Horizon Zero Dawnレビュー

ストーリー 90点

 この世界の背景は大筋としては、パッケージやトレイラーから想像できる内容ではあるし、その歴史もSFにおいて何度も語られてきた部類のものである。ただ、ストーリーというもの自体はほとんど語られ尽くしており、ストーリーテリングの問題があるだけだという指摘もある。このゲームでは情報の見せ方がうまく行っており、後から考えればよくある話であっても、興味深くプレイすることができた。また、そこで語られる英雄譚は胸に迫るものがあった。

 惜しむらくは、「これは主人公、アーロイの物語なのか?」ということである。このゲームのシナリオを楽しんだ人でも、記憶に残っているのは先史の方なのではないかと思う。このゲームの世界で起きることというのは、実は主人公アーロイが生まれる前に95%くらいは終わっており、プレイヤーとアーロイが辿るのは壮大なエピローグに過ぎないのだ。最後にアーロイに選択が託されるような内容であればなお良かった。

 このゲームがなかばエピローグであるのは、オープンワールドで面白い話を語るための苦肉の策なのかもしれない。例えばの話として、このゲームで語られる先史そのものを直接オープンワールドのゲームとしたらどうなるだろうか。そんな状況で個人が脈絡なく東西奔走することがおかしいし、そのようなことをしている個人が都合よく歴史のターニングポイントに立ち会うということもおかしい。結果、もし先史をゲーム化するのであれば、ルートの固定されたジェットコースター式ゲームにするしかないだろう。後から知るからこそ、冒険の合間に少しずつ真相を知るということにできるし、世界中に視点を持つことができるのである。

 感心したのは、ロボットが人類の敵となった理由について、非常に合理的で説得力のある説明がなされている所だ。考えてみれば、存在同士が争う理由としてもっとも基本的なものだが、ロボットという先入観があるとつい除外してしまう選択肢ではなかろうか。ターミネーターを何作観てもスカイネットの動機がよく分からないのとは対照的だ。

グラフィック 50点

 美術はとても優れている。でも50点。理由は、時によりとても見づらいから。天候や時間によりダイナミックレンジが異常に狭くなることがあり、何かを探さないといけない状況でそうなると最悪である。プレイに必要な情報を伝えるという意味では、このゲームのグラフィックはファミコンのマリオ以下。逆に言えば、そんな基本がなっていないにも関わらず50点もあげたくなるほど、美術は優れている。

 細かな点で気になったこととして、カットシーンで、カットが切り替わった際、最初の数フレーム(1フレームか?)だけ、表示が乱れている。ほんの一瞬しか映らないので何がどうなっているのかは分からないが、技術的な問題を感じさせ現実に引き戻される。


ゲームプレイ 70点

 敵のステータスがリセットされる距離は、敵がプレイヤーを見失う距離よりずっと長いため、難しければ、遠くから矢で削り倒すことが多くの場面で可能。逆に、テクニックを駆使しして叩きのめすことも可能で、比較的幅広いプレイを許容している。敵に見られたら死ぬとか、一撃で死ぬとか、そういう不要な変化球もなかったと記憶している。

 ボス級の敵では、敵がプレイヤーを認知した状態で閉鎖空間に閉じ込められてのデスマッチとなるが、ここも極端に難しいところや理不尽な点はなかったように思う。

 オープンワールドとして惜しいのは、それぞれのスポットは距離をおいて独立しており、その相互作用などはほとんど見られないということだ。敵性機械同士が戦うことをまれに見られる程度である。

 山登り、もの探しなど、つまらないシーンもあるが、これらのつまらなさについては別稿で書きたい。


総評 90点

 オープンワールドゲームはその性質上、ストーリー自体は大したことがないものである事が多いが、このゲームはオープンワールドの中ではまれに見る面白いストーリーを搭載している。しかし、主人公アーロイ自身の生き様に興味を持ったという人にとっては、期待はずれになる可能性はある。オープンワールドによくあるつまらないシーンは搭載しているが、トータルで、非常に面白くおすすめできるゲームである。


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