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娘に教えられたこと

僕らは一年一年歳を取る。
大人になることは歳を取ることと小さい頃は思っていた。
それを僕は成長だと思っていた。

小さな頃は歳を取れば、簡単に大人になると思っていた。成人式も同様に20歳になれば自動的に自分が大人になって、アルコールも飲めるものだと思っていた。

今となってはそれは間違いであり、大人になるということはどういうことか少しずつだが、わかってきた気がする。大人になるということ成長するということをと最近、娘に教えてもらった。

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つい先日、家族で沖縄県の西表島に旅行に行った。
中部国際空港から石垣島を経由し、フェリーで西表島に行った。
中部国際空港から4時間くらいかかった。日本だが、軽い海外旅行に近い旅だった。フェリーから見える西表島はどこかハワイに似ていた。
そう思いながら西表島が近づいてくるのを船から眺めていた。

自転車から見る西表島

今回の旅の目的は忙しい喧騒から離れてゆっくりすることと、娘に大自然にどっぷりと浸かって欲しいというのが旅の目的だった。また、myameでお世話になっているお客様の元へ足を運ぶのも目的の一つだった。

お客様の元へ足を運んだことは割愛するが、僕たち家族にとって本当に成長できる経験があった。それは非常にスリリングだったが、結果、僕たち家族にとって忘れられない思い出となり、娘にとっても良い経験だったと思う。

僕達、家族はカヤックツアーに参加した。
2歳が参加できるアクティビティがなく、どうしても何かに乗りたい僕は2歳でも参加できるアクティビティを探し、それに参加することにした。

カヤックに乗る前に基本的なカヤックについての知識を教えてもらい、オールの動作を教えてもらったところで、「はい、どうぞ!」と、ぶっつけ本番のようなカヤックツアーだった。

その日が運悪く、風が強いため、なかなか思った方向に進むことができない環境のもと、初心者2人と子供1人(2歳児)でカヤックを漕ぎ、仲間川の上流向けて進みマングローブの森を目指す、ハードモードなアクティビティになった。そして波も若干高いため、カヤックは大きく揺れた。今思うとかなり浅いので、多少転覆しても大丈夫なのだが、私たち夫婦は不安でいっぱいだった。

激しい風と波で思った方向に進ことができない私たち

やはり初心者ということもあり、思った方向に進まない。風で流されたり、カヤックの操縦がうまく行かず、全然うまく進まない。
「あぁ、僕は親失格かもしれない。娘をこんな危険な場所に連れてきてしまった。」声には出さなかったが、心の中でずっと思っていた。(めちゃくちゃ川自体が浅いことに気ずいておらず)転覆する可能性もある中、妻と私がうまくカヤックが進まないため、お互いにイライラし始める。それが徐々に娘にも伝わり、「お家に帰る!」などの発言が出始める。私たちは平静を装いつつも、娘に「楽しいね!」「すごいね!」と声をかけ続ける。でも、その不安はやはり娘に伝わり、徐々に「帰る」の声が大きくなっていた。
そこに遊覧船がやってきて、私たち家族に手を振る。遊覧船は安心安全で体力も使わない。遊覧船の人たちは僕達に手を振る。妻は余裕もないのに、手を振る。娘も手を振る。僕は家族を危険なカヤックに乗せ、安心な遊覧船から手を振る人と対局にいるコントラストに少しだけメンタルをやられていた。

だがしかし、ガイドさんにオールのコツを教えてもらったことで、私たち家族のカヤックの進み具合が劇的に成長する。オールをこうすれば、右に舵を取ることができる。ちょっとしたやり方で、見違えるように進んで行った。

娘もそれを感じたらしく、「すごいね!」「気持ちいいね」など徐々に、楽しくなっていくのがわかった。僕達夫婦も徐々にだが、景色を見る余裕が生まれていく。そして仲間川の支流のマングローブの森へ入って行った。

マングローブの森への入り口

マングローブの森に入ると風はなく、波もない。単純にオールを漕いで、進むだけだった。そこでオールなどをうまく扱いつつ、マングローブの森の生態系を楽しむことができた。カラフルなカニがいたり、ハゼがいたり、水鳥がいたり、と西表島自然を楽しむことができた。娘も、「赤いね!白いね!」とカラフルなカニを見てリアクションが大きくなっていった。
段々と娘も楽しいのか、カヤックから体を乗り出して水面を触ったりとアグレッシブに行動していた。

楽しくなってきて、身を乗り出し始めた。

ガイドさんから、マングローブの花をもらい、娘は大興奮!「タコさんウィンナー!」とマングローブの花と実をもらって大興奮だった。

マングローブの花をもらった娘 花がタコさんウィンナーそっくり

私たちは、徐々にカヤックの操縦がうまくなり、さっきまでアクティビティツアー3組いた中で最下位で200m以上離されていたのが、いつの間にか追いつき、3組中トップの位置になぜかいる状態になった。そこでガイドさんの説明を聞きつつマングローブの面白さを聞きながらカヤックを進めていく。そして折り返し地点に到着し、ここから帰るよっと行った時、私たち夫婦はカヤックを意図も簡単に扱えるようになり、圧倒的にカヤックの操縦がうまくなっていた。

折り返し地点から、マングローブの森を見ながら徐々に進めていく。支流は風がないため、漁師が船を台風被害から守るため、マングローブの森に船を停留しにくるのを聞いて納得するくらい、仲間川と雲泥の差くらい風がなかった。そこで謎のテクニックを習得し、岸辺にいるカラフルなカニを50cmぐらいの近くで見たり、マングローブの実を拾ったり、さっきまでの親失格と思っていたのが嘘かと思うくらい、カヤックツアーを満喫していた。

仲間川に戻り、風はやはり強い。風に負けないようにカヤックをこれでもかと進めていた。私たちは一心不乱にオールを漕いでいた。私自身思うことだが、親が体力あることを見せるのは結構重要な教育だと私は思っている。2歳で記憶あるのかどうかわからないながらも、体力があるのとないのじゃ絶対あった方がいいに決まってるので、どんだけ風が強くても、どんだけ前に進まなくても、親が頑張っている姿を見せようとした。どんなゲームでもHPがあるやつが強い。仕事でもスポーツでも趣味でも体力があるやつタフなやつは無条件に強い。これはやっぱり親がタフであるということを見せることが教育上、重要なことだと思って頑張っていた。
気がつくとツアーに参加していた3組の中でいつの間にかトップを走り、400mくらい離していた。今思うと気が付かず大変申し訳ありませんでした。

そんな中スコールが降ってきた。あぁ流石に娘も泣くかなと思っていたが、「エッサ!エッサ!」とオールを漕ぐ掛け声をかけている。しかも泣かずに、カヤックから身を乗り出して、仲間川の水面を触っている。僕はなんて、この子はたくましいのだろうか。そして雨が降ってビシャビシャになっているのに笑い声が聞こえる。

雨が止み、干潮が一気に進み、座礁してしまい、なかなかカヤックで進めなくなったので、ガイドさんの指示で一旦カヤックから降りて、人力で目標地点までカヤックを持ってくので、みなさんは歩いて目標地点まで行ってくださいとのことになった。だが娘はカヤックから降りない。降りるよと伝えても降りない。「乗ってる!」と言う。せっかくなので、そのままカヤックに乗ったままガイドさんと一緒に目標地点まで乗せてもらうことにした。

降りないと言っている娘
ガイドさんに連れてってもらっている娘 真ん中の紫色の帽子が娘

そんな娘を見て、「たくましいわ〜」と妻と喋りつつ、娘の成長を実感する出来事になった。

ツアー終了後にアクティビティに一緒に参加した方からも、「すごいね」と言われて、娘は恥ずかしそうに僕の足の後ろへ隠れた。

娘は誰に教えられたのではなく、波や風の恐怖に耐えて、遊覧船に乗っている乗客に気丈に振る舞い、自分で楽しみを見つけて、触ってみたりやってみたりしている。最後には本人が楽しんでいるだけかもしれないが、エッサ!エッサ!と親2人を鼓舞してくれた。
最初は帰ると言いながらも、自分で解決し、結局は誰よりもカヤックを満喫し、誰よりもいろんな景色を見ていろんなことを感じていたと思う。そして、いつの間にか僕達家族を引っ張る存在になっていた。

あぁ成長ってこういうことなんだ。
娘は勝手に育っていくんだろうなと思った。

何かに耐えて、それを打ち負かし、楽しみを見つけて、楽しむ。そしてそれを周りを巻き込みながら一緒に環境の変化を楽しむ娘の姿を見ていると、こうなりたいなと思わせてくれた。彼女の成長ではあるのだが、一種の「強さ」を見せてくれたと思った。たくましいなと思わせるだけあって、成長することは一種の強さなんだと思った。

ビーチで黄昏れる娘

僕は学ぶことができた。少しずつだが、親になり娘とどう接すればいいのかと考えたりしていた。
親という字は木に立って見ると書いてあるように、自分のやることは見守ることが一番なんじゃないかと思わせる出来事だった。

田端さんの著書を読んだ私は、子供達には傍観者ではなく、挑戦するメンタリティを持ってほしいと思ってる。

今回の旅で少しでもそれができればと思っていたが、見事に彼女はやってのけた。
そして、もっともっと身近なことでもいいから、やってみる精神を持ってほしい。そう思いつつこのnoteを書いている。

今回の娘の成長を間近で見ることができ、すごい嬉しかった。そして娘のような成長を僕もしたいと思わせてくれる。そんなアクティビティと旅になった。
娘はその後立ち寄った、巨大なイリオモテヤマネコ型のすべり台の公園でめちゃくちゃ怖くて泣いた。これはしょうがない。

ンママキパークの巨大すべり台

娘は西表島のことを記憶しているかどうかはわからないが、
私たち家族にとっては非常に糧となる旅行だった。
また、旅をしよう。何事もやってみることの大切さを感じてもらおう。


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