MD-マーチャンダイジング|マーチャンダイザー・バイヤーの心構え
MDって何だっけ?(唐突)
〇〇社ってどういう流れや役割で、MD業務ってやってるの?
現在のクライアント様の商品系責任者や、経営層に良く聞かれます(特にアパレルに関してはグローバルトップの3社について)。
背景には現状の体制や課題、もしくは今後の成長戦略にとっての参考として知りたい、と言う事があるみたいです。
その流れで、逆に現状の体制や役割などのヒヤリングをして比較すると、私が知り得る限りの知識や経験と大きなギャップを感じることも。
MDとはなんぞ?
MDとはマーチャンダイザーの略称で、いわゆるマーチャント=商売人を語源とする言葉です。
これは会社のいち機能として「商売に趣がある人」というよりは、物を売ることやお客様に喜んでもらうこと、儲けることや損得の判断などという事に留まらず、経営者マインド・オーナーシップを持つ事の象徴として用いられる事が多いのだと思います。
グローバルリテイラーはとにかく「徹底的にやる」
先述したギャップを感じる事には、このようなマインド部分以外にも、業務上のプロセスにも感じることがあり、国内の一般的な企業の業務では、、、
・単品から商品選定や生産数などの積み上げをしている
=これ自体は悪い事ではないのですが、グロスでの勝負の仕方や勝ちパターン的なKPIがなく、勝てる要素が共有されないまま毎年0ベースから計画が進むか、要素分解がない前年踏襲で計画が進む
・販売期間は決めているが販売計画がない
=もちろんズレる事も多いので修正は必要ですが、計画段階から「今月」や「来週」に売る量が決まっていなく、月や週の売上予算と帳尻があってないので販売体制とギャップが出てしまう
・売場のレイアウト(陳列)をイメージして発注数を決めていない
=品番やSKUベースで全店に行き渡らなかったり、新品・実売・消化のスペース計画がないので、売場に入りきらない量の商品が作られる
などがあり、「今日の売るものと数量」が決まっていなかったり「売場でのお客様の選び方や商品の見え方」などがあまり考えられておらず、殆どが
・「その週に倉庫へ入庫された商品」で
・「販売実績や根拠のない売場陳列」を行い
・「販売スタッフとお客様の判断」に商品の売れ行きを委ねてしまう
と言った事が多い様に見受けられます。
グローバルプレイヤーと何が違うのか?
特に服はデザイン鮮度はすぐに落ちるのですが、製品としての耐久度はそれなりにあり、結構容易に来年への持ち越しができてしまいます。
これが個人経営の八百屋さんや魚屋さんだとそうも行きません。
売る量を決めずに腐りやすいサンマを仕入れる店主はいないでしょうし、消化を進めて商品を「お金」に変える為に、陳列場所を変えたり最終消化や声がけなどのプロモーションを考えたりしています(ちょっと大袈裟ですが)。
扱う商品は違ったりそもそも意識をされていないかも知れませんが、魚屋さんも八百屋さんもちゃんとMDやっててVMDやっててマーチャントを体現しているのだと思います。
国産MDあるある
勝ち筋や売り方の戦略を持たずに「モノ」だけ作って仕入れをしていると、デザインや付属品がついた生地を仕入れているのと大差なく、その先で何枚売れていくら余るか?を他の誰かに委ねてしまう役割になっていると更にマズイいと思います。
もちろん作業上や業務フロー上で役割を決めることは否定しませんし、全部一人でやれとも推奨はしません。
ただ、店頭でお客様や店員さんが「何でこんなの作ったんだろう?」と感じる商品があった場合(良く聞きます)、それはMDの売りたい意思や良い物を知って貰いたいという熱意が、最後まで伝わっていない表れだと思います。
それでも「それを考えるのがVMDや営業、店舗の仕事だろ?」とか言ってしまう方を良く見かけてしまうのも事実で、ある意味業務の役割としてはそうなのですが、あくまで分業は効率良くかつ専門的な知見で「熱を増幅」させる役割であり、種火の無いところから大きな炎にはなりません。
なんとなく、まとめに入ります・・
先述のグローバルリテイラー(ファッション系)は、共通して「こっちの街で仕入れてあっちの街へ売りに行く」レベルの創業期からスタートしており、恐らく商店街の魚屋さんや八百屋さんの様な「個人経営規模のマーチャント魂」を体現しています。
また、同じ価値観として「熱量を共感してくれる仲間」と長年積み重ねてきた結果で現在に至り、それが今も脈々と続いているのかと思います。
グローバルリテイラーの強さの真髄
冒頭に戻りますが、業務フローや役割が大きく違うと言うよりは「オーナーシップ」に大きく違いがあり、これはやる気がないとかサボっていると言う事ではありません。
どうやって商品の良さや、他社に真似されないオリジナリティあるブランドにして勝っていくか?をとことん突き詰めて行った結果、誰も真似できない業務フローややり方=バリューチェーンが構築されて行ったのかと感じます。
「ウチは土俵が違うし競ってないから」と言う事も良く聞くのですが、同じ「小売業」で「服」を扱っている時点で「土俵は同じ」であり、商品や業務プロセスに「バリュー」が出せない企業はお客様から見限られてしまいます。
今一度、自社のバリューチェーンやコアバリューを確かめて「同じ言語で共通認識」されているかを確認してみてください。
今回は以上です。
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