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和の心を異国で受け繋ぐ挑戦

着物への憧れ

私が「日本一ハードルの低い着付け講座」を主宰されている、秋田桃子さん(桃子さんについてはこちら)に出会ったのは2年前、まだ娘が赤ちゃんで授乳をしていたころのことです。

着物と言えば、「着せてもらうもの」というイメージを木端微塵に打ち砕いてくださった桃子さん。小さいころからチャンスさえあれば着物を着たいと常に願っていた私への突破口を開いてくださいました。

桃子さんは365日和装で過ごしていらっしゃるのです。着物を着て、風呂敷を担いで飛行機に乗り、バンクーバーにもいらっしゃって講座を開催してくださいました。

移民の文化を受け入れるカナダ

バンクーバーの専門学校で学んでいたときに、「多文化共存」についてのクラスがありました。この時に知った「Multiculturalism Act」 (多文化主義法:1988年発効)という法律は私に衝撃を与えました。

カナダは移民国家です。各国からの移民、難民を受け入れ、それによって人口が増えていると言っても過言ではありません。ですが、それゆえに各個人の文化的背景は多種多様です。

簡単に言うと、この法律はこれらの文化的背景をすべて受け入れ、尊重する、ということを宣言しています。つまり、個人の宗教や文化的背景を理由に社会的な活動から排除をしてはいけない、と法律で定めているわけです。

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警察帽の模様になるターバンの使用を認めていたり、宗教的目的のナイフを学校や会社への持ち込みを許可すること、祈祷のための時間や空間を提供することなどが代表です。

日本人移民の歴史

カナダは今年建国152年、日本からの第一世代と呼ばれる移民は、1877年に渡加してきた、と言われているので、建国間もないころから実は日本人はカナダで暮らしていたのです。

第二次世界大戦中、アメリカと協定を結んでいたカナダは、日本人を抑留していました(映画「バンクーバーの朝日」を見ていただいた方は分かるかと思います)。

当然、日本人街などもさびれて、なくなっていきました。戦後、市民権を取り戻したものの、日系3世以降の世代は日本語を理解することもなく、ほぼ日本人、日系人以外と結婚しています。

1967年以降の移民は新世代と呼ばれ、明治時代に移民してきた系統とは区別されています。今では留学、ワーホリ、就労などで短期滞在する日本人も増え、新たな日系コミュニティが育っています。

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この地で私ができる和文化伝承とは

前述したしたように、「個人の文化背景を受け入れてくれる」この国で、私の子供は日本人でもある、ということを認識して成長している、と感じています。

とはいえ、子供たちが今後どういうふうに「日本人である」ということを理解していくのか、日本文化をここでどう取り入れていくのかは、子供たち次第である、と考えています。

私のエゴで、英語のできない日本にいる家族のために「話すこと、聞くことだけはできてほしい」と日本語を覚えてもらいましたが、本人たちが嫌がったら続けなくても「文明の利器」を利用してもいいと今は思っています。

でも、私は日本で生まれ育った日本人で、着物をはじめとする日本のものが好き、礼節を大切にする奥ゆかしさが好き、移り変わる季節や折々の日本の行事も好きだから、桃子さんの新講座を受講することに決めたのです。

和心ファシリテーターへの歩み

それが「和心ファシリテーター養成講座」です。これは桃子さんが現在単独で開いている「日本一ハードルの低い着付け講座」の講師になるための講座であるとともに、「和心を伝える」活動をともにするための講座です。

無事に講座修了した暁に、和心ファシリテーターとして、私が伝えていきたいことはたった一つ。

「和心とは、読んで字のごとく、和ませる心持のこと」

日本の「和」は、人と人のあいだの絆として、はじめから存在しているものだ。合わせようと思って、もたらされるのではなく、はじめから心を分ち合っているから、和が存在している。(「和」と「心」という言葉は世界中で日本にしかない。それが意味するところとは より引用)

着付けも日本の文化の紹介も、これを作るための道具の一つである、と私は考えています。ゆえに講師として、所作振る舞い、言葉遣い、作法は当たり前に習得しておきたいところです(課題多し、ですが)。

「日本人として生きる母」の背中を見せる

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桃子さんのように「365日和装で生活」するところまではいきませんが、着物でも堅苦しくなく、異国の地で気軽に着ていいんだよ、という姿を子供たちには見てほしいな、と思っています。

カナダに大きなコミュニティを持つインドを中心とする南アジアの文化圏の方は、パンジャビスーツやクルタと呼ばれる民族衣装を着て普通に生活している人もたくさんいるのです。

着物も、そんなふうに着る自信をつけたい、というのが講座を受けた目的の一つでもあります。特別ではなく、普段着として着られる、着続けることで、和心を広められるのではないかと考えています。

こういう生き方もあるんだよ、と子供たちに伝えていくこと、そして子供たち自身に、自分の生き方を選んでいいということを、和心ファシリテーターとして活動していくことで理解してもらえると嬉しいなと思っています。

私が日本人であることは変えられません。でも、私は、カナダで生きていくことを選び、ここで和心を伝えていくことを決めました。「選択の自由」があるのは幸せでもあり、また覚悟も必要です。

その覚悟をもって、人生を楽しんでいける姿をこれからは和心も使いながら、子供たちと一緒に共有していこうとここでお約束します。さて、和心ファシリテーターに無事なれるのか、またご報告しますね。







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