ハラスメント・ハンド

※注意:一部ハラスメントを軽視するような書き方や、またハラスメントに関連したものをイジるような内容がありますので、不快になる方はここからブラウザバックを推奨します。




ハラスメント・ハンド:ハラスメントを犯しまくり、受ける刑罰を相手と競う、刑務所で行われているイカれた遊びである。




某刑務所



原:「クッソ~~~~~~!!
なんで俺が部下に注意しただけでなんでこんなウスノロの肥溜めみてえところに俺が入らなくちゃいけないんだよ!!!この国っていつからこんな厳しくなったんだァ?」

俺は原 巣面糖(はら すめんとう)。1か月前おれは金融会社に勤め、とある部下に仕事を教えていた。しかし仕事の出来がとても悪く、それどころか教えたことさえロクにこなしてこない。だから俺は注意した。

それが俺の転落人生の始まりだった。

この暗くて寒く、おっさんたちの目線しかない集団房に入らされた。ここに入っている奴らはみな犯罪者とは思えない顔つきをしている。いや、こうゆうやつが意外にするのかもしれない。


??:「あんた名前は??」

細々とした30代くらいの男が俺に話しかけに来た。

原:「おい。人に名前を聞くときは自分から名乗ったらどうだ???ったく、最近の若いやつと言えば、、、。」

あきれたようなため息を吐いた後、彼は名乗った。

純一:「純一。日下部 純一(くさかべ じゅんいち)。もしかしてあんたも『ハラハラ』にあったのかい?」

原:「ハラハラ?」

純一「ハラハラ。通称『ハラスメント・ハラスメント』。ハラスメントにあったということを訴えて相手を陥れるっていうやつさ。この集団房はハラスメントを5回以上犯した奴らの集まりだ。なんでわざわざ集められてるかはわからねえがな。」

俺はその時に「先輩~。それ『マタハラ』ですよ~。」って言われたのを思い出した。確かにそういわれたことがある。それっきりである。それ以外に注意を受けたことがないことを純一に話した。

純一:「当たり前だ。社会がわざわざ注意してくれると思っていたら大間違いだ!これからお前は裁判にかけられる。いきなりだが、今から言うことをしてほしい。それは『自身の犯したハラスメントをメモに取る』ことだ。それが重要だ。」

集団房がすこしにぎわったような気がした。どうやら皆が俺に興味を持っているらしい。

純一:「『どれだけハラスメントをしたか』でこの集団房における立場が決まってくる。それを肝に銘じておけ。具体的なことはあんたが帰ってきたときに話す。これを持っていけ。」

そう言い、彼はメモ帳とシャーペンを渡した。そうして言われるがまま、裁判中は言われるがままハラスメントをメモに書き上げた。自身が犯したハラスメントは「セクハラ(1件)」、「アルハラ(2件)」、「マタハラ(1件)」、「リスハラ(1件)」、「パワハラ(3件)」と書いた。

自身が犯した罪の重さに痛感し、傍聴席にいた妻と息子に目が合わせられなかった。男として、人として恥ずべき行為をした。そう思わざるを得なかった。心が耐えられず、集団房に入るまでの道で泣き崩れてしまった。

だが、俺はすぐさま涙をこらえた。人は変われる。かつて暴走族の幹部だった俺が、妻も子供も、そして大手の金融会社に勤めることもできた。買われることの証明は自身の過去にあった。少しだけ、前向きになれるようになった。

純一:「ちゃんとメモしたか?」

俺の熱い目柱を見ても、気持ちなんて汲むことはなく、淡々と俺のメモ帳を見るだけだった。

純一:「取り会えず、今から昼休憩がある。その時にメモを見ていいか?」

そういわれ、配給されたクソにも劣らない、まず過ぎる刑務所の飯を平らげつつ、純一の説明を聞いた。

純一:「さっきあんたがここを出ていく前に『ハラスメントをメモしておけ』って言っただろ?あれは昼飯を全員が食べ終わった段階で、皆がハラスメントを使った『ハラスメント・ハンド』っていうゲームを行う。ハラスメントは罪の重さによって番号が分けられ、1が最強で13~2の順番で弱くなる。つまりポーカーと一緒だ。多分昼飯食べ終わったらボスからハラスメントを数字にしたカードが配られると思う。」

そこから少し長い説明を俺は受けた。彼の説明をまとめると以下のようになった。

・自身が犯したハラスメントをカードとして手札にできるが、それができるのは「5枚」のみで「役」を作る。この時の手にしているハラスメントの組み合わせを「役」という(服役からきている)。
・手札には5枚しか持つことはできないが、自身の犯したハラスメントが5つ以上ある場合、残りのカードが自身の山札となる。自身の交換したいカードを捨て、山札のカードを手持ちに加える形で交換する。
・ハラスメントには「身体的攻撃」、「精神的攻撃」、「過大な要求」、「過少な要求」、「切り離し」という種類があるがこれは「役」の条件以外では意味を持たない。
・各ターン目の終わりに「カードの交換」をすることができる。しかしこの時、1,2枚しか交換できない。
・同じカードが5枚そろったときは、フォーカードより強くストレートフラッシュより弱い「ファイブカード」となる

つまり「自身が犯したハラスメントをカードにして戦うポーカー」というものだった。

純一:「君は新入りだ。集団房のボスでありこのゲームマスターでもある『鞍馬』の座を奪うのは難しい。君より2日前にここにやってきた男『加藤』と対戦するのがいいと思う。」

俺は純一の言うことを信じ、飯を取り上げられ、飲尿させられているであろう加藤という人間と勝負することになった。

鞍馬:「では、新入り同士の対決と行こうじゃないか。どんな戦いなんだろうねえ。しかし、純一も悪いことを考えるなァ。」

俺はどういう意味か分からなかった。だが後に彼と戦うときにそれが明らかとなるのだった。

純一に聞きたことがあるため戦う前に質問した。

原:「これはいわば、『ハラスメント版ポーカー』だろ?何も賭けないのか?」

純一:「いや、賭けるさ。自身の『立場』を。」

原:「立場??」

純一:「このゲームの勝敗によって集団房内での立場が変わる。賭けるタイミングで自身が昇格したい分だけ数字を言うんだ。勝負に勝てたらそれだけ君は昇格できるし、負けたらその分だけ下がる。でも君は今この中で一番下の立場だから好きなように立場が賭けれるよ。」

原:「賭けるタイミングはいつなんだ?」

純一:「そもそもこのゲームは先行と後行の交互で、2ターンまで行う。ゲームが始まる最初と3ターン目が終わった最後に賭けることができて、組み合わせが悪かったりよかったりしたら数字を下げることもあげることもできる。」

鞍馬:「もういいかい???純一君、案内役をするんだったら最初にそのくらい説明しておけよ~~~~~~!!!」


鞍馬:「数字を述べよ。」
原:「3!」
加藤:「10!!」

鞍馬:「ずいぶん挑戦的だねえ~~~~。とりあえずスタ~ト!!!!!」

昼飯前に鞍馬からもらったカードを見る。見たところ完全にブタだ。何の役もない。

加藤:「ヒヒヒヒヒヒ~~~どうやらその表情は『何にもそろってない』という表情ですな!!!」

完全にこちらを探ろうとしてる。こうゆう賭けはしたことがない。とりあえず、純一から配られた各ハラスメントの強さを数字にした表を見るに「セクハラ」が一番強い「1」であることが分かった。

俺が先ほど裁判所で「パワハラ(3件)」であることを言われた。手持ちには現在「1,8,12,7,13」の組み合わせのため、「7,8」を捨てた方がいいだろう。

加藤:「おやおや、2枚捨てるとは、、、、あなたそれをすればもう交換できるカードはありませんゾ~~」

俺の手持ちは「1,12,13,13,13」である。スリーカード(同じ数字が3枚ある)という状態はとても有利だ。しかし怖いのは相手の枚数だ。数えれそうだが、量は割とある。このゲームの怖いところは手札がすべて同じ数字である可能性がとても高いということだ。

セクハラを5回以上していれば、手札になったときの強さは異常だ。同じカードが5枚の場合は強さとしてどのあたりにあるのか想像できないが、そうなればこちらが不利になるだろう。

加藤も同じくカードの交換をし、にやにやとしている。

加藤:「フフフ、、、、、。初心者が勝てるわけありゃあしませんぞぉ~~~」

カードの交換をし終えた直後、加藤の後ろから歓声が上がった。どうやら役が良いようだ。正直、位が一番下だと「尿を飲まされる」ということしかわかってないから余計に怖い。

この時に「もし相手のカードがすべて同じ数字だったらどうしよう」という一抹の疑問が走った。でも手持ちに交換できるカードはもうない。どうしようか。ここで勝負に負けてしまっては、元大手金融企業の中間管理職としてのプライドが許さない。

しかし悩んでても仕方ない。この時に思い付いた決死の策を加藤ではなく純一に行った。

純一の鼻、そして下あごをめがけて思いっきりアッパーを決めた。当然ながら純一の鼻はへし折れ、下あごからは人間からは鳴らないはずの音が鳴った。

その一部始終を見た囚人たちは唖然とし、あの加藤でさえも「何やってんすかァ~~~、、、、、?」と驚きを隠せないでいた。

原:「今私は彼に対して2回暴力を振りました。つまり、パワハラがここで2回成立しました!!!!」

半ば強引な必死の熱弁を鞍馬に言い聞かせた。鞍馬は苦笑をしながら俺に渋々パワハラのカード「13」をもらい、13のカードを捨てた。

こうして、今の俺の手持ちは「13,13,13,13,13」のハラスメントのフルハウスが完成した。ほぼ勝利は確定した。

原:「加藤!!!!!お前のまけじゃい!!!!!!このおたんこナス囚人がァ!!!!!」

あきらめたのか、加藤はカードを交換することなく、2ターンのゲームが終わった。

鞍馬:「再度問う、数字は??」

加藤:「10で」
原:「同じく!!」

鞍馬:「では、お互いのカードを公開、、、、」

結果は、俺の負けだった。相手はパワハラのファイブカード。「1」の5枚持ちだった。

俺は、2つ失った。一つはここでの立場である。ゲームを教えてくれた恩人をあだにして返すということで俺は完全にここでの立場を失った。

翌日、俺に妻と子供が面会に来た。そこで話したのは「もう別れよう」ということだった。結婚は破綻し、親権は向こうに譲る形となった。

そう、もう一つは妻と子供だった。

こうして、彼はもう外の世界に希望は無くなり「この牢獄の中でトップになるしかない」という覚悟を決めた。










※注意:この記事はほぼフィクションであり、本当に私がこう思っているわけではありません。ハラスメントを軽視する書き方をしてしまい不快になられた方がいらっしゃれば申し訳ございません。


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