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春に後ろ髪をひかれて

 桜が終わり、ツツジの季節になりました。しかし葉桜になった桜の木からは、まだしっかりと桜の香りがして、春の終わりを名残惜しく感じます。最近は個人的に何だか物悲しいことが多いですが、切り替えをしてゆっくりと進んでいきたいと思っています。これまでもう十分に頑張って来たのだから、一歩一歩進みたいと思うのです。世界で一番自分が可哀相だなんて、そんなことは思いませんし、理由はもう十分にわかっているのですが、やりどころのない気持ちを抱えている今が、無性に切ないのです。

 誰かが出れば、誰かが引っ込むしかないという画一的な考えから卒業し、自己の実現を主張することが解決の一打であるのは十分に、承知しています。しかしそれは常に恐怖を感じながらも進んでいかなければならない現実との対面でもあります。誰かに背中を押されないとできないわけではなくて、十分に自分の感性を働かせて、成熟した大人としての判断ができるはずなのに、そしてこれまでもしてきたはずなのに、と思うのです。単なる思い上がりなのならば、この一筋のプライドを捨てて、再度自分と向き合い直さなければならないとも思います。季節とそしてその暖かさに反比例していく自分という塊を消化できずにいます。口にすることすらためらいがあるほどです。
 自分を分析して、咀嚼して、再度リメイクするかのような日々の作業にくたびれたのだと思います。徒競走のスタートに立っているにもかかわらず、よーいの合図がいつまでもきてほしくないと思って、俯き、歯を食いしばっている小さな子どものようなのです。
 数日のうちに、少しずつ回復をしてこの記録を読み直した時、私は一回りも二回りも脱皮して、生まれ変わった自分になりたいという想いを持てていることを願うばかりです。

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