見出し画像

短編小説「By Your Side」4

タカシはパーキングエリアで紙コップのコーヒーをすすり、何気にラジオをつけた。

流れてきた番組は、夏美にすすめられて二人してよく聴いた番組だった。

DJがリクエストハガキを読み上げる。
「次は夏美さんからのリクエストで、タカシさんに宛てたリクエストです」

「えっ、、」
胸が大きく波打った。

「タカシさんへの伝言です。タカシへ、いつもありがとう。これからもどうか、あなたがしあわせでありますように。小さくささやかでも、しあわせがいつもそばにありますように。
苦しいときは、いつもエールを送ってるから」

一週間ほど前の夏美からのメッセージがタカシへと届いた瞬間だった。

「タカシさん、届いたでしょうか?
ではリクエスト曲、SadeでBy Your Side」

とりわけ夏美のすきな一曲だった。
タカシはくすりと笑い、少し目頭を熱くした。

空はもう夜が明けて茜色の空が広がっていた。
「夏美、綺麗だな…」
そうつぶやくと、やさしく手を握り返し微笑む夏美が隣にいた。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?