7th Track_スキー人口は減っているのか? 新潟県妙高市の場合(Tableau Public)

スキー人口(スノボ含む)は減っている、とよく耳にするし、
ニュースもよく見かける。
自分がスキーをはじめてちょうど丸10年になる。
10年の間で、スキー場がより閑散になっている実感がない。
もう一つ、スキー場では、
「今年は雪が少ないねぇ」という会話を毎年している。
こちらは実感がある。
オープン予告日に本当にオープンすることは少なくなり、
雪が無くなったため、営業最終予定日よりも早くクローズする。
この2つをデータで確認したい。
対象のTableau Publicがこちら

スキー人口の推移

スキー人口のニュースで背景となるデータは、
見る限りにおいて「レジャー白書」だ。
スキーだけではなく、
観光を中心としたレジャー産業の統計・分析が年一回発行されている。
こちらのデータは開示されていない。

スキー人口に関わるオープンデータを探したところ、
地元・長野県の情報は見当たらず、
新潟県が観光統計情報をWebサイトで記載していた。
この中に、スキー場利用客入込状況が
平成19年(2007年)以降、令和5年(2023年3月)まで
主にPDFファイルで記載があった。

PDFファイルの利用客数(赤印の数を手打ち)

この中で長野県に最も近い新潟県妙高市について、
資料を確認しながら妙高市のスキー場来場者数を
手打ちして表を作成した。

表を見ながら手打ちした表。PDFの合計と照らし合わせて、入力ミスチェック

このクロス集計表からデータを縦持ちにしたい。
Excelだと、
・クロス集計表からピボットテーブルを作成
・ピボットテーブルから詳細を表示
という技を最近覚えたのだが、自宅PCでExcelがなかったため、
Googleスプレッドシートで、人力で縦持ちにした。

人力で縦持ちへ変更

この来場者数は毎年、12月/1月/2月/3月の4ヶ月間の人数だったため、
年度(4月~3月)での表示とした。

妙高市のスキー場来場者数

確かに年々減少傾向だ。
特に2021年度(2021年12月~2022年3月)の落ち込みが激しい。
先のニュースの通り、新型コロナウイルスの影響があった様子。
そこでスキー場来場者数との関係を確認した。
新型コロナウイルスのオープンデータは、
厚生労働省に充実している
この中で新規陽性者数の推移(日別)を元に、
新潟県の月別推移を表示した。

対数:新型コロナウイルス 新規陽性者数(新潟県)

新規陽性者数はうなぎ登りに増加しているため、
Y軸を対数として表示している。
この新潟県の月別推移にスキー場来場者数を重ねる。

スキー場来場者数と新型コロナ新規陽性者数

グラフにしてみると、感染者数の増加と共に、
スキー場来場者数が増加してみるように見えるのが、皮肉なところだ。
実際には、新型コロナにも徐々に慣れてきていき、
もうそろそろ良いよねムードからレジャー産業も回復した印象がある。

はじめのころ、新規陽性者は1桁台で大きなニュースになっていた。
これを受けて、2020年のスキー場来場者数は2月まで増えていたところ、
2020年3月は激減。
2020年4月7日に7都府県に緊急事態宣言があり、
4月16日に対象が全国となった。
2月には国内でもニュースは新型コロナばかりであったため、
スキーだけではなく、レジャーそのものを控える動きとなっていった。

特にはじめのころ(2020年/2021年)は、
緊急事態宣言が、世間のお出かけ自粛ムードに影響を与えており、
緊急事態宣言の履歴を調べ、
それをリファレンスバンドの灰色帯で表現した。

リファレンスバンドの定数で緊急事態宣言の期間を表現

降雪量の推移

次に降雪量の推移を確認する。
過去の気象データは気象庁で公開されていた
観測所によっては、降水量とは別に降雪量の記録があることが分かり、
降雪量の記録があり、妙高市にある「関山観測所」を対象とする。

気象庁のWebサイトから観測所や項目を指定し、CSVをダウンロード
ダウンロードしたCSVファイル

前段のスキー来場者数と合わせて1つのデータにしたかったので、
これらをTableau Prepで結合した。

Prepで新型コロナ陽性者数/気象庁の降雪量/スキー場来場者数を結合

気温と降雪量のデータを見てみると、比較的きれいに揃っているのが、
1981年以降だったので、その期間を見てみた。

気温の記録が最高/平均/最低気温、と3つあったため、
12月~3月だけを対象に、この推移をグラフにした。

最高/平均/最低気温の推移(1979年以降)

あたり前だが、3つの気温は同じ傾向にあったため、
平均気温のみを用いて、降雪量と並べた。
棒グラフが降雪量、折れ線グラフが平均気温(軸を反転)。

気温(折れ線)と、降雪量(棒)の推移

こちらも同じ動きをしている。
気温が高い(折れ線グラフの値が小さい)と降雪量も少ない。
気温が低いと降雪量も多い。
とても寒い冬でも、雪が少ない年もあったと思っていたが、
気温と降雪量は素直な傾向だった。
1981年度~2023年度の42年間を見た場合、
デコボコはあるものの、全体的な傾向としては、
気温は徐々に高くなり、降雪量は減っている。

スキー場来場者数のデータがある範囲で、降雪量と比較する。

スキー場来場者数(面グラフ)と、降雪量(折れ線)

この期間だと、降雪量が明確に減っている、とは少し言い難い。
降雪量の傾向線を破線で加えてみたところ、やや減少というところか。

結論

新潟県妙高市の場合、
・スキー場来場者数は減少傾向にある
 (コロナ禍の影響で減少し、反動で増加するも元の水準に達せず)
・40年スパンで見た場合、降雪量も減少傾向にある。

降雪量とスキー場来場者数は相関関係があるが、
因果関係があると言えるだろうか。
確かにこの数年は、雪不足でスキー場の営業日が減っているが、
来場者数が最も増えるのは、1月と2月であり、
その2ケ月間、営業ができないほど雪不足だった年は無いように思う。
レジャー産業は安近短の傾向と言われて久しいが、
その対極にあるスキーも人離れが進んでいるのか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?