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宝物の缶

バレンタインになると思い出す。
彼とは、小中と同じ学校だった。
小学5年の時
「なぁ、名前書いてーな」と名札を渡された。
今でこそ、胸に名札は付けないが当時は、みんなが、付けていた長方形の形の名札。

なんで私が……と、綺麗な字の子に書いてもらえばいいのに……と、思いながら名前を書いた。
彼の両親が再婚をし、苗字が変わったからである。仕方なく書いたのを思い出す。

中学3年の時、夜に、中学校で待ち合わせをした。今は夜なんて入れるわけはないが、当時はセキュリティが甘く、どこからでも入り込める。2人で、体育館の屋上にこっそり忍び込んで、彼にチョコレートを渡した。
青くて、正方形の缶に、詰め合わせたチョコレート達。
付き合っていたわけでも、告白するつもりなく、ただあげたかった。
たわいも無い会話をし、
「食べ終わったら、宝物入れにするな」
と、照れくさそうに笑っていた。
「高校離れるけど、元気でな」と私は言った。

バイトばかりしていて、成人式は地元に帰らず、2月に地元の友達に会った時、写真を見せてもらった。みんなちょっと大人になった顔で写っていた。彼もいた。懐かしさに、ちょっと擽ったい気持ちになった。

「宝物持ってんで」と、友達が伝言してくれた。なんの事なん?ってしつこく聞かれたけど、笑って誤魔化した。


バレンタインの時にふと思い出すくらいで、
合う機会もないまま、時が過ぎ
彼が結婚したこと聞いた。
良かったなぁ〜と喜んだよ。
友達と一緒にお祝いを贈ってもらった。


2年前の2月に、彼が病気でこの世を去ったことを聞いた。

私の中では成人式の時の写真から変わっていない彼がいる。

空の上からは、見つけらへんやろなぁ〜っておもう。だいぶ経ってるもんな。

バレンタインが来ると毎年思い出す。
青春やら、なんか照れくさい思い出。



読んでくれてありがとう。☺️

写真
みんなのギャラリーよりお借りしましたm(_ _)m

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