修了考査の期待値分析(令和4年度・税金実務)
どうもこんにちは、KKです。
前回の監査実務
に続いて令和4年度の税金実務の試験問題を解いた感想をまとめます。
配点と難易度も自分なりに予想してみたので、もう受験された方はエンタメとして、これから受験される方はいかにして総得点の60%を稼ぎ出すかの参考としてご覧ください。
※本記事の内容は全て筆者の私見です(配点と難易度に至っては妄想に近いです)。参考程度に留めていただけると幸いです。
総評
・去年より易化。ここ6年の中でも易しめ。
・第五問の消費税は上流のミスが下流に響かない設計になっており出題者の優しさを感じた。
・第六問は保険差益、災害損失欠損金など出題実績のあまりない論点が目立ったが、誘導が親切のため対策が手薄でも部分点を稼げそう。
・所得税の割合が高め。たまに出る事業税、グループ通算制度、国際課税からの出題はなし。
期待値分析
易:157点
中:107点
難:36点
期待値:186.3点(易×0.8+中×0.5+難×0.2)
全体的に易しめの問題が多かったのに加えて、一見難しそうでも誘導が親切だったり参考基準が付いていたりと大幅失点する箇所も少なかったと思います。
分量は去年までと変わらず膨大ですが、期待値は分量を考慮していないので実際にはもう少し下がるような気もします。
第五問
問題1 法人税(総合問題)
予想配点:3点×26箇所
予想難易度:1・2・3・4・5・7・8・10・12・13・14・16・17・18・19・23・26→易、11・15・20・21→中、6・9・22・24・25→難
・・当期純利益、租税公課、税効果会計、減価償却費、給与、交際費、寄付金、受取配当金、所得税控除といったお馴染みの論点かつ特に細かい知識を要求されない問題は「易」としました。特に1・2・3・4・10・13・23・26あたりは本当に毎年同じ問題が出るので対策した方が良いと思います。棚卸資産の原価差額、評価損の過年度遡及といったあまり見慣れない論点(11・15)や、上流の数字に連動する箇所(20・21)は「中」としました。税額控除の限度額の計算が難しい22・25など、かなり細かい知識が要求される箇所は「難」としました。
・・過去問において、20〜26の別表一の問題は上流の数値を誤ると下流の数値も全て誤るリスクが高い箇所でしたが、今回は上流に連動する数値にあまり配点がないため、大幅失点するリスクが低いという意味で出題者の優しさが感じられるセットでした。
問題2
問1 消費税(理論)
予想配点:2点×9箇所 予想難易度:ア・ウ・エ・カ・ク・ケ→易、イ・オ・キ→中
・・各費目について、課税売上割合の計算において分子と分母それぞれに含めるか否かを解答する。社宅貸付による受取家賃など過去問でよく見るものは「易」、コロナの雇用調整助成金の額など時事的な費目や細かめの知識が求められる費目は「中」としました。
問2 消費税(計算)
予想配点:3点×11箇所
予想難易度:1・2・3・4・5・6・7・8・10→易、9・11→中
・・毎年お馴染みの消費税の総合問題。例年は問題文の費目を課売と非課売に区別・集計するのが大変でミスも起こりやすい所でしたが、今回は計算に必要な数値が最初から与えられているため、基本的な計算の流れさえ押さえていれば得点しやすかったと思います。
・・法人税に引き続き上流に連動する数値の配点が少なかったため、大幅失点するリスクが低いという意味でも易しめだったと思います。
問題3
問1 所得税(計算)
予想配点:4点×3箇所 予想難易度:易
・・スタンダートな事業所得、譲渡所得の問題だったと思います。
問2 所得税(理論)
予想配点:3点×3箇所 予想難易度:中
・・合計所得金額、所得控除に関する理論問題。(2)で寡婦控除に所得制限がある点がやや難しかったと思います。
第六問
問題1
問1 法人税(完全支配関係法人間の取引)
予想配点:4点×2箇所 予想難易度:中
・・完全支配関係と譲渡損益調整資産を説明する問題。何も書けないことはないですが、しっかり書くには精度の高い暗記が必要だったと思います。
問2 法人税(完全支配関係法人間の取引、受取配当金)
予想配点:3点×8箇所 予想難易度:(1)(2)(3)(4)の別表四の調整内容→易、(4)の別表五(一)の調整内容→中、(1)(2)(3)の別表五(一)の調整内容→難
・・別表四の取り扱いは特に難しくないですが、別表五(一)の取り扱いは出題頻度の低さも相まって難しかったと思います。
問題2
問1 相続税(理論)
予想配点:2点×8箇所 予想難易度:中
・・相続時精算課税精度の選択式穴埋め問題。それほど難しくはないですが、各解答欄について2〜3個の選択肢があるため全く対策していない場合は運否天賦になってしまいます。
問2 相続税(計算)
予想配点:3点×4箇所 予想難易度:(1)易、(2)(3)(4)中
・・オーソドックスな相続税の総合問題ですが、(2)以下は相続時精算課税制度の知識が必要なのでやや難しいかもしれません。
問3 所得税(譲渡所得)
予想配点:(1)4点、(2)3点×4箇所
予想難易度:(1)易、(2)①②⑤易、(2)③中、(2)④⑥難
・・相続した土地の譲渡に関する所得税の問題。本来は譲渡所得金額の問題だけで良いところ、途中経過にも厚く配点があるため部分点を取りやすいです。④⑥は「取得費加算額」を知らないと得点できないため難しいと思います。
問題3
問1 法人税(圧縮記帳)
予想配点:3点×6箇所 予想難易度:①②③⑤易、④⑥中
・・まさかの圧縮記帳(保険差益)からの出題。一見難しいですが、本来圧縮基調だけ問うのでも良いところ計算過程の6箇所に配点があったり、ダミーデータがなく未学習でも「これ以外あり得ないでしょ」と解答できるところも多いので見た目以上に得点しやすいと思います。
問2 法人税(災害損失欠損金)
予想配点:(1)3点、(2)3点×4箇所、(3)3点、(4)3点×4箇所
予想難易度:(1)難、(2)③易、(2)①②④中、(3)難、(4)①②③④中
・・災害損失欠損金という、問1に引き続き出題実績の少ない分野からの出題。これも計算過程に細かく配点が振られており、未学習でも雰囲気で解答できそうなところもあるため、何箇所かは掠め取ることができそうです。(1)(3)は災害損失特別勘定、繰戻し還付制度の知識が必須なので難しいと思います。
問題4
問1 法人税(組織再編税制)、問2 相続税、問3 法人税(減価償却)、問4 消費税、問5 所得税
予想配点:4点×5箇所 予想難易度:問1・問3・問4→易、問2・問5→中
・・問題文の正誤判定をする問題。問1・問3・問4はかなり易しいですが、最後に配置されていたためあまり時間をかけられなかった所だと思います。
おわりに
以上が令和4年度の税金実務でした。比較的マイルドな印象ですが、分量が膨大なので一定の取りこぼしはやむなしだと思います。
次は経営実務を解いてみます。それではまた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?