村上春樹『アフターダーク』、読後

村上春樹の、『アンダーグラウンド』は昔、しっかりと読んだ。村上春樹の本だったが、先日、古本屋に行く機会があり、そこで、『アフターダーク』と言う小説を購入した。

なかなかに読ませる、面白い作品だった。いわゆる、純文学というよりは、エンタメに近い感じで、読者と小説が近い感じのする、小説だったように思っている。

普通の感想というより、一種の分析に近いが、この文庫本、表紙も内ページも、デザインがよくて、本と言うより、小説を含む一つの芸術品と言う感じがした。単行本は、どんなものなのだろう。

読み進める内に、村上春樹の他の本をほとんど読んでいないので、何とも言えないが、気付いたことがあった。この文章の読みやすさは、文章の語尾の、u、の音に、効果があるように思った。

「いる」「する」「言う」

『アフターダーク』/村上春樹

この、会話文を省いた、叙述文章の多くが、語尾を、u、で終わらせている。奇妙なことだが、この方法論において、視点が常に客観性を維持しているという訳である。

これからも、少しずつ、村上春樹の小説を、しっかりと読んで行こうと思うが、この、語尾の、u、の音がある限りにおいて、村上春樹の文章は、読みやすいものとなるだろうと、直感した。

もはや、村上春樹は、日本の代表格である。何とか、ノーベル賞を取って貰いたい。そしてまた、村上春樹を読むことで、何かしらの執筆方法の、自己の能力を高めたいとも思った。

読んだ感じでは、自分の知っている小説家において、村上春樹と、司馬遼太郎、この2者程、日本の小説家で読みやすい文体を持っている者はいないと、そんな感じを持った、村上春樹『アフターダーク』、読後だった。

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