳥は飼い主のことをよく見ていると思います。

治療

PBFDという病気には、2024年の今のところは有効な治療法がありません。鳥自身の免疫力を上げ、自力でウイルスの増殖を止め、排出するということが必要になってきます。なので、病院で行ってくれるのは、鳥の免疫力を上げるためのサポートです。「インターフェロン」というお薬が用いられることが多いようです。

インターフェロン

抗ウイルス作用や細胞増殖の抑制、免疫調整作用があるタンパク質の一種で、人間の病気や、犬の病気の治療にも使われているお薬です。

病院での注射や、自宅での内服になります。

このお薬があれば治るというものではありません。インターフェロンは、あくまでも鳥自身の免疫を強化するもの。

病院によっても、さまざまな対応があるようです。
・インターフェロンによる治療は行わない
・毎週通院しての注射
・月に一回通院しての内服薬としての処方(飼い主だけの通院)

鳥を診察してくれて、かつ飼い主さんが納得できる治療をしてくれる病院に出会うというのは、なかなか大変なことかもしれません。

実体験 インターフェロンの処方

梵助の場合は、検査結果が出る前の、診察の段階で、極めて陽性の可能性が高いと判断されました。

お医者さんには、陰転することもあるものの、免疫不全が原因で死に至る病だと言われました。さらに、梵助は脱羽の症状が出ていたので、転転率は低いと。

お医者さんは治療できない病に対して、きっと安易に「治る」とは言えないのだろうとは思うものの、平均寿命をまっとうできないと宣言された気がして、非常に動揺しました。

見なし陽性として、検査日からインターフェロンの処方を受けました。が、どんな説明を受けたのか、あまり記憶にありません。

梵助の場合は、注射はしていません。毎日、飲み水に決められた量をシリンジで計って混ぜています。
ちなみに、梵助がもらっているインターフェロンは要冷蔵です。

投薬から1ヶ月以上が経ちましたが、今のところ、症状に目に見えるような大きな改善はありません。

病気との付き合い方

もともとは羽の美しさに惹かれて飼い始めた羽衣セキセイインコが、その羽を失っていき、死に至る可能性が高い病にかかっていました。
なんて残酷なんだと、日々思います。

もちろん、梵助に惹かれたきっかけは羽ですが、今では、豊かな表情やガサツな性格、楽しそうな仕草、怒りっぽいところも、飼い主が凹んでいると慰めるように側にくる優しいところも、大好きです。

病気かもしれないと気がついた時や、検査の結果が出た時は、とてもショックでした。なにもやる気が出ず、仕事もサボりました。この子は、間もなく全身の羽が抜け落ちて、弱って、死んでしまうのかもしれない。
今でも、抜けた羽を見ると、メンタルが落ちます。

ただ、梵助の動画をみた人にいわれたのです。

「本人はめちゃくちゃ楽しそうだね」

ビックリしました。
動画の中の梵助は、たしかにどう見ても、ニコニコして弾んでるのに、私だけ落ち込んでいたのです。もうなにもかもが悲しい気持ちになっているのは、私だけ……。

このままじゃぁダメだ、と思いました。
病気の梵助に逆に心配をかけてしまうだけです。

梵助は毎日楽しく遊んで食べて、鳴いています。それでいい。10年先か、明日なのか分からないお別れにメソメソと落ち込んでる方が、体に悪い。

梵助になるべく楽しく過ごしてもらうために、できるだけの工夫をし続けること。一緒に楽しく生活すること。それが、結果的には梵助の免疫を上げることにも繋がるはず。

と書きながらも、3日に1時間くらいは、抜けゆく羽をみて悲しみに暮れてしまいますが、闘病を頑張りたいと思います。

陰転を目指して……!

梵助の日々のお世話については、また別の記事にします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

梵助は元気。

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