Easy to BuyとFun to Buy~リアル店舗の進むべき道~
前回、「誠品生活」に関する記事を書きましたが、予想以上に「スキ」&「フォロー」をいただき、大変嬉しく思っております。記事をご覧いただいた方、ありがとうございました。
今回は、前回にも通じますが、今後のリアル店舗の進むべき方向性として、私の考えるキーワードをご紹介させていただきます。
「リアル店舗はお客様の大切な時間を奪う」という幻想
現代の生活者は忙しい。
だから、買い物する時間をできるだけ短くしなければならない。お客様が短時間で効率的にお買い物をしていただくために、コンビニをはじめとする利便性の高いお店が増加し、無人店舗・キャッシュレス・セルフレジ等のテクノロジーが導入されている。
果たして、そのような利便性が高いお店や短時間で効率的な買い物を実現するテクノロジーはお客様に受け入れられているのだろうか?
例えば、最近、こんな現象が起こっている。
■コンビニの売上上昇に陰りが見え始めており、特に若年層を中心にコンビニ離れが起きている。
■一方で、コンビニよりも商圏の大きい(自宅から距離が離れている)ドラッグストアの売上は上昇している
■多くのスーパーには有人レジに加えて無人レジも導入されているが、有人レジに多くのお客様が並んでいても、無人レジにはお客様が並んでいないということが起きている。
もちろん、この現象の裏には、可処分所得の減少、テクノロジーへの不慣れ等の理由もあるであろう。しかし、それだけでは合理的に説明できない。
リアル店舗はお客様の貴重な時間を使わせないような様々な施策を導入しているが、お客様はすべてを歓迎しているわけではないといえるのではないか?
「リアル店舗はお客様の大切な時間を奪う」だから「その時間を短くするために様々な策を講じる」という幻想にリアル店舗はとらわれ過ぎていないだろうか?
Easy to Buy と Fun to Buy
現在、リアル店舗が取り組もうとしていることは、お客様のEasy to Buy(買いやすさ)を追求することである。
”買い物の時間を短くする”ことは、そのお店で買い物をするお客様にとっては便利なことである。
しかし、いくらEasy to Buyを実施し、”買い物の時間を短くする”ことに成功しても、お店の魅力を高める、すなわち「そのお店に行きたくなる」ことにはならない。
なぜならば、現代の生活者が求めていることは、「自分の時間を節約してもらう」ことではなく、「自分の時間を演出してもらう」ことだからである。
「ポケモンGO」や「ドラゴンクエストウォーク」は、その象徴的な事例ではないか?
15分で到達できる距離をぐるぐる回って1時間かけて歩くことに熱狂する!楽しい!
現代の生活者は「自分の時間を”楽しく”演出してほしい」のである。
リアル店舗に求められることは、Easy to Buyだけでない。
必要なのは、Fun to Buy(楽しく買い物する)の視点である。
リアル店舗に行くことによって、自らの生活が充実したり、より良くなるとお客様に感じていただくことである。
次回からは、このFun to Buyの視点で私の見た・感じた・体験した実例をご紹介できればと思っています。
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