「上田文人の世界 〜言葉のないゲームはどのように生まれたのか?」

「上田文人の世界 〜言葉のないゲームはどのように生まれたのか?」

“『ICO』『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』。上田文人が手掛ける幻想的な作品たち。彼のゲーム作りの考え方やコンセプトアートの数々、その全てを、ここに。”

《この人の手を離さない。
僕の魂ごと離してしまう気がするから》

僕はこの人の作品の、その独特な世界観と、唯一無二のプレイ感覚が大好きです。大切な人の手を引く重みや、巨大な魔物の体躯をよじ登る握力がコントローラーにそのまま繋がっているあの稀有なゲーム性。決して親切設計でもないのに異常な中毒性がありました。

この本はその作品一つ一つのアートワークや絵コンテ、展開を作者本人の解説付きで振り返る豪華仕様です。それぞれの物語もエンディングの意図までしっかり載っているので、プレイするのは敷居が高いけどなんか物語どうなるのか気になっていた、という人でも楽しいかも。もちろんプレイした人は万倍嬉しい詳細解説で、ゲームブックというより制作秘話満載の映画の台本公開みたいです。

鬼才とも言われる作者がどのような哲学でゲーム作りに向き合っているのか、それが丁寧に語られたインタビューは少し意外な感じがしました。思っていたよりも感覚というより計算され尽くされたというか。やり直しの効くデジタルな環境だからこそ、強みを活かすというよりも、試行錯誤を重ねに重ねた回数がモノを言う。
文字通り手に汗握ったあの日々を思い出しながら読みました。

《最後の一撃は、切ない》

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