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彩。#1


春の日。
晴れの日。
空は青々。
裏は恐々。


掃除屋『スズタニ運送』とホストクラブ『ダイヤモンドダスト』が組んだ
らしいという噂が裏社会に響き渡る。

『ダイヤモンドダスト』で行われた夜会は会社創立の伝説の飲み会と後に語られることになる。

夜会翌日。
サカガミは激しい二日酔いでダウン中。冴子は付き添って介抱している。



「カヲル!スズねぇ!!」

スズタニ運送に突然現れたルナ。
かなり飲んだ社員連中は全員ダウン。
今日は業務ストップした。
カヲルは元気だったので、残っている仕事を片付けていた。

「ルナ!おはよー!」
カヲルが元気よく挨拶する。
あの夜から距離が縮まった感のふたり。
「くぁ……。おはよぉ、ルナ」
欠伸からの挨拶はスズタニだ。
さすがに二日酔いまではいかないが酒の残るスズタニ。

「あっ!」
急にスズタニが声を上げる。
「どしたの?スズねぇ」
「ルナぁ……ちょいとお仕事手伝ってくれない?」
急に甘い声で推しへのスキンシップ。
「カヲルと一緒に帳面町まで行ってきて欲しいのさぁ❤」
「あっ!ってさ、仕事忘れてたんじゃないの?」
「あは❤バレた?飲み会が楽しすぎてすっかり」
「行きの新幹線チケットはあるんだけど予算ケチな客でねぇ、帰りは夜行バスで帰ってきてね❤」
「夜行バス!?おもしろそー❤」

体良く出張の人員を確保したスズタニ。
カヲルとルナは支度してスズタニ運送を後にする。


悟は寝惚けて、フラフラしながらリビングへ。
やかましい声が聞こえないところを見るとルナは出かけている。
大きな欠伸をして、キッチンで湯を沸かして寝起きのホットコーヒーを淹れる。冴子の料理に興味を持ったのは、ほんのひと手間をかければ美味くなる理論が悟に刺さったからだ。
珈琲もしっかり挽いてドリップしたものを使っている。
「くぁ……さて。冴子の料理を『模倣』しにいってみるか」

冴子に電話。
「悟?おはよう」
「冴子、おはよ、今日そっち行っていいか?料理コピりたい」
「(笑)貪欲ねー」
「用事あったか?」
「カズヤが飲み過ぎで倒れてるくらいだから介抱するくらいで用事はないわよ」
「そうか、じゃあサカガミの飯作るところコピらせてもらうかな」
「はいはい、あ、材料買い物頼んでいい?」
「うす、わかった。LINEしておいて」

暖かい春の日。
穏やかな時間。
これを守るために。
彼等は手を組む。

彼等の『彩』が綺麗に混ざり会う。


𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭



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