「有袋類学」

“日本初の有袋類の専門書”
という触れ込み通りのマニアな一冊。
著者は変態解剖博士の遠藤秀徳氏ですので、「生体研究かくあるべし!」という熱気と殺気(笑)がアカデミックな有袋類の研究を網羅しながらページページにあふれています。

真獣類と有袋類、という言葉でわかるように、有袋類はどうしても二流哺乳類扱いされることが多いのですが、この本を読むと有袋類のその生物学的な戦略や合理性、そして面白みが見えてきます。

僕の仕事であります豚さんたちと比べると色々その驚きが見えてくる。
豚は発情周期21日で妊娠期間115日。
対して多くの有袋類は
発情周期25日で妊娠期間、、なんと13日!!
いや初期流産にもほどがある(笑)
この超絶未熟児状態の分娩を補うのがあの袋な訳です。で、長く授乳している間に別の雄の子供を並行してまた妊娠できる、という超多産系戦略。自分の乳の数をはるかに超える分娩をするが、子宮内で妊娠後期の生体選別は難しいけれど袋の中ではそれが容易になるメリットもあるらしい。最低限の発生とジェネラルな成長を明確に分離するというのが有袋類のやり方。

興味深いのは、有袋類は多産になればなるほど基礎体温が低くなり、脳容積が小さくなって寿命が縮む傾向があるとか。しかし授乳期間を延ばすことで脳蓋の発達を促してこれを克服できる。
、、、、豚は現在多産系への改良が驚くようなスピードで進み、この先どうなる?!という疑問が業界には蔓延していますが、意外と答えは有袋類にあるのかもよ?!
(以前はポリネシアの多産筋肉肥大人種にある、とも言っていますがまぁそれともあわせましてどうかここはひとつ!:参考@身体が語る人間の歴史)

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