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彩。#2


とりあえずの買い物を済ませ、サカガミ宅へと向かう悟。
ルナからのLINEでスズタニの仕事を手伝うためカヲルと旅立ったことを知った。

ーー『模倣』の邪魔はこれで入らないな。

今日1日で冴子の料理を『模倣』仕切ることを決意した。



『お、きたきた。やろっか、悟』

「おう、頼む」
『しょーがない、おねーさんが教えてあげよう❤』
「ふつーに言えないのかよ」
『なぁに?ふつーって?(笑)』
「もういい。作ってくれよ」
『はいはい』


一方、帳面町のふたり。

「結構遠かったね」
と、ルナ。
「新幹線の駅降りてから更にバスで町の果てだからね、ターゲットの住処は」

古ぼけた日本家屋。
時は夕刻。
逢魔が時。
唐突にルナ飛び込んでくるヴィジョン。

「うわ……」
「どうしたの?ルナ?ヴィジョン?」
「ん、ターゲット待ち構えてるみたいよ、あたしたちを」
「どういうこと?」
「あたしたちを殺る気満々ってこと」
「サカガミさんが言ってたわたし達を許さない輩の差し金かな?」
「たぶんねぇ……」
ーーしかもこの殺気、カタギじゃないかもね……。
「カヲル、全開で戦う覚悟して行こう」
「わかった、ルナ」

日本家屋へ近付いていくふたり。
縁側の方から回って行く。
突然障子を突き破り飛び出してくる影!そこには刃の光。
即時対応のカヲル。ルナの言葉に能力発動を準備していた。
抜き去る匕首で刃を受けるカヲル。
短刀二刀流の影、鍔迫り合いは短く、すぐさま間合いを取る影。
「反応速度は悪くないな」
聞こえるは男の声。
「殺気出しまくってたのはワザと?おっさん」
ルナが影の男を煽る。
「それもお見通しか……随分とこちら側に近いんだな」
「そっちが二刀流ならわたしもいくわよ」
匕首二刀流のカヲル。

ーー能力解放『ラヴェイジャー』


「あんたからは良い氣を感じないわ。
容赦なく斃す」

ーーカヲルが本気だわ。一撃交えて悟ったのかな?

ルナも戦闘態勢に入る。


ーー確実に殺る。

ルナもナイフ二刀流。

カヲルと影の男との打ち合いが始まった。強烈に接触する金属と金属の音。
影の男の死角、カヲルの真後ろからルナが加勢に。
突然現れたように見えたルナに怯むことなく4つの刃を二刀で捌いていく男。

ーーちっ、手練だ、こいつ。スキがねぇ!

2対1での打ち合いを捌き切った影の男は1度間合いを取る。

「なんだ?2対1でこんなものか?」

ーーカチンっ!

ルナが煽りに乗ってしまった。

「舐めんなよぉ!おっさん!」

無防備な突進!しかし、速い。

ーールナ……。わかった。

「愚かな……」

影の男の迎撃の刹那!

「わたしの能力は更に進化する」

ーー『壊滅者Ravager疾風迅雷as quick as lightning

ルナを迎撃する為に放つ攻撃の瞬間が、影の男最大の隙であるのをルナは理解していて、煽られたフリをして囮となった。カヲルを信じての囮。
こんなことが出来る自分に少し驚きながら、カヲルは更に強くなっていると悟っても居た。

神速の移動!あっという間に影の男の間合いに入り込み、匕首二刀流での頸薙ぎ!!

宙を舞う男の首と離れた胴体は力無く沈んだ。

ーーはっや……あたしより速く動けんのかよ……カヲル。

『狂戦士』のスピードに特化した形態『疾風迅雷』は影の男の目には追えなかったようだ。

「ありがと、ルナ。信じてくれて」

影の男に向かいながら、カヲルに自分が囮になるヴィジョンを飛ばしていたのは言うまでもない。

ルナは照れ臭くて後ろを向いて笑った。



𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭


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