今じゃない、老後でしょ
非正規、個人事業、フリーランスで稼ぐみんな、今より老後を考えよう、というご提案。
よく死なずにこの歳まで生き延びた。俺、来月69歳だよ。
20代から30代、365日休みなく働いたカメラマン時代、なんの裏付けもなく、俺は大丈夫とカメラを握って、日本全国、そしてユーラシアから北米大陸など世界を飛び回った。ロスで警察には捕まるわ、ホノルルではカメラを没収されるわ、ピッツバーグで治安最悪の町に迷い込んでこりゃあかんと覚悟をした。で、やっと気が付いた。フリーランスのカメラマンなんぞ、板子一枚下は地獄の稼業。なんの補償もなく、無謀な自信で突っ走ったが、船底に穴が開いたらお陀仏の漁師と同じ運命。まぐろ遠洋漁業船に乗れば1年後には大金が掴めるかもしれないが、カメラマンの日当など知れている。一髪千鈞にもなりゃしない。
もちろん、それが好きならば仕方ない。好きなことをさせてもらっているのだから、収入はそこそこでいい、と満足できたらそれはそれ。しかしながら、結婚して子供を持ち、家族の将来に責任を持つならば、お金の稼ぎ方、残し方、貯め方、使い方にしっかと目を向けなければいけない。
いやなもんだよ、これ。今の自分の状態を赤裸々に分析しないといけないから。
俺の場合、25歳のときに結婚した連れ添いが、当時から「老後の心配」を口にしていた。これ、最高にうっとうしかったものの、知らぬ間に刷り込まれて、現在に至っている。かみさんの行動原理は、林先生と真逆。
・今じゃない、老後でしょ
俺のあまりに無計画、というか人生設計皆無状態に、本能的に自ら身を守ろうとしたのだろう、大学の通信教育で小学校の教員資格取得に乗り出した。そして数年後、俺がアメリカ長期滞在中に手紙が来て、私、小学校の教員試験に受かったからね、と。以後、60歳で退職するまで、小学校教員として働いた。エライ! 俺、その間、フリー状態から会社に入ったもののそこ倒産、会社作って債務超過でやばくなったり、と相変わらずのドタバタ。その中でもなんとかやって行けたのは、正直かみさんの収入があったから。そこで学んだことは、
・どちらかが家計の井戸水になる
夫婦ふたりで仕事するのが今や標準。一方の稼ぎが上下するならば、もう一方は低空でもいいから一定の入金を確保する。これが井戸水戦術。夫の稼ぎがいいときには、妻の収入が下回って冷たく感じるが、夫が転けて妻の収入が上に来れば、これがすごく温かく感じる。ね、夏に冷たく、冬に温かい井戸水の論理。
二人で家計のスタビライズを図るということ。さて、一人の場合はどうなるのか。これが問題。解決策は、収入の蛇口を二つ持つこと。俺、編プロを20年以上経営したが、そのときの方針が、定期刊行物を取ること。週刊が理想だが、まずは月刊でもいいから、とにかく定期的な収入源を確保する。それにスポットの企画コンテンツを加えれば、まあまあ、経営は出来た。定期刊行物はじっくり安定の点滴、不定期は一発必中にんにく注射みたいな(^0^)
フリーランスならば、ひとつのクライアントよりも複数の取引先の開拓は必須。派遣でも同様、ひつのスキルだけではなく、複数の技術と異業種対応能力を身に付けどこでも仕事できるようにするべきだ。
さて、二人の場合に戻ろう。まず鉄則。
・同じ業界では仕事するな
その業界に吹く逆風を二人同時に受けてしまう。もし、あなたの収入が大きく上下する可能性があるならば、お相手には公務員をオススメする。また、医療従事者のように国家資格を持つ連れ添いなど理想。
そんな目論みで結婚相手を決めるなんて、といったらおしまい。結婚は愛より経済。夫婦のいさかいのほとんどがお金であることは、人生68年でいやというほど学んだ。
老後といっても今は何歳からなんだ、という話しもあるが、ようするにそれまでの仕事をしなくなる、また出来なくなる状態だろう。それが50代でくるか、60代で来るか、はたまた70代で来るかは人それぞれ。その時の暮らしぶりをイメージして、今の稼ぎ方を見直すのがいい。今じゃないい、老後ですよ、みんな。
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