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とうきょう

いつからだろうか
この街に花がないと思ったのは

ああ。

歩く人波 無関心を盾に生にすがる
はるか昔に営んだ 情や仁義は重荷となる
心の扉は鍵を失くした
それがこの街の乗り方だった

ああ、

自分の体に流れる水
その水がとめどなく流れでて
自分の体にいつの間にか空いた穴を
一とゼロが並んだ紙で塞ぐ

それがこの街の歩き方だった

この街は死によって自らを着飾り誇る
人が死ぬ間際に一際激しく踊るように
最後を飾らせ
踊るのだ

あぁ・・・

あの澄んだ小川と
木々の話し声が懐かしい

ふと見えてくる
すりガラスの向こう
台所に立つ母
仕方ないわねと言いながら作ってくれた
湯気に包まれたラーメン

あぁ。。。

記憶の中にしか帰る場所はなく
ただひたすらに酒を飲み
あの記録を守るかのように記憶を飛ばす

ここは大都会
死への渇望と
紙に書かれた勝利を求め
亡者が行進する

死の都

あアぁ・・・


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