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映画の心

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Amazon Prime Videoで見れる文芸映画を中心に映画が訴えていることを映画の評論ではなく、作品論として独自の視点で捉え、思ったこと、感じたことを綴っています。取り上げ…
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2024年2月の記事一覧

『愛する』(原作:遠藤周作 1997年10月4日公開)

久々に涙腺が緩みました、完全にやられましたね。原作は遠藤周作、私と遠藤周作の出会いは、高校生の時である、数冊恋愛にかかわるような本を読んで、女性とはこんなに理性的なものかと、やけに美化したことを覚えている。遠藤周作はキリスト教徒であるということもそのころ知ったのであるが、キリスト教についての知識はなかったものの、なんとなく、キリスト教徒だから女性を美化するのかなぁとも思った。実際の女性は、遠藤周作が書いていた女性像とちょっと違うのかなと気が付いたのは20才ごろで、女性に対して

『潮騒』(原作:三島由紀夫 1964年4月29日公開)を観て

『潮騒』、多くの皆さんが知る三島由紀夫作品である。三島ファンの皆さん、私ごときが、三島由紀夫の作品について語るのもおこがましい上に、これから始まる稚拙な感想をお許しください。 潮騒と言えば、私の時代では、三浦友和と山口百恵ということなんでしょうけど、あえて、浜田光男と吉永小百合の潮騒を観ることにした。私は、三島由紀夫について、良く知っているわけではなく、文学者の三島由紀夫というより、愛国者、政治活動家、市ヶ谷駐屯地での割腹自殺、東大教養学部での全共闘主催の討論(この映画は、

『白日夢』(原作:谷崎潤一郎 1964年6月21日公開)を観て

谷崎潤一郎、なんかエロいらしいとか、著名な本の名前とか、そんな程度の知識しかない私がなんとも言えないこのタイトルとこの写真の映画を観てみることにした。この写真からどんな内容なのか、まぁ、いろいろと想像を掻き立てられるものはあったものの、観終わって改めてこの写真を見ると、口を開けていかにも悶えている女性、この様子は、なんと、歯の治療の時の顔ではないか(最初に出てくるシーン)。手元に見えるのは、治療に使う器具、ミラートップ、探針で、口の中をぐりぐりしてみたり、細いホースみたいなも

『からたちの花』(北原白秋の若い頃、柳川時代を描いた作品。1954年10月26日公開)個人の感想です

北原白秋、有名な詩人、でも、詩も人となりについても良く知らない。遠い昔、柳川に行って、北原白秋の生家に行ったことがあったが、行ったということ以外、記憶に残っていない。柳川と言えば、うなぎ、本吉屋という有名なうなぎ屋があってセイロ蒸しを食べたことがある。このセイロ蒸しというのは、この筑後地方の料理法で他にはないということらしい。とてもおいしいので訪れた際には、ぜひ、お勧めです。 さて、この映画であるが、白秋と白秋の友人の中学時代の淡い恋物語と別れ、家の没落、不登校から退学、東

『肉体の門』(原作:田村泰次郎 1964年5月31日公開)個人の感想です

毎度、毎度であるが、私は、文学音痴で、読んでから観るのか、観てから読むのか、で言うと、観てから調べるのタイプなので、今回も内容を知らずに鑑賞した。 観終わって最初に浮かんが疑問は、なぜ『肉体の門』なのか、である。調べてみると、『門』の意味には、家族、一門、一族と書いてあるではないか、なるほど、そういうことか、〇〇一門という意味の『門』なのか、それなら、このタイトルにも合点がいく。また、屋敷という意味もあり、こちらの意味も含めたタイトルならなおさらだ。いつも思うが小説家は言葉