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長谷川陽子さんデビュー35周年記念リサイタルベートーヴェンチェロ・ソナタ全曲演奏会

2022年5月19日木曜日
東京文化会館小ホール19時開演
ピアノ 松本和将 氏

Program

陽子さんがデビュー35周年に選ばれたオールベートーヴェンプログラム、
素晴しすぎた一夜でした。
来場者も同窓生・在校生を始め同業者・関係者も多く聴衆は一流…なはず。

前半はミントグリーンのドレスでご登場。1番、2番、4番の順に演奏。
一度も裏へ下がることなく一曲終わる毎に一礼したら軽く音を合わせて次々と弾かれる。
19時から始まりましたが、前半は20時を少し周りました。
陽子さん凄いですが、ピアノの松本和将さんもソナタ3曲通して舞台に乗りっぱなしというのはかなり凄いです。
3曲とも大好きだしどの演奏も良いのですが2番の演奏は特に素晴らしかったと思いました。4番も美しく聴かせてくださいました。


後半は3番と5番。35周年に因んだのでしょうか🤗
ここでちょっとしたハプニング。
休憩の終わりに場内の係員から再度携帯等のアラームの確認をするように指示があり、そのせいか割と年配の御婦人の携帯のアラームが止まらなくなり、もう舞台には演奏者のお二人のがスタンバイ状態。
陽子さんニッコリされて松本さんに少し待ちましょうかという感じ、御婦人の携帯は鳴り止まず御本人は外へ出られたようでした。
程なくして3番が始まりましたが、ハプニングなど関係なく伸びやかで艶やかな演奏でした。
3楽章はほんとに美しく素晴らしかったです。
そして3番が終了したあと、一回奥に行きましょうか?という感じで松本さんと一度下がられました。
その間に先程の御婦人も無事に座席に戻る事が出来ました。
絶妙な心遣いが素敵なお二人。
ホールからの再確認の指示がなければもしかしたら鳴ることのなかったかもしれない携帯、しかし自分の持ち物ですし操作方法が今更わからないなどということの無いように座る前にきちんと切らなくてはなりません。
毎回必ず騒音を出してしまう人を見ますが、クラシックの敷居が高いと嘆く前にマナーをきちんと守って周りに迷惑をかけないで頂きたく、優雅な気分で聴きたいものです。特に今日のような特別な演奏会は気位が高くて当然の事と思います。

さて最後に5番の演奏になりました。
言わずと知れた名曲です。
どの作曲家にも言えることですが、チェロの曲は名曲揃いです。
そして5番という数字はベートーヴェンにおいても交響曲、ヴァイオリンソナタ、ピアノ協奏曲と最高級の曲ばかりです。
5番のチェロソナタですが2楽章が本当に美しい、そして3楽章のフーガですが物凄く難解、演奏者にとって大変な曲だと思います。
陽子さんと松本さん、ベートーヴェンの後期のソナタのように力強く演奏されておりました。
とても良かったです。
松本和将さんのピアノは始終チェロにピッタリと寄り添い、音量の幅がゼロから百万まであるのではないかと思うほどの多彩な音色と響きを表現されておりました。まさに音色の魔術師のような人です。
この日の演奏はどれを聴いても円熟味の中に若々しいさわやかな響きが聴こえてきて陽子さんの初々しさが失われていない素敵なベートーヴェンProgramでした。
御本人は次は40周年ですと仰ってましたので、5年後またお伺いできる事を心に誓いながらホールをあとにしました。

アンコールも素敵でした。こういうバリエーションがあるとは知らず、初めて聴いたのでとても嬉しかったです。後半は艶やかな花柄のドレスでした。