ひだまりの唄 45
四月九日
そして、始業式。
いつもより高くから窓を眺めて、机の中に忍ばせたスマートフォンからイヤホンを伸ばし、教科書を開いたまま、それに耳を傾けている俺がいる。
『どうも皆さん、こんにちは!日野まりでございますぅ~!一週間のご無沙汰、如何お過ごしでございましたでしょうか!
それでは、本日は冒頭からお手紙を読ませて頂きますね。
こちらは…ラジオネーム、『マリー』さんから頂きましたね。
おや、以前にもお手紙頂いてましたね。私と同じ名前のラジオネームなので、覚えていますよ。
恋の行方はどうなったのかな?それでは読ませて頂きますね。
「こんにちは、マリーです。以前は相談に乗って頂き、誠にありがとうございます。
しかし、残念ながら、私の好きな人は既に恋人が出来ていました。
が、その友達から、告白をされ、正直、戸惑いました。
なぜなら、その好きな人が、まだ頭から離れていなかったからです。
ですが、私は大学のセンター試験に合格し、晴れて、来年から東京へ行くことになりました。
そこで、一つ階段を登った私を見つめ直して欲しいと頼んだ所、その告白をした彼もまた、一つ階段を登った彼を見て、また彼から告白させて欲しいと、そう言ってきたのです。
凄く嬉しくて、涙が溢れました。
なので、私、待つ事にしました。
そして、約束をしました。
好きだった彼と、告白をしてきた彼、そして彼の彼女と、バンドを組み、私の作った曲を演奏しようと。
そうです。私は、その四人で、バンドを組んでいます。
そして、また四人で再び会った時に、私の作った曲を、四人でやろうと誓ったのです。
とても嬉しかった…。
その時を楽しみに、私は、その告白をしてくれた彼を見つめて行こうと、そう思えました。
そして、再び会った時に、私の作った曲を演奏するのです。
四人の幸せを、それぞれに願いながら」』
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