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短編小説「By Your Side」3
タカシは夏美の病状が良くないことを夏美の母親から聞いており、
だからこそ夏美との時間は、少しでも楽しく穏やかな時間になるようにと努めていた。
ある日、タカシは気持ちが込み上げ、
「俺たち結婚を前提に付き合わないか?」と夏美に告げた。
夏美は少し驚いた様子で間を置き、
「ありがとう。でもわたし、好きな人がいるんだよね」と申し訳なさそうに答えた。
タカシは心に走る切なさを必死で隠しながら、「そっか〜」と照れ笑いするので精一杯だった。
それでもなお、タカシと夏美は毎日のように二人して過ごしていた。
そんなある日、いつものように病室を訪ねると夏美は塞ぎ込んでいた。
心配して声をかけても返事は弱々しかった。
うつむいた夏美の目から涙がこぼれる。
夏美が小さくタカシの腕の袖を掴んだ。
タカシはそっと夏美を抱きしめ、
夏美はつよくタカシに抱きついた。
そして二人はベッドのなかで抱きしめ合い、泣きながらキスをした。
つづく
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