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高嶺の君と地上の僕。

乃木坂高校。

〇〇「はぁ、、、はぁ、、、」

春の陽気が町を包み、辺りを朗らかな雰囲気にしてくれる。

僕は長い長い坂道を登り、ようやく正門を通り抜けた。

運動経験の全くない僕にはちょうどいい運動だ。

ようやく僕は正門をくぐり抜け、学校内へ足を踏み入れ、、、ようとした。

僕が右足を前に出そうとした時、後ろから歓声が響いて来た。

この学園で歓声が起こる時、決まって"あの人"がいる。

この乃木坂高校のNo.1美女、井上和さんだ。

和「、、、、、、」

男子「うおっ、、、朝から井上さん見れた、、、!!」
女子「やっぱ滲み出るオーラが凄いよね!」
男子「一回でいいから井上さんと話してぇ、、、」

井上さんが歩けば自動的に道ができる。

周りの生徒たちが井上和さんに道を譲ってしまうからだ。

和「あっ、、、あのっ、、、」

女子「すみません!邪魔でしたよね、、、」
男子「どうぞどうぞ井上さん!」

和「いや、、、そういうわけじゃ」

男子「おいお前ら!井上さんに迷惑かかってる
   だろ!早く退くぞ!」

和「みんなっ、、、」

1人の男子生徒がそう言うと、周りの生徒も潮が引いていくように和ちゃ、、、いや井上さんから遠ざかっていく。

僕はその様子を少し気にしながら、靴箱に自分の靴をしまう。

和「はぁ、、、あっ!〇〇ー!」

〇〇「うっ、、、」

僕に声なんてかけないでよ、、、と思いながら急いで階段を駆け上った。

和「〇〇まで、、、もぉ!」


教室。

ガラララッ、、、

僕は教室に入った瞬間から机にうつ伏せになる。

なぜかって?

友達が1人もいないからだよ?

元々社交的でもないし、友達とかもあまり必要性を感じないし、べつに全然1人でも生きていけるし?だって友達なんて、、、、、、


虚しい言い訳をやめ、僕は授業に集中し始める。

今日は聞いてるだけの楽な授業ばかりだから余裕だな。

担任「えーであるからしてだな?
   ナポレオンは大陸封鎖令を出し、他国に、、、」

今も担任が世界史の授業を僕らの前で行なっている。

さっきから担任1人だけがずーっと喋っているつまらない授業だ。

ふわぁ、、、、やばいな、、、

、、、、、、眠く、、、なって来た、、、すぅ、、、


放課後。

、、、、、、はっ!

僕は目を覚ました。

急いで腕時計を確認すると17:20という表示。

まじかよ、、、

もう最後の授業から1時間経ってるやん、、、

誰か僕のこと起こしてよ、、、と友達のいない事に初めて後悔した。

すぅ、、、すぅ、、、、、、

ん?

教室から誰かの寝息が聞こえる。

僕はもう起きてるし、一体誰の寝息なんだ、、、

顔を正面に向けたら、僕の机に頬杖をついて眠っているNo.1美女がいた。

〇〇「はぁ!?」

僕は驚いて、思わず大声を出してしまった。

和「んっ、、、ふわぁ、、、おはよ!」ニコッ

〇〇「何で僕の机で寝てるの、、、井上さん、、、」

和「むっ、、、"和ちゃん"でしょ?」

〇〇「いやもう高校生だから、それに井上さんは
   この学校でも凄い人気だから僕みたいなの
   が和ちゃんなんて、、、」

和「言い訳ばっかりしないのー!
  さっさと和ちゃんって呼ぶのー!」

〇〇「、、、和ちゃん。」

和「はーい♪」


なぜ僕が彼女を和ちゃんと呼んでいるのか。

それは、僕と和ちゃんが幼稚園から一緒の幼馴染だから。

一緒にお泊まりもしたことあるし、2人で出かけたこともしばしば、、、

だけど、和ちゃんとは中学校から別々の学校となってしまった。

僕と和ちゃんが別々の中学校に行くってなった時、、、


小学校6年の時。

和「いやだー!〇〇と同じところ行きたいー!」

〇〇「いやもう決まった事だから、、、」

和「そんなこと言うなー!〇〇なんて嫌いだー!」

〇〇「えっ、、、」

和「あっ、、、いや!〇〇のことは好きなの!」
  でも好きだけど嫌いなのー!」

〇〇「ぷっ、、、なにそれ笑。」

和「、、、〇〇と一緒にいたいんだもん。」

〇〇「その気持ちは嬉しいけどね?
   中学校は別々なのは変えられないの。」

和「、、、うん。」グスッ

〇〇「また高校生なったら同じ学校に行こうよ!」

和「、、、うんっ!」ニコッ


そう言って僕たちは、中学校3年間を別々の場所で過ごした。

和ちゃんとは直接会うことは無かったけど、ラインのやり取りなどは続けていた。

だから高校は同じところに行こうと言う約束も叶える事ができた。

、、、しかしここで問題が2つ。

①和ちゃんの高校が中高1貫の学校だったと言う事。

そのため、僕に友達が1人もできなかった。

みんな中学校で出来たグループで集まってるから、僕みたいなのに入る隙は与えられなかった。

それにまぁまぁ偏差値の高い高校だったから
受験勉強もキツかった。

②和ちゃんが学校のアイドル的存在になっていたと言う事。

そんな和ちゃんに対して僕はごくごく普通の男子高校生。

そこら辺を探せば、僕みたいなのは20人くらいは見つかるだろう。

そんな奴が和ちゃんと絡めるわけがない、、、

そう言う理由で僕は和ちゃんを少し避けるようになってしまったんだ。


和「そんな理由で私のこと無視してたの?!」

〇〇「そんな理由って、、、
   こっちからしたら中々に重大だよ!」

和「、、、せっかく話せる人が入学して来たと
  思ってたのに。」

〇〇「和ちゃんは友達いるでしょ?
   美人だし、優しいから皆に人気でしょ?」

和「びっ、、、美人って、、、///」

〇〇「え?」

和「、、、なんでもない!
  って言うか、皆が私を避けてるから友達なんて
  いないんだよ、、、」

〇〇「いやいやそんなこと」

和「ほんと!皆が私のこと"高嶺だー"とか"孤高だー"
  とか言うから誰も話しかけて来ないんだもん!」

和ちゃんに友達がいないことを聞いて、少し嬉しくなった。

〇〇「へぇ、、、」

和「あ!いま私にも友達がいないって知って喜んでる
  でしょ!!」

〇〇「えっ!なんでわかんの!」

和「幼馴染を舐めないでもらえますかね〜?」

〇〇「ごめんって笑。」

久々に和ちゃんと話すけど、全く気まずさなんて感じずに話せてる。

この空気感が懐かしく、嬉しく、楽しかった。

和「、、、ねぇ〇〇?」

〇〇「ん?」

和「、、、一緒に帰ろ?」

〇〇「え?いいけど、、、」

和「やったぁ、、、」ボソッ

〇〇「なんか言った?」

和「ううん!早く帰ろ!」ギュッ

和ちゃんが僕の手を握り、正門へ走る。


時刻はもう18:00

夕焼けのオレンジが帰り道を暖かく照らしている。

〇〇「あっ、、、あの、、、」

和「なに?」

〇〇「いつまで手を握って、、、」

和「えー?小学校はいっつも手を繋いで帰ったの
  忘れちゃった?」

〇〇「いや僕らもう高校生よ?」

和「、、、私が繋ぎたいの。ダメ?」

〇〇「、、、っ!」

吸い込まれそうなほど大きな瞳が僕を見つめる。

和「、、、うひひ笑。
  〇〇は昔から私に見つめられると弱いよね〜♪」

和ちゃんが僕の手を離し、走り出す。

そして僕の方を向き、、、

和「〇〇ー!大好きだよー!」

〇〇「えっ、、、///」

和「また明日から一緒にいよ!」


私が今の高校、、、正確に言えば中高1貫だから中学校に入学した時。

私は周りの人から距離を置かれていた。

これはいじめとかの問題ではなく、容姿の問題。

自分ではそう思わないが、私は周りの人より容姿が優れていると言われる。

全然そんなことないのに、、、

そのため、中学校でも高校でも周りから気を遣われて生きて来た。

正直、まあまあ辛かった。

気軽に話せる友人はLINEでしか繋がっていない幼馴染。

会いたいけど、なかなか切り出せずに中学校を卒業してしまった。

そして高校生に。

憂鬱でしか無かった高校生活が楽しみに変わったのは、ある日来た〇〇のLINE。

〇〇💬 そういやさ、僕も和ちゃんと同じ高校に
     行くことになったんだー。

このLINEから、小学校以来に学校へ行くのが楽しみになった。

だけど、、、

和「あっ!〇〇ー!」

〇〇「、、、、、、」

〇〇が私を避けてしまうのだ。

、、、また小学校の時みたいに楽しく過ごしたいなぁ。

そう思って、私はなんとか〇〇と2人きりの状況を作ろうとした。

そしてあの日、〇〇が教室で居眠りしているのを見つけた。

誰も〇〇を起こしに行かないで、教室に残されていた。

あぁ、〇〇も友達いないんだなぁ、、、と内心笑っていた。

和「久しぶりだね、、、」

私は〇〇を起こさないようにそっと呟く。

そして〇〇の前の席にある椅子を引っ張り出し、〇〇と向かい合う。

和「やっと顔見れたなぁ、、、///」

久々に見る〇〇の顔は、前よりも断然に大人っぽくなっててかっこいい。

和「、、、好き。」

また〇〇に聞こえないように呟く。

この2人だけの空間をできるだけ長く楽しむために。

教室の窓に差し込む太陽が暖かい。

、、、少し寝ようかな。

〇〇が起きたら私がいるのに驚くかなって言うドッキリ的なのも楽しみに私は頬杖をついてねむった。


すぅ、、、すぅ、、、、、、

〇〇「はぁ?!」

突然〇〇の大声が聞こえ、私は目を覚ました。

それから私たちは昔に戻ったように会話をした。

やっぱり〇〇と一緒だと楽しい。

、、、、、、好きだ。

溢れ出す気持ちを抑えきれない。

今日、気持ちを伝えてしまおう。

和「、、、ねぇ〇〇?」

今日のチャンスを逃さまいと、私は一緒に帰ることを提案し、一緒に帰ることになった。

和「〇〇ー!大好きだよー!」

そして大声で気持ちを伝えた。

あ〜、、、たぶん顔めっちゃ赤い、、、///


翌日、、、

〇〇「ちょっ、、、和ちゃんってば、、、///」

和「な〜に♪」

〇〇「流石に手を繋いで登校ってのは、、、///」

和「え〜、、、私たち恋人なんだよ?」

〇〇「それはそうだけど、、、恥ずかしい、、、」

和「しょうがないなぁ、、、じゃあ少しかがんで?」

〇〇「かがむって、、、こう?」チュッ

僕の頬に柔らかな感触がした。

和「これで我慢するね〜♪」

〇〇「、、、、、、///」

多分これから、僕は和ちゃんに敵わないんだろうなと思いました、、、

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