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穴を掘ってはまた埋める

映画「暴力脱獄」より。
スコップを渡された囚人が地面に穴を掘らされる。
何時間もかけて大きな穴ができあがると今度はその穴を埋めろと命じられる。
掘っては埋めるの繰り返し。
それが永遠に続いていく。

自分の労働やその過程を全て否定されて何の評価されない。
それでも尚、同じことを繰り返しやらされる。
それによって人は肉体と精神が壊されていくという。
中世ヨーロッパで実際にあった「穴掘り」という拷問。

今この時代でも通用するような拷問だ。
誰からも評価もされない事を続けていると自分の行いが無意味に思えてきて心が病んでしまう。
職場や私生活の中で「穴掘り」のような時間が続いて、なかなか抜け出せない人が居る。
彼らは皆生きる事に疲れ切っていて、最後には自分が何を求めていたのかを見失ってしまった。
「何の為にやってるの?」
「それのどこが面白いの?」
「無駄なことだと思わない?」
周りからこんな言葉で追い詰められても黙り込むだけ。

僕も過去にこれらの言葉をよく聞かされた。
他人からは僕の行いが何処にも繋がらず何も生み出さない無意味な事のように映っていたのかもしれない。
でも僕は何を言われても、誰に評価されなくても平気だったし心が病むようなことも無かった。
目の前の事を心から楽しんでいたし、なによりもその時間が好きで夢中になれてたから。
周りからは単なる「穴掘り」にしか見えない事かもしれないけれど、僕にとってはまさに至福の時間でしかなかった。

僕にとって最近ここで文章を書くことがそれに似た感覚がある。
誰かに褒められたい評価されたい、そんな意識があるとまず書けない。
そういうことを意識しながらの作業は苦痛でしかない。

書くこと自体を楽しみ、気持ちを整えて、心を解放させる。
僕にとって文章を書く行為とはそんなものである。

そこに喜びを見出すことができるなら、どんな状況に陥ったとしても楽しむ気持ち失わずいられるだろう。
書くことはタダだし、どこででも出来ることだからね。

少し話が横道に逸れるけど
「あの女のどこが良いの?時間の無駄だよ。」なんてことを周りの人から言われたりしたことあるけれど、それも似たような事で「好きだから」としか言えないよな。
他人にどう言われようが僕にとっては単なる「穴掘り」ではなく、夢中になれることだったからね。
「ほっといてくれ」と思いながら、いつも聞き流してました(笑)




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