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よりそう、ということ

しばらく、プライベートな事情もあって、私はアクセス自体できず、批評の自立、自律ということを考えていた。それは招待されるがままに現場に赴き、提灯記事を書いたりしない、という職業倫理は当然で、もっと深いレベルでの自分の表現衝動とどう折り合いをつけるか、という問題だった。

私はピアノを用いた表現者としても、言葉つかいとしてもかなりのレベルにいるものと自負する。ただしどちらもマニアックに閉じていくものとして...

正確な引用ではないが、谷川俊太郎の言う、宇宙と一点を結ぶ回路としての言葉、この言い方に私は胸震える思いがしたものだ。その一点を結ぶ回路が、私にとって音であるのか言葉であるのかわからずに、人生は過ぎてきた。マニアックに収斂し、宇宙の極点を突き抜けた果てに、真のビッグバンを起こすのは私にとってどちらのツールであるのか... その瞬間私はアーティストでさえいられなくなるかもしれないが

だからというわけではない、私はしばらく文筆の比重を変えようと思う。アートから離れ、ここ何年かお読みくださった読者の方々が離れていくことをおそれない。このアップでメディアは限られてくるのも覚悟のうえだ。

 医療と生きるということ 序論

ー 生命と存在を列断すものとしての              医療-福祉ー

  コロナ禍のなかでの精神医療

私はこの時期に、それでもなお以下書き記さねばならぬことを哀しむものである。

私たち「精神病」と呼ばれるものに入院がごく近しいものであることをまず述べる。定期的に向精神薬を服用し、適宜頓服を飲み、それでもなお「状態が悪」ければ入院も視野に入れるよう、私たちは常に「良心的」医療従事者に教育され、それが唯一の価値観と思い込んでいる。だが一服の頓服よりも、巧みな5分の傾聴が遥かに効果を成すことは、ピアカウンセラーだなどとは名乗らない、ちゃんとした多くの仲間たちを持つ私の真の同志は知っている。実際この「業界」は偽善に満ちた「専門職」が多いのだが、それへの怒りは私が書くことではない。

個人名をあげての淘汰も良かろうと思ったが、じっと堪えてイニシャル表記にとどめておく。

今回私は一泊だけだが、こころの医療センター駒ヶ根に入院を経験した。私は愕然とした。友とも同志とも思っていた急性期病棟の看護者たちが、数人の例外を除いて「管理者」と化していたのだ。ナイチンゲール精神どころか、最も基本である「よりそい」すらできない未熟な看護師たち... 彼らにカウンセリングの基本である傾聴ができるはずもない。そうして彼女たちは準夜勤から深夜勤の切り替えに固くカーテンを下ろし、患者との一切の対話を拒絶きした。夜は眠るもの、という「常識」は不眠症などには通用しない。眠れるよう傾聴し、対話するのが、かつて奇跡的な全解放病棟だったし駒ヶ根の常識だった。この病棟のS師長も、私が初めて入院するより遅くやってきた女性だが、その全解放を知っている。なぜ「よりそわない管理」を選択してしまったか。

すべては臨床経験の乏しい ー 入院中何回か診察を受けた私の経験から明らかだ ー 官僚的管理しか知らない、ひとの精神の深みを知らない、現院長H医師の方針の浸透である。「いいひと」を演じ続けた彼は、ある日、夜間深夜の傾聴体制を切るという暴挙におよんだ。夜間深夜「患者」が最も死に近づく時間、わずか十分の傾聴がひとの命を救うことがあるという常識のない精神科医!人員をさいて十分な傾聴をとるのではなく、人手が不十分だと傾聴そのものを拒否する愚かな「合理性」!いま精神科医にそう言った狭量で非常識な人種が増えている。典型的だっtのは、諏訪日赤に移った私の前の主治医Y!彼の狭量な非常識が私の頻繁な「状態の悪化」を招き、数ヶ月に一度の保護室隔離に始まる強制入院を招いた。酷い例では、診察の終わった私を、私を含めた会議があると言って留めおき、診察室が空いていないから新しい部屋へと、男性看護師4人の待つ「診察室」に連れ込み、そのまま騙しうちで強制入院させたことがある。地元のスタッフ誰もが驚愕した入院だったから、彼の狭量な卑劣がわかるだろう。

実際いまの若い主治医になってから、今回まで私は強制入院はもちろん、自分から、任意での入院も考えたことがなかった。

私は初心に帰れと言っているだけだ。医師ならばヒポクラテスの誓いを、看護師ならば、ナイチンゲール精神を思い起こせと言っているだけだ。人権-治療契約などと口にする前に、ひととひとであること、医療、看護の客体が「患者」なのではないのだ、ということ...

コロナ騒動で疎外されたと思っているひと。私たち40万人は、何十年も疎外され続け、コロナ以外は病気じゃないという風潮さえあるなか、人権がどんどん蹂躙されているのだということを、別に怨みがましくでもなく言っておく。差別は、より大きな差別のなか疎外されていく。

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