修了考査の期待値分析(令和4年度・会計実務)

どうもこんにちは、KKです。
去年の夏に修了考査の過去問分析を出したところ、ありがたいことにかなりの反響をいただきました。今年の試験問題も早速後輩からお借りして分析を進めているので、今後分析対象を7年分に拡張してリリースするつもりです。

さて、今回は今年の試験問題を解いた感想を書いていきます。
配点と難易度も自分なりに予想してみたので、もう受験された方はエンタメとして、これから受験される方はいかにして総得点の60%を稼ぎ出すかの参考としてご覧ください。
※本記事の内容は全て筆者の私見です(配点と難易度に至っては妄想に近いです)。参考程度に留めていただけると幸いです。

総評

・去年よりほんの少し易化。ここ6年の中でも易しめ。
・収益認識の配点が多い。その代わりに連結会計の配点は減り、組織再編に至っては出題なし。
・減損や税効果など主要論点が中心で、難問奇問は少ない。

期待値分析

易:138点
中:141点
難:21点
期待値:185.1点(易×0.8+中×0.5+難×0.2)
捨て問が少ないのに加えて、理論が多く部分点を稼ぎやすいセットでした。決して簡単ではないですが下振れしにくい印象です。

第一問

問題1
問1-問2 連結会計
予想配点:4点×4箇所 予想難易度:①易②中③易④易
・・まさかの子会社判定。①③④はうろ覚えでも何とか。②は暗記していないと保守的な思考に引っ張られて「裏付けられる」を選んでしまった方も多かったのではないでしょうか。

問3 連結会計(IFRS)
予想配点:4点×3箇所 予想難易度:⑤中⑥中⑦中
・・IFRS10号の用語を精度高く暗記しているかがポイントでした。

問題2
問1 (1)金融商品、(2)税金税効果会計、(3)連結会計
予想配点:(1)6点×2箇所、(2)6点×2箇所、(3)6点×2箇所
予想難易度:(1)易、(2)易、(3)中
・・(1)はダミーデータに少し心動かされますが簡単だと思います。(2)は有価証券に係る将来減算一次差異と繰延税金資産の金額を要求されていますが、繰延税金資産は分類2かつスケジュール不能というところがポイントだと思います。(3)は資本連結の実務指針32項を問う問題でしょうか。これは知らないと解けなさそうですね。

問2 退職給付会計
予想配点:(1)10点、(2)8点、(3)8点
予想難易度:(1)中、(2)易、(3)易
・・(1)は数理計算上の差異を一定期間にわたって費用処理する考え方を問う問題でした。論文式では典型論点なので記憶を辿って書くしかないですね。(2)(3)は連結単体における数理計算上の差異の取り扱いを問う問題であり、特に難しいところはなさそうです。

問3 (1)(2)リース会計、(3)連結会計
予想配点:(1)10点、(2)6点×2箇所、(3)8点
予想難易度:(1)易、(2)①中②難、(3)中
・・(1)は現在価値基準と経済的耐用年数基準を直接問う問題でした。(2)は転リースというややマイナーな論点ですが実は六法のリース適用指針の設例6のコピー問題でした。(3)はあまり自信ないですが、連結の視点に立てばA社からC社へのリースは無かったことになるから、単にF社から借りているだけという考え方でしょうか。これは設例がないので現場思考型の問題ですかね。

問4 収益認識
予想配点:(1)4点×2箇所、(2)6点×2箇所、(3)10点
予想難易度:(1)(a)易(b)中、(2)①易②易、(3)中
・・収益認識の適用指針の設例11のコピー問題でした。問3もそうですが、修了考査は六法の設例の改題がよく出題されます。(b)は誤って「取引価格」と書いた方も多いと思います。(3)は基準74項に沿って遡及しないのが正答でしょうか。そもそも最善の見積を遡及することはちょっと考えにくい気がします。

第二問

問題1
問1 減損会計
予想配点:5点×3箇所 予想難易度:甲・・易、乙丙・・中
・・減損の兆候有無を記述する問題。一見簡単そうですが、閉鎖決定が期末日後など実務でありそうな感じで捻られています。

問2 減損会計
予想配点:10点 予想難易度:易
・・いかにも「本社費の配賦が不適切ですよ」と言わんばかりの資料。これは書きやすいと思います。

問3 減損会計(IFRS)
予想配点:10点 予想難易度:易
・・のれん戻入をしない理由。典型論点のため書きたいです。

問題2
問1 税金税効果会計
予想配点:(1)10点(2)10点 予想難易度:(1)易(2)中
・・(1)は課税所得に大きな増減があるので分類3、(2)は分類4に見せかけて適用指針29項から分類3と判断する点がポイントでしょうか。

問2 税金税効果会計
予想配点:①②③4点 繰延税金資産の計上限度額・・8点
予想難易度:①②③易 繰延税金資産の計上限度額・・易
・・特にひねりの無い問題ですが、「一時差異等加減算前課税所得」の理解があやふやだと①②③全て失点してしまいそうです。

問題3
問1 収益認識
予想配点:(1)(2)(3)(4)5点
予想難易度:(1)易(2)中(3)中(4)中
・・仕訳問題。難しい内容ではないですが、問題文で指定されている勘定科目では足りない気がします。答案用紙に一部記載があったとか?ちょっと判断しづらかったので予想難易度は置きに行っています。

問2 収益認識
予想配点:10点 予想難易度:中
・・残存履行義務に配分した取引価格の総額は書けそうですが、その続きの注記文章を書くのは実務で触れていない限り難しそうですね。六法の設例が参考になります。

問3 収益認識
予想配点:(1)3点×2箇所(2)3点×3箇所
予想難易度:(1)難(2)難
・・重要な会計方針と、収益認識に関する注記を問う問題で、今年一番の難問だと思います。修了考査では要求される注記事項も問われるのですが、細かい注記まで押さえるのは結構大変ですね。

問題4
問1 研究開発・ソフトウェア
予想配点:10点 予想難易度:中
・・最も作文色が強い問題という印象です。「将来の収益獲得が確実」を説明できれば複数の解答が認められるのではないでしょうか。

問2 研究開発・ソフトウェア
予想配点:(1)10点(2)10点 予想難易度:(1)中(2)中
・・(1)は問1と同様に複数の解答があり得そうです。(2)は減損以外に考えられないですがその理由書くのに苦労しそうです。

おわりに

以上が令和4年度の会計実務でした。良問揃いでしたが決して簡単ではないですね。会計実務は令和元年が際立って難しかったのですが、他の年度は難易度が安定している印象があります。
次は監査実務を解いてみます。それではまた。


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