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銀河トラベラー「アプ星人」との170時間 山の散策で再び彼らとコンタクトする

アプ星には「私」「私の」「私のための」といった、エゴイズムを意味する言葉がない。
外国人が話している間私は彼の服装をよく観察しました。
衣服は、極細糸で編まれたニット。ナイロン糸のようです。ニットの胸元には、十五個のボタンが付けられています。五こずつ三列に並んでいます。それから、ベルト、くるぶし、手首の周りには、開口部のない小さな袋が連なって並んでいました。布地に、まるでポケットか何かのように縫い付けられてあるのです。
また、ニットウエアの脚部先端は、そのまま靴がわりになっていて、頭部の方はフードとして機能していました。フードは彼らの頭にぴったりと張り付き、露わになっているのは額から首まででした。

※次にアプ星人の発言を抜粋してみます。
僕たちの言語には、エゴイズムを意味する言葉もなければ、その派生語も存在しない。例えば『私』、『私の』、『私のための・・・』、とか・・・「そうそう、「私」についてだけど・・・、僕たちの星の言語には、この言葉があるんだ。でも、それはあくまでも代名詞としてであって、利己的な意味を表わすために使われるのではないんだ。
君は、、僕たちが地球人でスパイだと思っているんだう?
・・・かまわないんだよ。君の細胞が拒絶反応を見せるうちは、そう信じていいからね。君の権利だし。」

※アプ星人は単独飛行ができる。
薄く透明な生地のフードで頭と顔、首をすっぽり覆いました。
すると、耳を包み込んでいる部分から、きらきらした素材でできた小さな突起が二つ突き出していることに、私は気付きます。
「この装置はフライングマシンを使わず、単独飛行を行う時だけに使用するんだ。顔面と手を保護するためだよ。」
彼は雪のように白い手袋をはめます。その後すぐさま私たちから数メートルはなれると、胸のボタンを一つ押しました。とたんに、ベルトやくるぶしや手首の周りに付いているボタンが、円錐台の形に膨らみ始めます。軽やかなそよ風のような音が耳をかすめたかと思ったとたん、外国人は超高速で舞上がり、瞬く間に雲間に消えてしまいました。
外国人がこちらに戻ってくるのでした。
樹木や岩の上を滑空しながら、二百メートルの高さを水平飛行しながら。
まるで鳥のようです。
外国人は鷲のように降下してくると、物音たてずに私の隣に着地しました。

※この単独飛行のメカニズムは
「ベルト、くるぶしそして手首にあるこの装置は、プラズマイオンで満たされていて、作動し始めると体の重力が除去された状態になる。だから、好みのスピードが出せるし、垂直飛行や水平やジグザグ飛行、上昇に下降、なんでも可能になる。
アプ星では、みんな単独飛行なんだよ。それに、これは数十億年前から惑星で用いられている。移動手段の一つなんだ。」

※いまだ外国人のスパイだと疑わない主人公にアプ星人は答えます。
「僕たちは、銀河系外にあるアプと呼ばれる惑星から来ているんだよ。
僕たちの使命は、細胞と生命を守ること。だから、いろいろな形で他の生命を助けるために、宇宙を旅して回っているのさ。つまり、僕たちの存在や《超能力》を信じてもらうために、旅しているわけじゃないんだよ。」

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